内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:163

抗うつ薬と骨量減少との関連~メタ解析

 うつ病や抗うつ薬の使用は、骨粗鬆症のリスク因子の1つであるといわれている。しかし、抗うつ薬の骨への影響やうつ病患者の年齢と骨の健康状態の自然な低下に関する研究では、一貫した結果が得られていない。イタリア・Magna Graecia UniversityのMichele Mercurio氏らは、抗うつ薬と骨密度(BMD)の関連を調査した。その結果、セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用がBMD減少と関連している可能性が示唆された。著者らは結果を踏まえ、抗うつ薬の使用と骨の脆弱性との潜在的な関連性に対する医師の意識を高め、骨の健康状態のモニタリング強化を目指すと述べている。Orthopedic Reviews誌2022年10月13日号の報告。

無症状・軽症コロナ患者、約1年後もIgG抗体を維持

 新型コロナウイルスに感染した無症状または軽症の小児と成人の患者では、感染から約1年後の時点においても、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質受容体結合ドメイン(S-RBD)に対する免疫グロブリンG(IgG)抗体価は維持されており、特に3歳未満の児の抗体価は18歳以上の成人より有意に高いとする研究結果を、パドヴァ大学(イタリア)のCostanza Di Chiara氏らが「JAMA Network Open」に7月13日発表した。  Chiara氏らは、2020年4月から2021年8月の間に登録された、新型コロナウイルス感染が確認された小児および18歳以上の成人患者を追跡し、S-RBD IgG抗体価を測定する単一施設の前向きコホート研究を実施した。新型コロナウイルスの家族間感染を起こした計252家庭を対象として、3歳未満、3~5歳、6~11歳、12~17歳、18歳以上の年齢層に分け、感染から1~4カ月時点、5~10カ月時点、10カ月以上経過した時点の複数回にわたり血清学的な追跡調査を行った。解析にはχ2検定、フィッシャー正確検定、対応のない両側t検定などを用いた。

認知症における抗精神病薬処方を合理化するための介入

 認知症介護施設の入居者に対する不適切な抗精神病薬投与は問題となっている。この問題に対処するため、施設スタッフの教育やトレーニング、アカデミック・ディテーリング、新たな入居者評価ツールで構成された「認知症に対する抗精神病薬処方の合理化(RAPID:Rationalising Antipsychotic Prescribing in Dementia)」による複合介入が開発された。アイルランド・ユニバーシティ・カレッジ・コークのKieran A. Walsh氏らは、認知症介護施設の環境下におけるRAPID複合介入の利用可能性および受容性を評価するため、本研究を実施した。また、向精神薬の処方、転倒、行動症状に関連する傾向についても併せて評価した。その結果、RAPID複合介入は広く利用可能であり、関係者の受容性も良好である可能性が示唆された。著者らは、今後の大規模研究で評価する前に、実装改善のためのプロトコール変更やさらなる調査が必要であるとしている。Exploratory Research in Clinical and Social Pharmacy誌2022年10月10日号の報告。

ファイザーBA.4/5対応2価ワクチンの第II/III相試験、1ヵ月後データ

 米国・Pfizerは11月4日付のプレスリリースで、同社のオミクロン株BA.4/5対応の新型コロナウイルス2価ワクチンについて、追加接種から1ヵ月後の第II/III相試験データを発表した。30μgの追加接種により、同社の起源株に対する1価ワクチンよりも強固な中和免疫反応が得られたことが確認され、安全性および忍容性プロファイルは両ワクチン間で同様だった。  今回の第II/III相試験では、同社のBA.4/5対応2価ワクチンの4回目の追加接種(30μg)について、接種前と接種から1ヵ月後の血清を採取して評価した。SARS-CoV-2感染の既往がある人とない人を均等に層別化し、18~55歳(n=38)および55歳以上(n=36)のサブセットを設定した。また、同社の起源株に対応した1価ワクチン30μgを4回目接種として投与された55歳以上(n=40)を対照群として、同様に均等な層別化をしながら無作為に抽出した。2価ワクチンを接種した被験者は、前回の追加接種が約10〜11ヵ月前であったのに対し、1価ワクチンを接種した被験者は、前回の追加接種が約7ヵ月前であったが、この差にもかかわらず、4回目接種前の抗体価は両者でほぼ同様だった。

SNSで健康情報を共有する前に自問すべき5つのポイント―AHAニュース

 健康に関する情報を求めてSNSなどのソーシャルメディアを利用する人が増えているが、それとともに誤った情報が増加し、その影響が深刻化している。専門家は、誤った医療情報を淘汰するために、情報投稿者には投稿前に踏むべきステップがあると指摘している。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する不正確な情報が氾濫したことを受けて、米公衆衛生局は昨年、「健康関連の誤情報に立ち向かう(Confronting Health Misinformation)」というタイトルの勧告を発表した。22ページに及ぶこのレポートの中で、ソーシャルメディアでは情報の正確さよりも他者の関心を引くことが優先され、虚偽の情報が共有される確率は真実の情報が共有される確率よりも70%高いという研究結果が取り上げられている。

医療者も実は…?糖尿病のスティグマを見直す/日糖協の活動

 近い将来、「糖尿病」という病名は使用されなくなるかもしれない。  日本糖尿病協会(以下、日糖協)は、都内開催のセミナーにて、「『糖尿病』という言葉を変える必要がある」と問題意識を明らかにした。現在、日糖協では「糖尿病にまつわる“ことば”を見直すプロジェクト」を推進しており、病名変更もその一環だ。  日糖協理事の山田 祐一郎氏(関西電力病院 副院長)は、「言葉を変える目的は、糖尿病に関するスティグマ(偏見)を減らすことにある。単なる言葉の入れ替えでは意味がない。医療従事者と糖尿病のある方とのコミュニケーションを変えることが重要だ」と述べた。

BA.4/5対応2価ワクチン後、年齢別の副反応発生状況/CDC

 12歳以上における、ファイザー社およびモデルナ社の2価ワクチンによるブースター接種後の安全性データを、米国疾病予防管理センター(CDC)のAnne M. Hause氏らがMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)11月4日号に報告した。  米国食品医薬品局(FDA)は2022年8月31日に、12歳以上へのBNT162b2(ファイザー)および18歳以上へのmRNA-1273(モデルナ)COVID-19ワクチンの2価製剤を承認。これらのワクチンにはSARS-CoV-2のオリジナル株およびBA.4/BA.5のスパイクタンパク質をコード化したmRNAが含まれる。10月23日までの間に、約2,260万回の2価ブースターワクチンが投与されている。今回、同期間中の2価ワクチン接種者における、v-safe(スマートフォンを用いたアクティブサーベイランスシステム。接種後1週間の局所および全身反応と健康への影響が報告される)およびVAERS(CDCとFDAが管理する、ワクチン接種後の有害事象をモニタリングするパッシブサーベイランスシステム)に報告された事象および健康影響評価のレビューが行われた。

生後6ヵ月からCOVID-19ワクチン接種推奨を提言/日本小児科学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第8波が到来しつつある今、第7波で起こった小児へのCOVID-19感染の増加、重症化や今冬のインフルエンザの同時流行を憂慮し、日本小児科学会(会長:岡明[埼玉県立小児医療センター])の予防接種・感染症対策委員会は、同学会のホームページで「生後6ヵ月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を発表した。

アスピリン潰瘍出血、ピロリ除菌での予防は一時的?/Lancet

 Helicobacter pylori(H. pylori)除菌は、アスピリンによる消化性潰瘍出血に対する1次予防効果があるものの、その効果は長期間持続しない可能性があることが、英国・ノッティンガム大学のChris Hawkey氏らが英国のプライマリケア診療所1,208施設で日常的に収集された臨床データを用いて実施した、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Helicobacter Eradication Aspirin Trial:HEAT試験」の結果、明らかとなった。アスピリンによる消化性潰瘍は、H. pylori感染と関連していることが知られていた。Lancet誌2022年11月5日号掲載の報告。

高齢化率世界一の日本のコロナ禍超過死亡率が低いのは?/東京慈恵医大

 新型コロナウイルス感染症流行前の60歳平均余命が、コロナ禍超過死亡率と強く相関していたことを、東京慈恵会医科大学分子疫学研究部の浦島 充佳氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2022年10月19日掲載の報告。  新型コロナウイルス感染症は高齢者において死亡リスクがとくに高いため、世界一の高齢者大国である日本ではコロナの流行によって死亡率が高くなることが予想されていたが、実際には死亡率の増加が最も少ない国の1つである。