新型コロナウイルスワクチン接種によりギラン・バレー症候群の発症リスクは4倍に高まる(解説:内山真一郎氏)
米国食品医薬品局(FDA)は、新型コロナウイルスワクチンAd26.COV2.S(ヤンセン/ジョンソン・エンド・ジョンソン)接種後のギラン・バレー症候群(GBS)に懸念を表明しているが、2021年7月までに全米で報告された130例を分析している。平均年齢は56歳、65歳未満が86%、男性が60%であった。ワクチン接種後GBS発症までの平均日数は13日、93%は重症、死亡は1例であった。これはワクチン接種10万回に1件発症する計算になる。期待値に対する観察値の比率は4.18であり、ワクチン接種によりGBSの発症リスクは4倍以上に高まることになり、年間10万人当たり6.36例発症すると推計される。このように、ワクチン接種後の発症率は低いものの、発症リスクは有意に高まることから、本ワクチン接種には安全性に懸念を持たざるを得ないと結論している。ただし、本研究は受動登録システムによる診療記録の分析であり、GBSの確定診断も確立する必要があることを課題として挙げている。