COVID-19入院患者へのロナプリーブ、血清抗体の有無で有効性に差/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2022/02/25

 

 COVID-19入院患者において、カシリビマブ・イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)の抗体カクテル療法は、血清陰性患者(液性免疫反応が起きていなかった患者)の28日死亡率を低下させたが、血清陽性患者の28日死亡率は低下しなかった。無作為化非盲検対照プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果を、英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏らRECOVERY試験共同研究グループが報告した。カシリビマブ・イムデビマブは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン上にあるそれぞれ異なる部位に非結合的に結合することにより、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻害するモノクローナル抗体で、COVID-19外来患者における有効性が報告されていた。Lancet誌2022年2月12日号掲載の報告。

COVID-19入院患者9,785例において、28日の全死因死亡率を比較

 研究グループは、2020年9月18日~2021年5月22日に、英国の127施設において、RECOVERY試験に登録された患者のうち適格患者、すなわち臨床的にSARS-CoV-2感染が疑われるかまたは検査で感染が確認された12歳以上の入院患者9,785例を、標準治療群または標準治療+カシリビマブ・イムデビマブ群(カシリビマブ4gとイムデビマブ4gを単回点滴静注投与)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。治験責任医師とデータ評価者は、試験期間中、データの解析については盲検化された。

 主要評価項目は28日の全死因死亡率で、まず、無作為時にSARS-CoV-2感染に対する抗体が検出されなかった患者(血清陰性患者)について評価し、その後、無作為化された全例を対象にintention-to-treat解析を行った。安全性は、カシリビマブ・イムデビマブの投与を受けた全例について評価した。

血清陰性患者でのみ28日死亡率が低下

 無作為化された計9,785例(標準治療群4,946例、カシリビマブ・イムデビマブ群4,839例)の患者背景は、平均(±SD)年齢61.9±14.6歳、症状発現からの期間は中央値9日(IQR:6~12)で、血清陰性が3,153例(32%)、血清陽性が5,272例(54%)、入院時の抗体の有無が不明な患者が1,360例(14%)であった。812例(8%)は少なくとも1回SARS-CoV-2ワクチンを接種していた。

 血清陰性患者集団を対象とした主要有効性解析では、28日死亡率はカシリビマブ・イムデビマブ群24%(396/1,633例)、標準治療群30%(452/1,520例)であった(率比[RR]:0.79、95%CI:0.69~0.91、p=0.0009)。ベースライン時の抗体の有無にかかわらず無作為化された全例を対象とした解析では、28日死亡率はカシリビマブ・イムデビマブ群19%(943/4,839例)、標準治療群21%(1,029/4,946例)であった(RR:0.94、95%CI:0.86~1.02、p=0.14)。死亡率に対するカシリビマブ・イムデビマブの比例効果は、血清陽性患者と血清陰性患者で有意差が認められた(異質性のp=0.002)。

 治療に起因する死亡は認められず、事前に規定した安全性評価項目(死因別死亡率、不整脈、血栓症、大出血イベント)について、意味のある群間差は確認されなかった。重篤な有害事象は7例(<1%)報告され(アレルギー反応3例、痙攣2例、急性飽和度低下1例、一過性意識消失1例)、いずれも治験責任医師によりカシリビマブ・イムデビマブ投与と関連ありと判定された。

(医学ライター 吉尾 幸恵)