感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

JN.1系統対応コロナワクチン、一変承認を取得/ファイザー・ビオンテック

 ファイザーおよびビオンテックは2024年8月8日付のプレスリリースにて、生後6ヵ月以上を対象とした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株JN.1系統対応の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、日本での製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。  両社は2024年6月10日、オミクロン株JN.1系統のスパイクタンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を含む1価ワクチンについて厚生労働省に承認事項一部変更を申請しており、今回、以下の製剤が承認された。

消毒の難しい器具の消毒、消毒用ワイプvs.UV+過酸化水素

 理学療法で用いられる器具の消毒は、消毒液を含浸したワイプを用いた消毒では不十分である可能性が示された。米国・デューク大学のBobby G. Warren氏らは、理学療法で使用される消毒の難しい器具について、消毒方法の効果を評価した。その結果、消毒液を含浸したワイプによる消毒では病原体が残存する可能性が高かったが、深紫外線(UV-C)と過酸化水素を用いた消毒方法は病原体の残存が抑制された。本研究結果は、Infection Control & Hospital Epidemiology誌オンライン版2024年7月26日号で報告された。

OTC医薬品の点鼻薬が呼吸器感染症の罹病期間や重症度の軽減に有効か

 OTC医薬品の点鼻薬が、公衆衛生の大きな脅威である薬剤耐性に対する強力な武器になるかもしれない。1万4,000人弱の成人を対象にしたランダム化比較試験から、広く用いられている点鼻薬が上気道感染症の罹病期間を短縮し、抗菌薬の必要性を減らすのに役立つ可能性のあることが示された。英サウサンプトン大学心理学および行動医学分野のAdam Geraghty氏らによるこの研究の詳細は、「The Lancet Respiratory Medicine」に7月11日掲載された。  抗菌薬の使い過ぎや誤用によって引き起こされる薬剤耐性は、細菌感染症の治療を困難にしている。研究グループは今回の研究について、点鼻薬を使って鼻や喉からウイルスを洗い流したり、運動やストレスマネジメントによって免疫機能を高めたりすることで、呼吸器感染症の頻度や重症度を減らすことができるという最近のエビデンスに興味を持ち、実施したものだと説明している。

世界では、HIV予防は新しい時代へ(解説:岡慎一氏)

Pre-Exposure Prophylaxis(PrEP)と呼ばれる、HIV感染リスクがある人に対する予防法の研究が、欧米を中心に盛んに行われていたのは、2010年前後である。その結果をもとに2012年には、米国でPrEPが、HIV感染予防法として承認された。当時の方法は、TDFとFTCという2剤の合剤(ツルバダ錠)を1日1回経口服用するというものであった。その後、ほぼ世界中でツルバダ錠によるPrEPは承認された。これに対し、日本では、2024年9月頃にやっとツルバダ錠によるPrEPが承認される予定である。まさに、12年という十二支の周回遅れである。先進国でPrEPが認可されていなかったのは、もちろん日本だけである。

経口コロナ治療薬シェア7割のゾコーバ、入院を37%抑制/塩野義

 塩野義製薬は7月29日の第1四半期決算説明会にて、新型コロナウイルス感染症治療薬のゾコーバ(一般名:エンシトレルビル フマル酸)について、現在流通する3剤の経口コロナ治療薬の中でシェアを拡大し、とくに2024年4月以降は重症化リスク因子を有する患者への処方が多く、7月第3週時点でシェア67.6%に達したことを明らかにした。ゾコーバの重症化リスクのある患者の入院抑制効果など、リアルワールドエビデンスが蓄積されていることについて、以下のとおり説明された。

忽那氏が振り返る新型コロナ、今後の対策は?/感染症学会・化学療法学会

 2024年8月2日の政府の発表によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の定点当たりの報告数は14.6人で、昨夏ピーク時(第9波)の20.5人に迫る勢いで12週連続増加し、とくに10歳未満の感染者数が最も多く、1医療機関当たり2.16人だった。週当たりの新規入院患者数は4,579人で、すでに第9波および第10波のピークを超えている。  大阪大学医学部感染制御学の忽那 賢志氏は、これまでのコロナ禍を振り返り、パンデミック時に対応できる医師が不足しているという課題や、患者数増加に伴う医師や看護師のバーンアウトのリスク増加など、今後のパンデミックへの対策について、6月27~29日に開催の第98回日本感染症学会学術講演会 第72回日本化学療法学会総会 合同学会にて発表した。

ニルマトレルビル・リトナビルには曝露後予防効果がない(解説:栗原宏氏)

2024年現在も定期的にCOVID-19の感染拡大が繰り返されている。家庭内や職場等で感染者が出た場合、無症状者に対する有効な予防策が問題となる。重症化リスクを持つ患者の家庭、医療機関や療養施設では大きな関心があると思われる。とくに医療機関や療養施設での患者やスタッフのクラスターの発生は、当該施設だけでなく地域全体にも大きな負担となりうる。  現在、ニルマトレルビル・リトナビル(商品名:パキロビッド)5日分の費用は、3割負担でも約3万円とかなり高額である。

公共の場でのマスク着用、呼吸器感染症の発症予防効果は/BMJ

 14日間にわたり公共の場でサージカルフェイスマスクを着用した場合、着用しない場合と比較して、自己申告に基づく呼吸器感染症の症状発症リスクが有意に減少した。ノルウェー・公衆衛生研究所のRunar Barstad Solberg氏らが実用的無作為化優越性試験の結果を報告した。感染予防策としてのサージカルフェイスマスクの有効性は定かではなく、観察研究でフェイスマスクの着用が呼吸器感染症のリスクを減少させることが示唆されているが、これまでの無作為化試験は検出力不足など方法論的に限界があった。著者は、「本研究は多くの先行試験と異なり、十分な検出力を有している。フェイスマスクの着用は、負担の少ない比較的低コストで簡単な、呼吸器感染症の流行を抑えるために検討する価値があると考えられるいくつかの公衆衛生および社会的対策の1つである」とまとめている。BMJ誌2024年7月24日号掲載の報告。

免疫不全患者に対するCOVID-19の曝露前発症抑制、sipavibart承認申請/AZ

 アストラゼネカは、2024年7月26日付のプレスリリースで、免疫不全患者に対するCOVID-19の曝露前発症抑制を目的として開発を進めている長時間作用型モノクローナル抗体sipavibartについて、製造販売承認を厚生労働省に申請したと発表した。  本申請は、第III相SUPERNOVA試験の結果に基づく。SUPERNOVA試験は、COVID-19の発症抑制を目的としてsipavibartの安全性および有効性を対照(チキサゲビマブ/シルガビマブまたはプラセボ)と比較評価する大規模な第III相、国際共同、無作為化、二重盲検比較試験であり、免疫不全患者を対象にCOVID-19に対する有効性データを提供する唯一の試験である。本試験は、SARS-CoV-2のすべての変異株によって引き起こされる症候性COVID-19発症の相対リスクの減少、F456L変異を有さないSARS-CoV-2変異株によって引き起こされる症候性COVID-19発症の相対リスクの減少の2つの主要評価項目を達成した。また、本試験では、試験期間中に感染者において複数の異なるSARS-CoV-2変異株が確認されるという、変異株が進化し続ける状況において、sipavibartの潜在的な有用性が示された。

日本女性の平均寿命87.14歳は世界1位、男女とも前年より寿命延長/厚労省

 厚生労働省は、7月26日に令和5年の簡易生命表の概況を発表した。これによると男性の平均寿命は81.09歳、女性の平均寿命は87.14歳となり、3年ぶりに前年を上回った。  前年と比較して男性は0.04年、女は0.05年上回ったほか、平均寿命の男女差は6.05年で前年より0.02年延長した。  65歳の死因別死亡確率(主要死因)について、男性では肺炎6.18%(前年6.13%)、老衰8.85%(前年8.31%)が前年に比べ死亡確率が上昇し、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患は前年に比べ低下した。女性では肺炎4.44%(前年4.34%)、老衰20.77%(前年19.79%)が前年に比べ死亡確率が上昇し、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患は前年に比べ低下した。