血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:33

チラブルチニブを中枢神経系原発リンパ腫の効能又は効果で発売/小野薬品

 小野薬品工業は、2020年5月25日、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬チラブルチニブ(商品名:ベレキシブル)について、「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫」の効能又は効果で国内発売した。  中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)は、初発時に病変が脳脊髄(眼を含む)に局在する悪性リンパ腫。PCNSL患者が呈する徴候および症状は病変部位により異なり、局所神経障害、神経精神症状、頭蓋内圧上昇に関連する症状、発作、眼症状、頭痛、運動困難、脳ニューロパチー、神経根障害などがある。

低分子ヘパリン皮下注射の選択のない日本に応用できるか?(解説:後藤信哉氏)-1228

静脈血栓症は難しい。抗凝固薬の使用が一般化したのは肺血栓塞栓症の生命予後改善効果確認後であった。新規の経口抗凝固薬の適応拡大試験を施行するのであれば、「生命予後」を有効性の一次エンドポイントとしたい。しかし、重症例をランダム化比較試験に取り込むことは難しい。静脈血栓の再発などを代替的エンドポイントにせざるを得ない。静脈血栓症の定義は難しい。客観的に確認された血栓があっても予後には影響がないかもしれない。本研究のイベントの詳細がsupplementに記載されているが、悪性腫瘍の診断のために施行したCTにて見いだされた血栓なども含まれる。無症候の静脈血栓の臨床的意味は正直わからない。しかも、open labelの試験である。アピキサバンの適応拡大を目指した試験としての意味はあるかもしれないが、臨床的意味は不明とせざるを得ない。

COVID-19重症化予測、血小板数とFARが有用か

 COVID-19の重症化予測マーカーを調べるため、中国・Wenzhou Medical UniversityのXiaojie Bi氏らがCOVID-19患者の血液検査データを検討した結果、フィブリノーゲン/アルブミン比(FAR)と血小板数が重症化の独立したリスク因子であることがわかった。また、FAR 0.0883未満かつ血小板数13.5万/μL以上の場合、重症化の可能性を除外しうることが示された。Platelets誌オンライン版2020年5月5日号に掲載。  本研究では、Taizhou Public Health CenterにおけるCOVID-19患者113例について臨床的特徴と血液検査データを解析した。COVID-19の重症化を予測するためのバイオマーカーを特定するために多変量Cox分析を行った。その結果に基づいてノモグラムを作成し、予測精度を検量線、決定曲線、臨床影響曲線、Kaplan-Meier分析により評価した。さらに感度、特異度、的中率を算出した。

CLL1次治療、acalabrutinibの第III相試験成績/Lancet

 未治療の症候性慢性リンパ性白血病(CLL)患者の治療において、acalabrutinib±オビヌツズマブは、標準治療であるオビヌツズマブ+chlorambucilによる化学免疫療法と比較して、無増悪生存(PFS)を有意に改善し、安全性プロファイルも良好であることが、米国・Willamette Valley Cancer Institute/US OncologyのJeff P. Sharman氏らの検討「ELEVATE TN試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年4月18日号に掲載された。acalabrutinibは、選択的な共有結合性ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬。未治療CLL患者を対象とした第I/II相試験では、単剤またはオビヌツズマブとの併用で、高い有効性(全奏効割合95~97%)とともに、持続性の寛解、良好な長期忍容性、低い治療中止率が報告されている。オビヌツズマブは抗CD20モノクローナル抗体、chlorambucilは化学療法薬(アルキル化薬)である。

COVID-19流行下で不安募らせるがん患者、医師は受け身から能動へ?

 がん患者の自分が感染したら致命的なのではないか、治療を延期しても大丈夫なのか、この発熱は副作用かそれとも感染か―。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染が拡大する中、がん患者の不安は大きくなってしまっている。エビデンスが十分とはいえない中、また医師自身にも感染リスクがある中で、治療においてどのような判断をし、コミュニケーションを図っていけばよいのか。4月21日、「新型コロナ感染症の拡大を受け、がん患者・家族が知りたいこと」(主催:一般社団法人CancerX)と題したオンラインセッションが開催され、腫瘍科や感染症科など各科の専門医らが、患者および患者家族からの質問に答える形で議論を行った。

貧血と認知症との関連~コホート研究

 従来の認知症のリスク因子に加えて、貧血がその初期のバイオマーカーであるか確認する必要がある。台湾・台北医学大学のChien-Tai Hong氏らは、台湾全民健康保険研究データベースを用いて、新規に貧血と診断された患者における認知症リスクの調査を目的とした人口ベースコホート研究を実施した。Current Alzheimer Research誌オンライン版2020年3月16日号の報告。  対象は、脳卒中による入院歴および認知症以外の中枢神経疾患・精神疾患・外傷性脳損傷・大手術・失血疾患の既往歴がない貧血患者2万6,343例。

BKT阻害薬チラブルチニブ、中枢神経系原発リンパ腫に国内承認/小野薬品

 小野薬品工業は、2020年3月25日、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬チラブルチニブ(商品名:ベレキシブル)について、「再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫」の効能又は効果で国内製造販売承認を取得したと発表。  今回の承認は、再発または難治性の中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)患者44例を対象にチラブルチニブを 1 日 1 回、経口投与による有効性および安全性を評価する多施設共同非盲検非対照第I/II相試験(ONO-4059-02)の結果に基づいている。チラブルチニブ投与患者 17 例において、主要評価項目である全奏効率(中央判定による)は 52.9%(9/17例)であった。チラブルチニブ投与患者における主なGrade3/4の副作用は、好中球減少、白血球減少および高トリグリセリド血症で、各々11.8%(2/17 例)に認められた。

ペグフィルグラスチムの自動投与デバイス国内臨床試験開始/協和キリン

 協和キリンは、ペグフィルグラスチム(商品名:ジーラスタ)の自動投与デバイスに関する国内臨床試験を本年2月19日に開始した。  ペグフィルグラスチムは持続型G-CSF製剤。がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とし2014年より日本にて販売している製品で、がん化学療法を行った翌日以降に医療機関にて投与が行われる。  ペグフィルグラスチムが翌日に自動投与される仕組みを搭載した同デバイスをがん化学療法と同日に使用することにより、ペグフィルグラスチム投与のための通院が不要となり、患者の通院負担、さらには医療従事者の負担の軽減にもつながることを期待している。

MRSA、バンコマイシン/ダプトマイシンへのβラクタム系追加投与は?/JAMA

 MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)菌血症患者に対し、バンコマイシンまたはダプトマイシン静脈投与による標準治療にβラクタム系抗菌薬を追加投与しても、90日時点の複合アウトカムおよび全死因死亡について、有意な改善は認められないことが示された。オーストラリア・Peter Doherty Institute for Infection and ImmunityのSteven Y C Tong氏らが、約350例の患者を対象に行った無作為化試験で明らかにした。MRSA菌血症による死亡率は20%超となっている。これまで標準治療+βラクタム系抗菌薬による介入が死亡率を低下することが示されていたが、検出力が十分な無作為化試験による検討はされていなかった。JAMA誌2020年2月11日号掲載の報告。