血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:34

腰椎穿刺の脊髄血腫リスク、血液凝固障害との関連は?/JAMA

 腰椎穿刺には脊髄血腫のリスクがあり、とくに血液凝固障害を有する患者でその懸念が高まっているが、発生頻度は確立されていないという。デンマーク・Aalborg大学病院のJacob Bodilsen氏らは、腰椎穿刺と脊髄血腫の関連について検討し、脊髄血腫の発生率は血液凝固障害のない患者で0.20%、血液凝固障害を有する患者では0.23%との結果を得た。研究の詳細は、JAMA誌2020年10月13日号で報告された。腰椎穿刺は、中枢神経系の感染症や神経学的疾患、特定のがんの診断と治療において重要な手技であるが、血液凝固障害を有する患者で脊髄血腫のリスクを強く懸念する医師が、その施行を躊躇する可能性が危惧されている。

FDA、急性骨髄性白血病の寛解導入にベネトクラクスの併用療法を承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年10月16日、75歳以上または併存疾患で強力な寛解導入療法が適用できない成人の急性骨髄性白血病(AML)に対して、ベネトクラクスとアザシチジン、desitabineまたは低用量シタラビン(LDAC)との併用を正式に承認した 。  ベネトクラクスとこれらの併用に関する有効性は2件の無作為化二重盲検プラセボ対照試験で確認されている。1つはベネトクラクス+アザシチジン群(n=286)とプラセボ+アザシチジン群(n=145)を無作為に比較したVIALE-A試験である。この試験では、ベネトクラクス+アザシチジン群のOS中央値14.7ヵ月に対し、プラセボ+アザシチジン群では9.6ヵ月(HR:0.66、 95%CI:0.52~0.85、p<0.001)と、ベネトクラクス+アザシチジン群の有意な有効性が確認された。

CAR-T細胞製剤liso-cel、再発・難治性大細胞型B細胞性リンパ腫でCR53%/Lancet

 CD19を標的とする自家キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T細胞)製剤lisocabtagene maraleucel(liso-cel)は、さまざまな組織学的サブタイプや高リスクの病型を含む再発・難治性の大細胞型B細胞性リンパ腫患者の治療において、高い客観的奏効率をもたらし、重度のサイトカイン放出症候群や神経学的イベントの発生率は低いことが、米国・マサチューセッツ総合病院のJeremy S. Abramson氏らが行った「TRANSCEND NHL 001試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年9月19日号に掲載された。liso-celは、さまざまなサブタイプの再発・難治性大細胞型B細胞性リンパ腫で高い奏効率と持続的な寛解が報告されているが、高齢者や併存疾患を持つ患者、中枢神経リンパ腫などの高リスク集団のデータは十分でないという。

ニボルマブ480mg4週ごと投与、国内承認/小野・BMS

 小野薬品工業と ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2020年9月25日、ヒト型抗ヒト programmed cell death-1(PD-1)ニボルマブ(商品名:オプジーボ)の単独投与時の用法及び用量に関して、すでに承認を取得している全ての 9 つのがん腫において、これまでの 1 回 240 mg を2 週間間隔で点滴静注する用法及び用量に加え、1 回 480 mg を 4 週間間隔で点滴静する用法及び用量が追加になったと発表。  今回の用法及び用量の追加の承認によって、治療選択肢が増えること、患者および医療スタ ッフの利便性の向上に繋がるものと期待しているとしている。

重症血友病A、BIVV001融合蛋白による第VIII因子補充療法が有効/NEJM

 重症血友病Aの男性患者の治療において、新規融合タンパク質BIVV001(rFVIIIFc-VWF-XTEN)の単回静脈内注射により、第VIII因子活性が高値で維持され、半減期は遺伝子組み換え第VIII因子の最大4倍に達し、本薬は投与間隔1週間の新規クラスの第VIII因子機能代替製剤となる可能性があることが、米国・Bloodworks NorthwestのBarbara A. Konkle氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年9月10日号に掲載された。第VIII因子機能代替製剤は血友病A患者の治療を改善したが、これらの製剤は半減期が短く、患者QOLの改善は十分ではないという。また、遺伝子組み換え第VIII因子の半減期は、von Willebrand因子(VWF)のシャペロン作用のため15~19時間とされる。BIVV001は、この半減期の上限を克服し、第VIII因子活性を高値で維持するようデザインされた新規融合蛋白である。

BIVV001か遺伝子治療かエミシズマブか:血友病Aにとって期待の新薬BIVV001(解説:長尾梓氏)-1286

血友病Aの治療では頻回の静脈注射が大きな課題である。従来の遺伝子組み換え第VIII因子製剤(rFVIII)は週3~4回の静脈注射を行っても関節出血を完全には抑制しきれなかった。2016年に蛋白融合技術による半減期延長製剤が登場して、週1~2回の注射に減らすことができるようになった。2018年に上梓されたエミシズマブは最大4週に1回の皮下注射で、出血抑制効果が認められ、急速に使用者が拡大している。ただ、FVIIIを補う治療とは異なる機序であることから測定上の課題なども残存し、今も臨床研究が複数行われている。

脾辺縁帯リンパ腫の生存アウトカムを長期解析/Cancer

 まれな腫瘍で一定の治療法がない脾辺縁帯リンパ腫(SMZL)について、過去17年間の患者の生存アウトカムを解析した知見が示された。米国・マイアミ大学のJorge A. Florindez氏らによる米国の大規模な集団ベースの解析で、治療戦略によって全生存(OS)期間またはSMZL特異的生存期間に、有意差は認められなかったという。また、高齢、ヒスパニック系、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)形質転換およびB症状を有することが予後不良因子として示された。Cancer誌オンライン版2020年8月7日号掲載の報告。

敗血症性ショック、ステロイドを含む3剤併用は無効/JAMA

 敗血症性ショックの患者に対する、アスコルビン酸+コルチコステロイド+チアミンの3剤併用投与は、プラセボと比較して、試験登録後72時間におけるSequential Organ Failure Assessment(SOFA)スコアを統計学的に有意に低下しないことが、米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのAri Moskowitz氏らによる無作為化試験「ACTS試験」の結果、報告された。先行研究により、3剤併用投与は潜在的な治療法であることが見いだされていたが、著者は今回の試験結果を踏まえて「敗血症性ショック患者に対する3剤併用のルーチン使用は支持されない」と述べている。JAMA誌2020年8月18日号掲載の報告。

腎性貧血に新しく2剤の経口治療薬が登場/GSK、田辺三菱製薬

 8月26日、腎性貧血に対して、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬であるダプロデュスタット(商品名:ダーブロック、グラクソ・スミスクライン)とバダデュスタット(同:バフセオ、田辺三菱製薬)が発売された。HIF-PH阻害薬としては、2019年11月にロキサデュスタット(同:エベレンゾ、アステラス製薬)が発売されているが、現在の適応は透析施行中の腎性貧血のみである。一方、今回発売されたダプロデュスタットとバダデュスタットは、透析施行中だけでなく保存期の腎性貧血患者にも使用可能な治療薬で1日1回経口投与である。