感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:121

COVID-19後遺障害に関する実態調査/厚生労働省

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策として定期的に厚生労働省で開催されている「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の第39回(令和3年6月16日)において、「COVID-19 後遺障害に関する実態調査(中間集計報告)等」が報告された。  本報告は、2つの中間報告と1つの最終報告で構成され、(1)中等症以上を対象としたCOVID-19の後遺障害、(2)COVID-19の長期合併症の実態把握と病態理解解明、(3)COVID-19による嗅覚、味覚障害の機序と疫学、予後の解明の3つが報告された。

臓器移植患者、ワクチン3回接種で抗体価が大幅上昇/NEJM

 固形臓器移植を受けた患者は、新型コロナワクチンを2回接種しても免疫応答が弱いことが報告されている。そして、移植患者はワクチン2回接種後であっても感染後の重症化リスクが高いことが報告されている。これらを受け、フランス公衆衛生庁は、免疫抑制状態の患者に3回目の接種を行うことを推奨している。NEJM誌オンライン版2021年6月23日号「CORRESPONDENCE」では、3回接種した臓器移植患者の抗体価が報告された。

妊娠中のインフルワクチン接種と出生児の健康アウトカム/JAMA

 妊娠中の母親のインフルエンザワクチン接種は、生まれた子供の健康アウトカムに悪影響を及ぼすことはない。カナダ・ダルハウジー大学のAzar Mehrabadi氏らが、追跡期間平均3.6年間の後ろ向きコホート研究の結果を報告した。妊娠中に季節性インフルエンザワクチンを接種することで妊婦や新生児のインフルエンザ疾患を減らすことができるが、妊娠中のワクチン接種と小児期の有害な健康アウトカムとの関連については、報告が限られていた。JAMA誌2021年6月8日号掲載の報告。

2020年の米国平均余命、2018年から約2年短縮/BMJ

 米国では、2018~20年の平均余命(life expectancy)が他の高所得国よりもはるかに大きく短縮し、とくにヒスパニック系および非ヒスパニック系黒人集団で顕著であった。米国・バージニア・コモンウェルス大学のSteven H. Woolf氏らが、分析結果を報告した。2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより世界中の人々が命を落としたが、米国では他の高所得国に比べ死亡者数が多かったことから、2020年の死亡者数が米国の平均余命や他国との差にどのような影響を与えたかを分析したもの。著者は、「長期にわたり拡大している米国の健康上の不利益、2020年の高い死亡率、持続的な人種・民族的マイノリティに対する不公平な影響は、長年の政策選択と組織的な人種差別の産物であると考えられる」と述べている。BMJ誌2021年6月23日号掲載の報告。

新型コロナ治療に中和抗体カクテル療法を承認申請/中外

 中外製薬は6月29日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療のためのcasirivimabおよびimdevimabの抗体カクテル療法について、国内における製造販売の承認申請を行ったことを発表した。COVID-19患者を対象とした海外臨床第III相試験(REGN-COV 2067)の成績と、日本人における安全性・忍容性、薬物動態の評価を目的とした国内第I相臨床試験の成績に基づき、厚生労働省に特例承認の適用を求めた。  本抗体カクテル療法は、SARS-CoV-2に対する2種類のウイルス中和抗体(casirivimab+imdevimab)を組み合わせ、COVID-19に対する治療および予防を目的として、米国・リジェネロン社などが開発したもの。

COVID-19に対する政府対応の質がメンタルヘルスに及ぼす影響

 COVID-19のパンデミックは、公衆衛生、経済、メンタルヘルスに深刻なダメージを与えている。カナダ・トロント大学のYena Lee氏らは、ウイルス感染を減少させるための政府の厳格な措置をタイムリーに実施することが、メンタルヘルスにベネフィットをもたらすと仮定し、抑うつ症状発現率の減少に影響するかを調査するためシステマティックレビューを行った。Journal of Affective Disorders誌2021年7月1日号の報告。  政府が実施したCOVID-19に対する対応の厳格さおよびタイムリーさの違いがうつ症状の発症をどの程度緩和するかを調査するため、33ヵ国の研究(114件、64万37例)のシステマティックレビューを実施した。高所得国18ヵ国、上位中所得国9ヵ国、下位中所得国6ヵ国からのデータが含まれた。政府が実施したCOVID-19に対する対応の厳格さおよびタイムリーさの評価には、Oxford COVID-19 Government Response("Stringency")Indexを用いた。うつ病の定義は、PHQ-9スコア10以上またはPHQ-2スコア3以上とした。

トファシチニブ、COVID-19肺炎入院患者の予後を改善/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による肺炎で入院した患者の治療において、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬トファシチニブはプラセボと比較して、28日以内の死亡または呼吸不全のリスクを抑制し、安全性に大きな差はないことが、ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのPatricia O. Guimaraes氏らが実施した「STOP-COVID試験」で示された。NEJM誌オンライン版2021年6月16日号掲載の報告。  研究グループは、COVID-19肺炎入院患者の治療におけるトファシチニブの有効性と安全性を評価する目的で、二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行った(Pfizerの助成による)。本試験では、2020年9月16日~12月13日の期間に、ブラジルの15施設で患者登録が行われた。

まれだが致死的な血栓症への対応・事前説明はきわめて難しい(AZワクチン)(解説:後藤信哉氏)-1407

新型コロナウイルス対策としてワクチンの普及は切り札になれると期待している。ワクチンに限らず、すべての医療介入にはメリットとデメリットがある。新型コロナウイルスワクチンの場合には、ワクチン接種によりウイルス感染の広がりを阻止できるとの社会的期待がある。しかし、個別症例にはデメリットもある。本研究は医療従事者における13万例の接種に合併した5例の血栓症の報告である。対象となった医療従事者は32~54歳で特段の疾病の既往はなかった。いずれの症例も接種後7~10日にイベントが起こっている。アナフィラキシーは接種現場で起こる。対応の準備もできる。接種後7~10日に頭痛、背部痛、腹痛などにて救急搬送されている。いずれの症例も静脈血栓が確認されている。血栓の形成部位は脳静脈洞など普通遭遇しない部位である。本研究では臨床イベントのみでなく血液検査を詳細に施行している。いずれの症例もHIT抗体と呼ばれる血小板第4因子・ポリアニオンの高い抗体価を呈した。著者は、これらの症例をワクチンによる免疫性の血小板減少・血栓症としての自発的な(ヘパリンを使用していないとの意味)ヘパリン惹起血小板減少・血栓症(HITT:heparin-induced thrombocytopenia・thrombosis)としている。HITは時に致死的な病態である。ワクチンにまったくの健常者に、ワクチン接種の1~2週に発症する。

COVID-19入院患者へのトシリズマブを緊急使用許可/FDA

 中外製薬は6月25日、同社創製の関節リウマチ治療薬トシリズマブ(商品名:アクテムラ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用を許可したと発表した。コルチコステロイドの全身投与を受けており、酸素補給、非侵襲的もしくは侵襲的な人工呼吸、またはECMOが必要な入院中の成人および2歳以上小児がその対象となる。  今回の緊急使用許可は、4つのランダム化比較試験におけるCOVID-19入院患者、計5,500例超の成績に基づいており、酸素補給または呼吸補助を必要とするコルチコステロイド投与中の患者の転帰を改善する可能性があることが示唆された。

妊婦、子供は?各学会のワクチン接種に対する声明まとめ

 新型コロナワクチンの接種が進む中、疾患等を理由として接種に対して不安を持つ人を対象に、各学会が声明を出している。主だったものを下記にまとめた。 ■日本感染症学会 「COVID-19ワクチンに関する提言(第3版)」 対象:全般 要旨:ワクチンの開発状況、作用機序、有効性、安全性等の基本情報 ■日本小児科学会 「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」 対象:子供(12歳以上) 要旨:まずは子どもの周囲への成人の接種を進める。そのうえで、12歳以上の子供へのワクチン接種は本人と養育者が十分に理解したうえで進めることが望ましく、個別接種を推奨する。