感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:230

40年ぶりの新規抗結核薬の有効性/NEJM

 多剤耐性結核に対して、推奨基本レジメンに抗結核薬ベダキリン(国内未承認)を追加し24週間治療を行った結果、プラセボ追加と比較して120週時点の評価で、培養陰性化がより速やかかつ有意に高率に認められたことが報告された。死亡例はプラセボ群よりもベダキリン追加群が多かったが、因果パターンは示されなかったという。南アフリカ共和国・ステレンボス大学のAndreas H. Diacon氏らによる第2b相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験ステージ2の結果、報告された。ベダキリン(Sirturo、TMC207)は40年ぶりとなる新規の抗結核薬で、結核菌のATP合成酵素を阻害するジアリルキノリン系薬である。第2b相試験ステージ1の8週投与の検討において、ベダキリンの追加投与群では、喀痰培養陰性化までの期間が短縮したことが報告されていた。NEJM誌2014年8月21日号掲載の報告より。

マクロライドと心臓死リスクの関連/BMJ

 デンマーク住民を対象とした大規模コホート研究から、クラリスロマイシン使用と心臓死増大との有意な関連が、とくに女性の使用において見つかったことが、Statens Serum Institute社のHenrik Svanstrom氏らにより報告された。同リスクの増大は、ロキシスロマイシン使用ではみられなかったという。マクロライド系抗菌薬はQT間隔を延長するため、致死的不整脈リスクを増大する可能性が示唆されていた。結果を踏まえて著者は、「今回の所見を臨床での意思決定に取り入れる前に、マクロライド系抗菌薬の広範投与について独立集団で確認を行うことが優先すべき課題である」と提言している。BMJ誌オンライン版2014年8月19日号掲載の報告より。

RSウイルス感染にGS-5806が有効/NEJM

 開発中の抗ウイルス薬GS-5806は、RSウイルス(RSV)感染健常人のウイルス量を減少させ、臨床症状の重症度を低下することが、米国・テネシー大学医学大学院のJohn P. DeVincenzo氏らの検討で示された。RSVは乳児の入院の主要な原因であり、重篤な疾患や死亡の原因としての認識が高まっているが、有効性が確認されている抗ウイルス治療はない。GS-5806は、ウイルスエンベロープの宿主細胞膜との融合を阻害することで、低ナノモル濃度でRSVの細胞内侵入を阻止する低分子量の経口薬である。NEJM誌2014年8月21日号掲載の報告。

若者への新規髄膜炎ワクチンの効果/Lancet

 4価髄膜炎菌結合型(MenACWY-CRM)ワクチンとB群血清型(4CMenB)ワクチンについて、接種後1ヵ月時点で両群間の髄膜炎菌保菌率に有意差はみられず、接種後1年間の保菌率も低下したことが示された。英国・サウサンプトン大学のRobert C Read氏らによる観察者盲検第III相無作為化試験の結果、報告された。著者は、「広範な接種導入により、伝播が抑制される可能性がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年8月19日号掲載の報告より。

細気管支炎の入院判断、酸素飽和度のみではできず/JAMA

 緊急救命室を受診した軽症~中等度の細気管支炎を有する乳幼児について、入院の判断をパルスオキシメーター測定値だけで判断することは適切ではないことが明らかにされた。カナダ・Sick Children病院のSuzanne Schuh氏らが、測定酸素飽和度が実際よりも3%高く測定されるように操作介入した場合に入院率が減るかを、無作為化二重盲検並行群間比較試験により検討した結果、仮定したとおりの結果が得られた。しかし、後日の外来受診者数には有意差がみられず、著者は今回の結果を踏まえて「同測定の活用について再評価する必要があるだろう」と指摘している。JAMA誌2014年8月20日号掲載の報告より。

高齢者へのインフルワクチン、高用量で効果増/NEJM

 65歳以上高齢者への高用量3価不活化インフルエンザワクチン(IIV3-HD)接種は、標準量同ワクチン(IIV3-SD)接種に比べ、インフルエンザ様疾患の予防効果が高く、抗体反応の誘導は有意に高いことが示された。米国・ピッツバーグ大学のCarlos A. DiazGranados氏らが約3万2,000例の高齢者を対象に行った第IIIb~IV相臨床試験の結果、報告した。これまでの報告で、抗体反応が向上することは報告されていた。NEJM誌8月14日号掲載の報告より。

日本初のIFNフリー併用療法、海外第3相でも有用/Lancet

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1b型感染患者に対し、開発中のNS5A複製複合体阻害薬ダクラタスビル+NS3プロテアーゼ阻害薬アスナプレビルの経口2剤併用療法(日本では今年7月承認、海外では未承認)は、82~90%と高率の持続的ウイルス消失(SVR)を達成し、忍容性も良好であったことが示された。ドイツ・ハノーバー医科大学のMichael Manns氏らが第III相の国際マルチコホート試験の結果、報告した。所見は、未治療、前治療無効および不適格・不耐容であった患者で認められた。慢性HCV感染治療については、インターフェロンやリバビリンを用いない治療が希求されているが、著者は、「今回の結果は、肝硬変患者を含むHCV遺伝子型1b型感染患者に対して、インターフェロンやリバビリン不要の完全経口療法として、ダクラタスビル+アスナプレビルの使用を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告。