感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:217

経口抗菌薬への早期切り替え、誤嚥性肺炎でも有効か

 市中肺炎において、早期に抗菌薬の点滴静注から経口投与に移行するスイッチ療法の有効性が報告されているが、誤嚥性肺炎については報告されていない。そこで、聖路加国際病院呼吸器内科 宇仁 暢大氏らは、誤嚥性肺炎患者を対象に、新たに設けられた市中肺炎に対する切り替え基準の可能性と有効性を前向き観察研究で検討した。その結果、患者の約75%がこの新たな切り替え基準を満たし、その約90%が経口投与に安全に移行したことから、この基準の有効性と実現可能性が示唆された。Respiratory investigation誌2015年9月号に掲載。

ネットによる手洗い行動介入は気道感染症の抑制に有効/Lancet

 インターネットを利用して手洗い行動を促す介入法は、気道感染症の拡大の抑制に有効であることが、英国・サウサンプトン大学のPaul Little氏が実施したPRIMIT試験で示された。手洗いは、気道感染症の拡大予防に広く支持され、とくに新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスのパンデミック(pandemic)の際には世界保健機関(WHO)が推奨した。一方、主な感染経路は飛沫とする見解があるなど、手洗いの役割については議論があり、また非貧困地域の成人に関する質の高い無作為化試験のエビデンスはこれまでなかったという。さらに、パンデミックのリスクの増大に伴い、迅速に利用できる低コストの介入法が求められている。Lancet誌オンライン版2015年8月6日号掲載の報告。

ASPECT-cUTI試験:複雑性尿路感染症におけるセフトロザン/タゾバクタムの治療効果~レボフロキサシンとの第III相比較試験(解説:吉田 敦 氏)-401

腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症の治療は、薬剤耐性菌の増加と蔓延によって選択できる薬剤が限られ、困難な状況に直面している。セファロスポリン系の注射薬であるセフトロザンとタゾバクタムの合剤である、セフトロザン/タゾバクタムは、βラクタマーゼを産生するグラム陰性桿菌に効果を有するとされ、これまで腹腔内感染症や院内肺炎で評価が行われてきた。今回、複雑性尿路感染症例を対象とした第III相試験が行われ、その効果と副作用が検証され、Lancet誌に発表された。

病院での手指衛生を向上させる介入とは? ―システマティックレビューとネットワークメタアナリシスによる解析―(解説:吉田 敦 氏)-400

医療関連感染を少なくする最も有効な手段は、スタッフの手指衛生を向上させることである。しかしながら、それが遵守されていない病院は多い。WHOは2005年に、病院での手指衛生の向上を目的とした一連のキャンペーン「Clean Care is Safer Care 清潔なケアがより安全なケア」(WHO-5)を開始した。これは以下の5点、(1)組織変革、(2)トレーニング/教育、(3)評価とフィードバック、(4)作業場でのリマインダー、(5)組織的な安全風土、を骨子とし、それらを組み合わせたものである。今回、WHO-5が実際の手指衛生行動を変容させたかについて、システマティックレビューとメタアナリシスによる解析が行われ、BMJ誌に発表された。

医療従事者の手指衛生励行キャンペーンの効果/BMJ

 WHOが2005年に始めた医療従事者の手指衛生励行キャンペーン(WHO-5)により、医療従事者の手指衛生コンプライアンスが改善したことが、タイ・マヒドン大学のNantasit Luangasanatip氏らによるシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果、報告された。WHO-5は、医療従事者の手指衛生コンプライアンスが平均38.7%(範囲:5~89%)であったことを鑑みプログラムされたキャンペーン。「システムの変更」「訓練と教育」「観察とフィードバック」「院内での喚起」「病院の安全文化」という5つの項目から成る多様な戦略を推進することで手指衛生の改善を図る。検討の結果、さらなる戦略の追加で改善に結び付くことが判明し、著者は「目標設定、インセンティブ、アカウンタビリティ戦略の追加で、さらなる改善をもたらすことが可能なようだ」と述べている。ただし、それら介入に必要なリソースの報告は不十分なままであるとも指摘している。BMJ誌オンライン版2015年7月28日号掲載の報告。

慢性HBV感染の有病率、初の世界的分析結果/Lancet

 世界の慢性B型肝炎ウイルス(HBV)感染症の有病率は3.61%であり、アフリカおよび日本を含む西太平洋地域が最も高率であることなどが、ドイツ・ヘルムホルツ感染症研究センターのAparna Schweitzer氏らにより明らかにされた。世界的分析結果は初となるもので、研究グループは、1965~2013年の発表データを系統的にレビューし、プール解析を行った。Lancet誌オンライン版2015年7月28日号掲載の報告。