血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:25

CLLに対するBTK阻害薬、アカラブルチニブvs.イブルチニブ/ASCO2021

 2021年3月、再発・難治の慢性リンパ性白血病(CLL)治療に対して選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬アカラブルチニブが国内承認された。アカラブルチニブの有用性を先行薬イブルチニブと比較した非盲検非劣性第III相無作為化比較試験ELEVATE-RRの結果について、オハイオ州立大学のJohn C. Byrd氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。

イキサゾミブ、幹細胞移植歴のない多発性骨髄腫の維持療法に適応追加/武田

 武田薬品工業は、2021年5月27日、イキサゾミブ(製品名:ニンラーロ)について、幹細胞移植歴のない多発性骨髄腫に対する初回治療後の維持療法の治療薬として、厚生労働省より多発性骨髄腫における維持療法の効能又は効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認を取得した。  今回の承認は、主に無作為化プラセボ対照二重盲検多施設共同国際第III相試験であるTOURMALINE-MM4試験の結果に基づくものである。同試験では、幹細胞移植歴のない成人の多発性骨髄腫患者を対象に無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目として、同剤がPFSを統計学的に有意に改善することが確認された。

ファイザー新型コロナワクチン、がん患者ではとくに2回接種を/Lancet Oncol

 がん患者に対する新型コロナワクチンBNT162b2(ファイザー)の安全性と免疫原性をがん患者における評価を目的とした前向き観察研究の結果が発表された。  対象は、2020年12月8日~2021年2月18日に、ロンドンの3つの病院でBNT162b2接種を受けたがん患者と健康成人(主に医療従事者)。複合主要評価項目は、がん患者におけるBNT162b2ワクチンの初回接種後のSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質IgG陽性の割合、2回目(初回から21日後)接種後の同陽性例の割合であった。

骨髄腫に、ダラツムマブの皮下注新発売/ヤンセンファーマ

 ヤンセンファーマは、2021/05/19、抗CD38モノクローナル抗体ダラツムマブとボルヒアルロニダーゼ アルファを配合した皮下投与製剤ダラキューロ配合皮下注(以下、ダラキューロ)の販売を開始した。ダラキューロは、本年3月23日に多発性骨髄腫を効能又は効果として製造販売承認を取得している。  ダラツムマブの点滴静注製剤(ダラツムマブ IV)は、多発性骨髄腫に対して、複数の治療レジメンで承認されており、国内外の各種ガイドラインでも推奨されている。一方で、infusion reaction(急性輸液反応)を予防するため、投与に際しては500~1,000mlの輸液が必要となり、約3〜7時間の投与時間を要する。今回製造販売承認を取得したダラキューロでは、皮下投与に要する時間が約3〜5分へと短縮され、また固定用量となるため薬剤調製手順が簡略化されることにより、医療従事者および患者の負担が軽減されることが期待されている。

AZ製ワクチン後の血栓症、発症者の臨床的特徴/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因ウイルスSARS-CoV-2に対するChAdOx1 nCoV-19ワクチン(アストラゼネカ製)の接種により、因果関係は確定されていないものの、血液凝固異常(主に脳静脈血栓症と血小板減少症)に関連する、まれだが重篤な有害事象が引き起こされる可能性が示唆されている。英国・University College London Hospitals NHS Foundation TrustのMarie Scully氏らは、同ワクチン接種後に、ヘパリン療法の有無とは無関係に、血小板第4因子(PF4)依存性症候群が発現する可能性を示し、このまれな症候群の迅速な同定は、治療との関連で重要であることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年4月16日号に掲載された。

ポロキサマー188、鎌状赤血球症の血管閉塞性疼痛改善せず/JAMA

 鎌状赤血球症の小児/成人患者における血管閉塞性の疼痛エピソードの治療では、ポロキサマー188はプラセボと比較して、非経口オピオイド鎮痛薬の最終投与までの期間を短縮しないことが、米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のJames F. Casella氏らが行った「EPIC試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年4月20日号で報告された。  研究グループは、鎌状赤血球症患者における血管閉塞性の疼痛エピソードに対するポロキサマー188の有効性を再評価する目的で、国際的な二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を実施した(米国・Mast Therapeutics, Inc.の助成による)。

貧血と不眠症~メタ解析

 最近、いくつかのゲノムワイド研究において、不眠症と貧血に共通の遺伝的要素が関連している可能性が示唆されている。米国・ペンシルベニア州立大学のSamantha N. Neumann氏らは、貧血を有する成人は、そうでない人と比較し、不眠症の有病率が高いかどうかを調査するため、横断的研究およびメタ解析を実施した。Chinese Medical Journal誌2020年12月21日号の報告。  対象は、進行中のコホート研究であるKailuan研究に参加した中国人成人1万2,614人。貧血の定義は、女性でヘモグロビンレベル12.0g/dL未満、男性で13.0g/dL未満とした。不眠症の評価には、アテネ不眠尺度(AIS)中国語版を用いた。不眠症の定義は、AIS総スコア6以上とした。貧血と不眠症との関連は、年齢、性別、慢性疾患の状態、血漿C反応タンパク質濃度などの潜在的な交絡因子で調整した後、ロジスティック回帰モデルを用いて評価した。成人集団における貧血と不眠症の関連を評価するため、本横断研究と以前実施した3つの横断研究の結果をプールし、固定効果モデルを用いて、メタ解析を実施した。

CLLに対するアカラブルチニブ、初回治療でも有効性示す

 2021年3月、再発・難治の慢性リンパ性白血病(CLL)に対して国内承認された選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬アカラブルチニブ(商品名:カルケンス)について、CLL初回治療においても有効性が認められたという。オハイオ州立大学のJohn C Byrd氏らの研究によるもので、Blood誌2021年3月30日号オンライン版に掲載された。  CLLは白血病の中で、リンパ系幹細胞が比較的時間をかけてがん化するものを指す。日本においては10万人あたり0.2人(2008年調査)と比較的稀な疾患だ。現在、CLL初回治療として承認されたBTK阻害薬にイブルチニブがあるが、アカラブルチニブとは有害事象の出現の特性が異なるとされ、アカラブルチニブが承認されれば治療の選択肢が広がることとなる。

多発性骨髄腫、CRd療法でダラツムマブ追加の有効性確認/JAMA Oncol

 最近の研究によって、多発性骨髄腫の1次治療として、プロテアソーム阻害薬ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾンの3剤併用(VRd療法)にダラツムマブを追加することの有用性が確認されたが、プロテアソーム阻害薬をカルフィルゾミブに代えたCRd療法においても、ダラツムマブ追加の有効性が示されたという。米国・メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのOla Landgren氏らの非ランダム化MANHATTAN試験の結果によるもので、JAMA Oncology誌4月15日号オンライン版に掲載された。

腎性貧血に対するHIF-PH阻害薬モリデュスタットを発売/バイエル薬品

 バイエル薬品は、HIF-PH(低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素)阻害薬モリデュスタットナトリウム(商品名:マスーレッド)を腎性貧血治療薬として2021年4月22日に発売したと発表した。本剤は、保存期および透析期慢性腎臓病の主要な合併症の1つである腎性貧血に対して、1日1回の経口投与によりヘモグロビン値を管理できる腎性貧血治療薬。  本剤は、高地などで低酸素状態に適応する際の身体の生理的な反応を穏やかに活性化し、エリスロポエチンの産生を誘導して赤血球の産生を促進することにより、腎性貧血を改善する。錠剤の識別性の向上のため、両面に製品名や用量を印字している。