感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:219

ASPECT-cUTI試験:複雑性尿路感染症におけるセフトロザン/タゾバクタムの治療効果~レボフロキサシンとの第III相比較試験(解説:吉田 敦 氏)-401

腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症の治療は、薬剤耐性菌の増加と蔓延によって選択できる薬剤が限られ、困難な状況に直面している。セファロスポリン系の注射薬であるセフトロザンとタゾバクタムの合剤である、セフトロザン/タゾバクタムは、βラクタマーゼを産生するグラム陰性桿菌に効果を有するとされ、これまで腹腔内感染症や院内肺炎で評価が行われてきた。今回、複雑性尿路感染症例を対象とした第III相試験が行われ、その効果と副作用が検証され、Lancet誌に発表された。

病院での手指衛生を向上させる介入とは? ―システマティックレビューとネットワークメタアナリシスによる解析―(解説:吉田 敦 氏)-400

医療関連感染を少なくする最も有効な手段は、スタッフの手指衛生を向上させることである。しかしながら、それが遵守されていない病院は多い。WHOは2005年に、病院での手指衛生の向上を目的とした一連のキャンペーン「Clean Care is Safer Care 清潔なケアがより安全なケア」(WHO-5)を開始した。これは以下の5点、(1)組織変革、(2)トレーニング/教育、(3)評価とフィードバック、(4)作業場でのリマインダー、(5)組織的な安全風土、を骨子とし、それらを組み合わせたものである。今回、WHO-5が実際の手指衛生行動を変容させたかについて、システマティックレビューとメタアナリシスによる解析が行われ、BMJ誌に発表された。

医療従事者の手指衛生励行キャンペーンの効果/BMJ

 WHOが2005年に始めた医療従事者の手指衛生励行キャンペーン(WHO-5)により、医療従事者の手指衛生コンプライアンスが改善したことが、タイ・マヒドン大学のNantasit Luangasanatip氏らによるシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果、報告された。WHO-5は、医療従事者の手指衛生コンプライアンスが平均38.7%(範囲:5~89%)であったことを鑑みプログラムされたキャンペーン。「システムの変更」「訓練と教育」「観察とフィードバック」「院内での喚起」「病院の安全文化」という5つの項目から成る多様な戦略を推進することで手指衛生の改善を図る。検討の結果、さらなる戦略の追加で改善に結び付くことが判明し、著者は「目標設定、インセンティブ、アカウンタビリティ戦略の追加で、さらなる改善をもたらすことが可能なようだ」と述べている。ただし、それら介入に必要なリソースの報告は不十分なままであるとも指摘している。BMJ誌オンライン版2015年7月28日号掲載の報告。

慢性HBV感染の有病率、初の世界的分析結果/Lancet

 世界の慢性B型肝炎ウイルス(HBV)感染症の有病率は3.61%であり、アフリカおよび日本を含む西太平洋地域が最も高率であることなどが、ドイツ・ヘルムホルツ感染症研究センターのAparna Schweitzer氏らにより明らかにされた。世界的分析結果は初となるもので、研究グループは、1965~2013年の発表データを系統的にレビューし、プール解析を行った。Lancet誌オンライン版2015年7月28日号掲載の報告。

小児へのデング熱ワクチン、効果あるも年齢差/NEJM

 2~16歳児を接種対象とした長期サーベイランス中のデング熱ワクチン(遺伝子組み換え型生減弱4価タイプ:CYD-TDV)について、3年時点の中間解析結果が発表された。同期間中の全被験者リスクは、ワクチン接種群が対照群よりも低下したが、9歳未満児で原因不明の入院リスクの上昇がみられたという。インドネシア大学のSri Rezeki Hadinegoro氏らCYD-TDVデング熱ワクチンワーキンググループが、アジア太平洋およびラテンアメリカでそれぞれ行われている3件の無作為化試験の結果を統合分析して報告した。NEJM誌オンライン版2015年7月27日号掲載の報告。

H7N9インフルワクチン、最も力価が高まる製剤は?/JAMA

 不活化単価H7N9インフルエンザワクチンについて、AS03およびMF59アジュバント製剤の2回接種が免疫応答を高めること、最も高力価を示したのはAS03アジュバント製剤であったことが、米国・Group Health Research InstituteのLisa A. Jackson氏らによる第II相二重盲検無作為化試験の結果、報告された。JAMA誌2015年7月21日号掲載の報告より。

ピロリ菌に対する経口組み換え型ワクチンに関する第III相試験(解説:上村 直実 氏)-392

 胃潰瘍や十二指腸潰瘍および胃がんの最大要因であることが判明したピロリ菌に対する、経口組換え型ワクチンに関する大規模な第III相試験の結果が、中国から報告された。6~15歳の健康児童4,464例を対象とした、無作為化二重盲検プラセボ対照試験が行われた結果、接種後1年以内における新たなピロリ菌感染は、ワクチン摂取群2,199例中14例(0.63%)がプラセボ群2,204例中50例(2.24%)に比べて有意に低率であった。さらに、接種後3年間のワクチン摂取群の累積感染率(1.36%)もプラセボ群(3.86%)に比べて有意に低率であった。なお、獲得免疫評価に関する検討では、特異的な抗ウレアーゼBサブユニットの血清IgGと唾液中IgAの平均抗体価は、ベースラインでは両群で同等だったが、ワクチン接種後の3年時点までワクチン群が有意に高値であった。

市中肺炎の入院例における年齢・病原体を調査/NEJM

 米国疾病管理予防センター(CDC)のSeema Jain氏氏らは、市中肺炎による入院について詳細な調査を行った。その結果、高齢者で入院率が高いこと、最新の検査法を駆使したが大半の患者で病原体を検出できなかったこと、一方で呼吸器系のウイルス感染が細菌感染よりも検出頻度が高かったことなどを報告した。米国では、市中肺炎が成人の感染症による入院および死亡の要因であることは知られていたが、詳細は不明であった。NEJM誌オンライン版2015年7月14日号掲載の報告。

感度100%のエボラ迅速診断検査キット/Lancet

 エボラウイルス感染のための迅速診断検査キット「ReEBOV Antigen Rapid Test」は、ポイント・オブ・ケア検査(POCT)でもその診断感度が100%であることが報告された。米国・Partners In Health(ボストン)のMara Jana Broadhurst氏らが、106例を対象とした実地試験の結果、報告した。なお同氏らは284例を対象に検査センターでも試験を行い、同様な結果が確認されたことを報告している。Lancet誌オンライン版2015年6月25日号掲載の報告より。