血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:36

がん治療で心疾患リスクを伴う患者の実態と対策法/日本循環器学会

 第84回日本循環器学会学術集会(2020年7月27日~8月2日)で佐瀬 一洋氏(順天堂大学大学院臨床薬理学/早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所)が「腫瘍循環器診療の拡がりとCardio-Oncology Rehabilitation(CORE)」について発表。がんを克服した患者の心血管疾患発症リスクやその予防策について講演した。  がん医療の進歩により、がんは不治の病ではなくなりつつある。言い換えるとがん治療の進歩により生命予後が伸びる患者、がんサバイバーが増えているのである。とくに米国ではがんサバイバーの急激な増加が大きな社会問題となっており、2015年時点で1,500万人だった患者は、今後10年でさらに1,000万人の増加が見込まれる。

未治療AML、アザシチジン+ベネトクラクス併用でOS延長/NEJM

 強力な化学療法が適応とならない未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者において、アザシチジン+ベネトクラクス併用療法はアザシチジン単独投与と比較して、発熱性好中球減少症の発現率は高かったものの、全生存期間および寛解率の有意な改善を達成したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのCourtney D. DiNardo氏らによる多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「VIALE-A試験」で明らかとなった。高齢のAML患者は、メチル化阻害剤による治療でも予後不良であり、第Ib相試験においてアザシチジン+ベネトクラクス併用療法の有効性が示唆されていた。NEJM誌2020年8月13日号掲載の報告。

HIV曝露前予防、F/TAF vs. F/TDF/Lancet

 HIV曝露前予防(PrEP)を目的としたエムトリシタビン/テノホビル・アラフェナミド(F/TAF)1日1回投与は、エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(F/TDF)1日1回投与に対して有効性は非劣性であり、忍容性はいずれも良好であった。また、F/TAFは、骨および腎に対する安全性のバイオマーカーに関して、F/TDFに対する優越性が認められた。米国・Fenway HealthのKenneth H. Mayer氏らが、多施設共同無作為化二重盲検実薬対照第III相非劣性試験「DISCOVER試験」の結果を報告した。先行研究でテノホビル・アラフェナミド(TAF)はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)と比較して、HIV治療に用いた場合に高い抗ウイルス効果と腎および骨の安全性を改善することが示されていた。Lancet誌2020年7月25日号掲載の報告。

アカラブルチニブ、慢性リンパ性白血病治療薬として、EUの承認勧告取得/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2020年7月27日、欧州連合(EU)においてアカラブルチニブに対し、慢性リンパ性白血病(CLL)の成人患者の治療薬として、製造販売承認が勧告されたことを発表した。  今回の欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)の肯定的見解は、前治療歴のないCLL患者を対象にしたELEVATE TN、および再発または難治性CLL患者さんを対象にしたASCENDの2つの第III相臨床試験の結果に基づいている。  ELEVATE TN試験では、前治療歴のないCLL患者において、アカラブルチニブとオビヌツズマブの併用療法、およびアカラブルチニブ単剤療法が、標準的な化学免疫療法であるchlorambucilとオビヌツズマブとの併用療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクをそれぞれ90%および80%低下させることが確認された。ASCEND試験では、試験対象となった再発または難治性CLL患者のうち、12ヵ月時点で生存かつ病勢進行も認められなかった患者の割合が、アカラブルチニブ投与群では88%だったのに対し、リツキシマブとidelalisibまたはベンダムスチンの併用療法群では68%であった。アカラブルチニブの安全性および忍容性は、両試験ともに既知のプロファイルと一致していまた。

再発・難治性多発性骨髄腫、KdD療法でPFS改善/Lancet

 再発・難治性多発性骨髄腫患者の治療において、プロテアソーム阻害薬カルフィルゾミブ+デキサメタゾン+抗CD38モノクローナル抗体製剤ダラツムマブ(KdD)による3剤併用療法は、カルフィルゾミブ+デキサメタゾン(Kd)に比べ、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、ベネフィット・リスクのプロファイルも良好であることが、ギリシャ・アテネ大学のMeletios Dimopoulos氏らが実施した「CANDOR試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年7月18日号に掲載された。新規に診断された多発性骨髄腫の治療では、レナリドミド+ボルテゾミブにより生存期間が改善されているが、多くの患者は病勢の進行または毒性により治療中止に至るため、再発・難治性多発性骨髄腫における新たな治療法の必要性が高まっている。カルフィルゾミブ+ダラツムマブは、第I相試験(MMY1001試験)において再発・難治性多発性骨髄腫に対する実質的な有効性と忍容可能な安全性が報告されている。

FDA、マントル細胞リンパ腫に新CAR-T療法を迅速承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年7月24日、成人の再発・難治性マントル細胞リンパ腫患者治療に、CD19を標的とするCAR-T細胞免疫療法brexucabtagene autoleucelを迅速承認した。  この承認は、アントラサイクリンまたはベンダムスチンを含む化学療法、抗CD20抗体、BTK阻害薬の治療歴のある再発・難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)患者74例を対象とした非盲検多施設単群試験ZUMA-2に基づいたもの。主要有効性評価項目は、独立レビュー委員会による客観的奏効率(ORR)であった。

ASCO作成COVID-19流行下のがん治療の指針、和訳版を公開/日本癌治療学会

 日本癌治療学会は7月9日、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が作成した「ASCOスペシャルレポート:COVID-19の世界的流行下におけるがん治療の実施に関する指針」をホームページ上で公開した。この指針は、COVID-19 の世界的大流行への対応を継続する中で患者および医療スタッフの安全性を保護するため、がん診療で実施可能な即時および短期の措置についてASCOが世界的視野に立ち作成、5月19日に発表されたもの。  和訳版は全22ページからなり、下記20項目について知見がまとめられている

腎性貧血患者に新たな治療選択肢を提供/グラクソ・スミスクライン

 6月29日、グラクソ・スミスクライン株式会社は、腎性貧血の経口低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素阻害薬ダプロデュスタット(商品名:ダーブロック)の製造販売承認を世界に先駆け、日本で最初に取得したと発表した。  腎臓は、エリスロポエチンなどのホルモンを産生することで赤血球の産生を促進するが、腎障害を有する患者では腎臓が十分な量のエリスロポエチンを産生できなくなることから、腎性貧血がよく起こる。また、腎機能の低下に伴い、腎性貧血の有病率も高くなる。現在は、主に赤血球造血刺激因子(ESA)注射剤による治療が行われている。  現在わが国では慢性腎臓病(CKD)ステージ3~5の患者は1,090万人推定され、このうち約32%に貧血が見られるという。世界中では10人に1人がCKDに罹患しているとされており、2017年には本症が原因で100万人を超える人々が亡くなっている。

多発性骨髄腫、3剤併用療法の長期アウトカムは?/JCO

 多発性骨髄腫に対する3剤併用(レナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン:RVD)療法の有効性について、最大規模のコホートで長期追跡したアウトカムの結果が報告された。米国・エモリー大学のNisha S. Joseph氏らによる検討で、移植後患者の奏効率は90%近くに上り、リスクに留意した維持療法により、先例のない長期アウトカムがもたらされる可能性があることが示されたという。RVD療法は、移植治療の適格・不適格を問わず、導入療法としての有効性は高く、重宝するレジメンであることが示されていた。Journal of Clinical Oncology誌2020年6月10日号掲載の報告。

イサツキシマブ、再発・難治の骨髄腫に国内承認/サノフィ

 サノフィは、2020年6月29日、イサツキシマブ(商品名:サークリサ)が「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の効能又は効果で製造販売承認を取得したと発表。  CD38は多発性骨髄腫細胞に幅広くかつ高発現しており、イサツキシマブは、多発性骨髄腫細胞のCD38受容体にある特異的なエピトープを標的とする新規のモノクローナル抗体製剤である。  今回の承認は、イサツキシマブをポマリドミド・デキサメタゾン併用療法に追加する無作為化第III相試験(ICARIA-MM試験)のデータに基づいており、この試験では、イサツキシマブ併用群において無増悪生存期間の統計学的に有意な改善が認められた。本国際共同治験には、日本も参加している。