血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:34

polatuzumab vedotin、DLBCL国内第II相試験の主要評価項目を達成/中外

 中外製薬は、2020年2月13日、polatuzumab vedotinの国内第II相臨床試験(JO40762/P-DRIVE試験)において、主要評価項目を達成したと発表。  JO40762(P-DRIVE)試験は、再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者35例を対象として、polatuzumab vedotinとBR療法を併用投与する第II相多施設共同単群非盲検試験。本試験の主要評価項目は治験責任/分担医師評価によるPRA時点(治験薬最終投与後6~8週)におけるPET-CTによる完全奏効率(complete response rate:CRR)である。

CAR-NK細胞、再発/難治性CD19陽性がんに有効/NEJM

 キメラ抗原受容体(CAR)を導入されたナチュラルキラー(NK)細胞は、再発または難治性のCD19陽性がん患者の治療において高い有効性を示し、一過性の骨髄毒性がみられるものの重大な有害事象は発現せず、相対的に安全に使用できる可能性があることが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのEnli Liu氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2020年2月6日号に掲載された。CAR導入細胞療法では、すでに抗CD19 CAR-T細胞療法のB細胞がんの治療における著明な臨床的有効性が確認されている。一方、CAR-T細胞は重大な毒性作用を誘発する可能性があり、細胞の作製法が複雑である。抗CD19 CARを発現するように改変されたNK細胞は、これらの限界を克服する可能性があるという。

ドウベイト配合錠の未治療HIV感染症患者に対する2剤治療は患者負担を軽減させるか

 2020年1月31日、ヴィーブヘルスケア株式会社は、同日発売となった抗ウイルス化学療法剤「ドウベイト配合錠」(一般名:ドルテグラビルナトリウム・ラミブジン)に関するメディアセミナーを開催した。その中で、ヒトレトロウイルス学共同研究センター熊本大学キャンパスの松下 修三氏が、「HIV/AIDS いまどうなっている?」と題して講演を行った。  ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に対する、多剤併用療法(ART)は、異なる機序の薬剤を併用してHIVの量を減少させる。これまで未治療のHIV感染症患者には、一般的に、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)、プロテアーゼ阻害薬(PI)、インテグラーゼ阻害薬(INSTI)の中から「キードラッグ」として1剤と、「バックボーン」として核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)2剤とを組み合わせた3剤を併用し、治療を実施していた。

静注鉄剤による鉄欠乏性貧血治療、IIM vs.FCM/JAMA

 経口鉄剤に不耐・不応の鉄欠乏性貧血患者における静注鉄剤による治療では、iron isomaltoside(IIM、現在はferric derisomaltoseと呼ばれる)はカルボキシマルトース第二鉄(FCM)と比較して、低リン血症の発生が少ないことが、米国・デューク大学のMyles Wolf氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年2月4日号に掲載された。静注鉄剤は、鉄欠乏性貧血の迅速な改善を可能にするが、これらの製剤は線維芽細胞増殖因子23(FGF23)に関連する低リン血症を誘発する場合があるという。

新型コロナウイルス、国内3症例の経過と得られた示唆

  2月7日、日本感染症学会・日本環境感染学会は「新型コロナウイルス2019-nCoVへの対応について」と題し、学会員に向けた緊急セミナーを開催した(司会は日本感染症学会理事長 館田 一博氏、日本環境感染学会理事長 吉田 正樹氏)。  この中で、大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター センター長)は、「新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症 臨床・感染防止対策」とのテーマで、これまで同センターが診療した3症例の紹介と、そこから得た知見を紹介した。

企業による資金提供は、患者会に影響を及ぼすか/BMJ

 患者会への企業による資金提供は一般的に行われており、企業からの財政支援を抑制する指針を持つ患者会は少なく、資金提供に関する透明性も不十分であり、資金提供を受けた患者会は出資企業にとって有利となる立場を取る傾向があることが、オーストラリア・シドニー大学のAlice Fabbri氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年1月22日号に掲載された。患者会は、保健医療(消費者教育、医学研究助成、薬剤や治療法の承認および公的保障に関する決定への寄与)において重要な役割を担うが、製薬企業や医療機器製造企業を含む複数の財政支援源に依拠することが多い。利益相反および患者会の品位や独立性に関する潜在的な脅威があるため、企業と患者会の財政上の関係への関心が高まっているという。

「患者力」を上げるため、医師ができること

 ネット上の情報に振り回され、代替医療に頼ろうとする患者、自分で何も考えようとせず、すべてお任せの患者、どんな治療も拒否する患者…。本人がそう言うならば仕方がないとあきらめる前に、医師にできることはあるのか。2020年1月12~13日、「第1回医療者がリードする患者力向上ワークショップ」(主催:オンコロジー推進プロジェクト、共催:Educational Solution Seminar、アストラゼネカ)が開催された。本稿では、東 光久氏(福島県立医科大学白河総合診療アカデミー)、上野 直人氏(テキサス大学MDアンダーソンがんセンター)、守田 亮氏(秋田厚生医療センター)による講演の内容を紹介する。

開発中のluspatercept、低~中等度リスクMDSの貧血を軽減/NEJM

 環状鉄芽球を伴う比較的リスクが低い骨髄異形成症候群(MDS)で、定期的に赤血球輸血を受けており、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)に抵抗性または反応する可能性が低い、あるいは有害事象でこれらの製剤を中止した患者の治療において、luspaterceptは貧血の重症度を低下させることが、フランス・パリ第7大学のPierre Fenaux氏らが行った「MEDALIST試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年1月9日号に掲載された。ESA治療が無効の貧血を伴う比較的リスクが低いMDSの患者は、一般に赤血球輸血に依存性となる。luspaterceptは、SMAD2とSMAD3のシグナル伝達を抑制して赤血球の成熟を促すために、トランスフォーミング増殖因子βスーパーファミリーのリガンドと結合する組み換え融合蛋白で、第II相試験で有望な結果が報告されている。

B細胞NHLへのR-CHOP、4サイクルvs.6サイクル/Lancet

 60歳以下の低リスク中悪性度(アグレッシブ)B細胞非ホジキンリンパ腫患者の治療において、リツキシマブとシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+prednisone(R-CHOP)併用療法の4サイクル投与は6サイクル(標準治療)に対し、有効性が非劣性で、毒性作用は治療サイクルが少ない分、抑制されることが、ドイツ・ザールラント大学のViola Poeschel氏らGerman Lymphoma Allianceが行った「FLYER試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2019年12月21/28日合併号に掲載された。国際予後指標(IPI)の年齢調整リスク因子がなく、非bulky病変(腫瘍最大径<7.5cm)を有するアグレッシブB細胞非ホジキンリンパ腫患者では、6サイクルのR-CHOP様レジメンの予後はきわめて良好と報告されている。一方、多くの患者にとって、このレジメンに含まれる6サイクルの細胞傷害性薬剤の併用療法(CHOP様)は過剰治療となっている可能性があるという。

患者団体と製薬企業とのつながりとは/BMJ

 オーストラリア・シドニー大学のLisa Parker氏らは、患者団体と製薬企業の間の相互作用を調べる質的研究を行った。疾患別に存在する患者団体の多くが、製薬企業から資金提供を受けているが、患者団体は、患者および介護者に対する支援やアドボカシー、情報提供において重要な役割を担っている。また、医療および製薬の政策において影響力のあるアドボケイト(代弁者)としての地位を増しており、研究グループは、両者間の相互作用の解明を試みた。その結果、相互作用としての「asset exchange(資産交換)」の問題が明確になったという。BMJ誌2019年12月12日号掲載の報告。