感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:123

新型コロナワクチン戦略、65歳未満は1回目接種優先が有益/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンは、PfizerのBNT162b2およびModernaのmRNA-1273共に2回接種が標準となっているが、米国・メイヨー・クリニックのSantiago Romero-Brufau氏らは、エージェント・ベース・モデリングによるシミュレーションの結果、65歳未満の人々には1回目の接種を優先して行い2回目の接種を遅らせるワクチン接種戦略が、有益であることを明らかにした。同戦略で1日当たりのワクチン接種率が人口の0.1~0.3%で死亡率は最大20%低下し、1回接種のワクチン有効率が80%以上になる可能性があるという。BMJ誌2021年5月12日号掲載の報告。

TNF阻害薬治療中のIBD患者、新型コロナワクチン単回接種では抗体応答が不良

 新型コロナワクチンを巡っては、世界的に需要が高まり、限られた供給量をどう配分するかが各国における喫緊の課題になっており、単回接種の有効性についての研究も進んでいる。一方で、炎症性腸疾患(IBD)など全身免疫を抑制する治療を行っている患者では、免疫応答が十分に得られず、ワクチンの有効性が落ちるのではないかという懸念がある。英国・Royal Devon and Exeter NHS Foundation TrustのNicholas A Kennedy氏らは、インフリキシマブもしくはベドリズマブ治療中のIBD患者に対し、2種類の新型コロナワクチン接種後の抗体価を比較。その結果、インフリキシマブ治療患者では、ベドリズマブと比べワクチン単回接種後の抗体価が有意に低かった。

Novavax製ワクチン、南ア変異株に効果/NEJM

 米国・Novavax製の遺伝子組み換えSARS-CoV-2ナノ粒子ワクチン「NVX-CoV2373」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防に有効であり、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陰性者において、より高い効果が認められた。NVX-CoV2373接種後の感染例の多くは、南アフリカ(B.1.351)変異株が原因であった。NovavaxのVivek Shinde氏らが、南アフリカで実施したNVX-CoV2373ワクチンの無作為化プラセボ対照第IIa/b相試験の結果を報告した。SARS-CoV-2変異株の出現が、COVID-19感染制御の進展を脅かしている。NVX-CoV2373ワクチンは、健康成人を対象とした第I/II相試験において安全性が確認されるとともに、強力な中和抗体産生と抗原特異的多機能CD4陽性T細胞反応との関連が示されていた。NEJM誌2021年5月5日号掲載の報告。

ファイザー製ワクチン、感染報告率の低下は接種後何日から?/感染研

 ファイザー製の新型コロナワクチンBNT162b2は、国内では2021年2月14日に薬事承認され、2月17日から医療従事者を対象とした先行接種が開始となった。国立感染症研究所は、先のワクチンの臨床的効果を迅速に評価するため、既存のサーベイランスデータを用いた仮想コホートを構成し、1回目接種後のCOVID-19報告率の変化を検討した。その結果、報告率は1回目接種日から12日前後を境に低下する傾向がみられ、接種後0~13日の報告率と比較すると、14~20日で0.42倍、21~27日で0.39倍、28日以降で0.14倍であった。

無症候性新型コロナ感染、ワクチン完了で発生率86%減/JAMA

 イスラエル・テルアビブの3次医療センター(1ヵ所)に勤務する医療従事者について、新型コロナワクチン「BNT162b2」(Pfizer-BioNTech製)の接種完了者は非接種者と比べて、2回目接種後7日超の症候性および無症候性のSARS-CoV-2感染の発生率が有意に減少したことを、同国Tel Aviv Sourasky Medical CenterのYoel Angel氏らが報告した。なお、結果は観察デザインに基づく調査のため限定的だとしている。症候性SARS-CoV-2感染へのBNT162b2ワクチンの有効性については、無作為化試験で推定値が示されているが、無症候性SARS-CoV-2感染への効果については不明であった。JAMA誌オンライン版2021年5月6日号掲載の報告。

AIが探索したCOVID-19の治療薬/日本イーライリリー

 日本イーライリリーは、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)による肺炎に対する治療薬として、適応追加承認を取得した経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤バリシチニブ(商品名:オルミエント)に関するプレスセミナーを開催した。バリシチニブは関節リウマチ、アトピー性皮膚炎の治療薬として承認されている薬剤。  今回のセミナーでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への適応拡大で行われた臨床試験の経過、使用上の詳細について説明が行われた。  はじめに齋藤 翔氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター 総合感染症科)が、「新型コロナウイルス感染症の病態、治療の現状と課題 JAK阻害剤の臨床的位置づけ」をテーマに、バリシチニブの臨床的な位置付けや使用上の注意点などを説明した。

新型コロナウイルスワクチンと血栓症には関係があるのか? (2):ChAdOx1-S(AstraZeneca)の場合(解説:後藤信哉氏)-1391

筆者はワクチン接種による新型コロナウイルス感染拡大速度低減、医療崩壊予防効果に期待している。人類を集団として見た場合には現在のワクチンには効果を期待できる。ワクチンも含めて、現在の医療の科学は個体差を考慮できる水準まで進歩していない。集団に対してワクチンを接種した結果何がどれだけ起こったかを記述するのみである。未来を予知する能力はない。ワクチン接種の結果を過去形で、しかし、速やかに公表することが大切である。

COVID-19予防効果のある薬剤は?RCT11件のメタ解析/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染およびCOVID-19に対する薬剤の予防効果について、カナダ・マックマスター大学のJessica J Bartoszko氏ら研究グループが、WHOのCOVID-19関連データベースを基に、新たなエビデンスを継続的に組み込むリビングシステマティックレビュー(LSR)とネットワークメタ解析により検討したところ、ヒドロキシクロロキンについては、入院および死亡率にほとんど影響がない上、有害事象のリスクを増大する可能性が示された。イベルメクチン単独およびイベルメクチン・イオタカラギナン併用は、バイアスリスクが大きい上、不正確性も極めて高く、確かな根拠が得られなかった。本研究は、BMJ誌2021年4月26日号に掲載された。

新型コロナウイルスワクチンと血栓症には関係があるのか?:Ad26.COV2.S(Janssen)の場合(解説:後藤信哉氏)-1390

新型コロナウイルス禍の克服の鍵の1つがワクチンである。人類は科学技術の英知を結集して驚くべき速さにて新型コロナウイルスに対するワクチンを複数開発した。予後の悪い疾病に対する治療と異なり、健常人に接種するワクチンには高い安全性が要求される。有効かつ安全なワクチンの開発には一般に長い年月がかかる。複雑精妙な人体の調節系は完全に理解されていない。薬剤であれ、ワクチンであれ、投与後の反応を個別予測する演繹的方法は確立されていない。拡大する新型コロナウイルス感染、感染すれば致死率は2%に至るとされる。人類全体として見ればワクチンによる免疫の獲得は感染の拡大速度を減少させ、医療崩壊を防ぐ効果を期待できる。現在も感染の第4波が拡大し、地域によっては医療崩壊にひんしている日本では感染拡大速度を減少させるワクチンを急速に拡大させたい。集団としての視点から日本国内のワクチン接種に反対するヒトは少ないと思う。しかし、予防介入、治療介入には副作用がある。安全性の高いワクチンであっても、ワクチン接種直後に心筋梗塞、脳梗塞などを偶然発症する場合もある。副作用なのか、偶発症なのか、個別のイベントにおける判断は難しい。

AZ製ワクチン、血栓症の絶対リスクは?/BMJ

 Oxford-AstraZeneca製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「ChAdOx1-S」の接種を受けた人では、脳静脈血栓症を含む静脈血栓塞栓症の発生がわずかに増加することが確認された。他の安全性については、血小板減少症/凝固異常と出血イベントの発生がわずかに高かったが、ワクチン接種を受けた人のサーベイランスが強化された影響のためか、大部分は安心してよい結果であったという。デンマーク・南デンマーク大学のAnton Pottegard氏らが、同国とノルウェーで実施したコホート研究の結果を報告した。自発的な有害事象の報告や臨床のケースシリーズにおいて、ChAdOx1-S接種後数日から数週間以内に血小板減少症、出血、動脈/静脈血栓症が発生したことが確認されているが、これらの発生について一般集団での自然発生に基づく予想より過剰かどうかは不明であった。BMJ誌2021年5月5日号掲載の報告。