内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:221

コロナワクチンの免疫応答、年齢による違い/京大iPS細胞研究所

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチンの個人差・年齢差を検討したところ、65歳以上の高齢者ではワクチン接種後のT細胞応答の立ち上がりが遅い一方、収束は早いという特徴があることを、京都大学iPS細胞研究所の城 憲秀氏らによる共同研究グループが明らかにした。Nature Aging誌 2023年1月12日掲載の報告。  一般に加齢とともに免疫機能が低下することはよく知られているが、T細胞が生体内で刺激を受けた際の応答が加齢によってどのように、またどの程度変化するかは不明であった。そこで研究グループは、ワクチン接種後のT細胞応答や抗体産生、副反応との関連を調査した。

日本人高齢者の日常的な温泉入浴とうつ病との関係~別府レトロスペクティブ研究

 温熱療法は、うつ病など、さまざまな精神疾患のマネジメントに用いられる。九州大学病院別府病院の山崎 聡氏らは、日本人高齢者の温泉入浴とうつ病との関係を検討するため、アンケート調査を実施した。その結果、習慣的な毎日の温泉入浴とうつ病歴の低さとの間に関連があることが確認された。著者らは、温泉の使用が精神疾患や精神障害の症状緩和に有用であるかを明らかにするためにも、うつ病治療としての習慣的な毎日の温泉入浴に関するプロスペクティブ無作為化比較試験が求められるとしている。Complementary Therapies in Medicine誌オンライン版2022年12月13日号の報告。  大分県別府市在住の65歳以上の高齢者1万429人に対して、うつ病の有病率に関するアンケート調査を実施し、回答した219人を対象に長期的な温泉入浴のうつ病予防効果を総合的に評価した。うつ病歴のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。

コロナワクチン後の心筋炎、高濃度の遊離スパイクタンパク検出

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のmRNAワクチン(以下、新型コロナワクチン)接種後、まれに心筋炎を発症することが報告されているが、そのメカニズムは解明されていない。そこで、マサチューセッツ総合病院のLael M. Yonker氏らの研究グループは、青年および若年成人の新型コロナワクチン接種後の血液を分析し、心筋炎発症例の血中では、切断を受けていない全長のスパイクタンパク質が、ワクチン接種により産生された抗スパイク抗体に結合していない“遊離”の状態で、高濃度に存在していたことを発見した。Circulation誌オンライン版1月4日掲載の報告。

コロナに感染した医師はどれくらい?ワクチン接種回数別では?

 2020年初頭から新型コロナウイルス感染症の国内での流行が始まり、3年が経過した。CareNet.comでは、これまでにどれくらいの医師が新型コロナに感染したのかを把握するため、会員医師1,000人を対象に『医師の新型コロナ感染状況に関するアンケート』を実施した。その結果、コロナ診療の有無や、年齢、診療科、病床数別、ワクチン接種回数別の感染状況が明らかとなった。また、回答者自身や周囲が感染した際に感じたさまざまな課題も寄せられた(2022年12月10~17日実施)。  Q1では、コロナの診療に携わっているかについて聞いた。「診療している」が63%、「以前は診療していたが、今はしていない」が7%、「診療していない」が30%となり、全体の70%の医師がコロナの診療に携わっていた。年代別では、「診療している」もしくは「以前は診療していたが、今はしていない」と答えた回答者の割合は、年齢が若いほど高く、20代は87%、30代は78%、40代は70%だった。診療科別では、割合が高い順に、救急科(100%)、呼吸器内科(90%)、腎臓内科、臨床研修医(87%)となった。

COPDガイドライン改訂―未診断者の早期発見と適切な管理を目指して

 COPDは、日本全体で約500万人を超える患者がいると見積もられており、多くの非専門医が診療している疾患である。そこで、疾患概念や病態、診断、治療について非専門医にもわかりやすく解説する「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第6版」が2022年6月24日に刊行された。本ガイドラインは、2018年版からの4年ぶりの改訂で、大きな変更点としてMindsに準拠した形で安定期COPD治療に関する15のクリニカルクエスチョン(CQ)を設定したことが挙げられる。本ガイドライン作成委員会の委員長を務めた柴田 陽光氏(福島県立医科大学呼吸器内科学講座 教授)に改訂点や日常診療におけるCOPD診断・治療のポイントについて、話を聞いた。

過剰な対策の見直しや具体例追記「医療機関のコロナ対応ガイド 第5版」/日本環境感染学会

 日本環境感染学会(理事長:吉田 正樹氏[東京慈恵会医科大学 感染制御科 教授])は、1月17日に『医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第5版)』を同学会のホームページで公開するとともに、同日開催の厚生労働省の第114回 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでも発表した。  学会では、「COVID-19の第8波に突入し、医療機関でも多くのクラスターが発生するなど厳しい状況に置かれている中、この感染症に対する感染対策については、新たなエビデンスも蓄積しているため、今回、第5版として改訂版を公開した」とその目的を述べるとともに、「医療の現場では感染対策を緩める時期はまだ先だと思われる。ただし過剰な対策は見直していく必要があり、新しいエビデンスも含めて理にかなった適切な感染対策を実施し、この状況を乗り越えて欲しい」と希望を寄せている。

高齢者の認知機能に対するハーブ抽出物の効果~ランダム化対照試験

 アルツハイマー病モデルに関するin vitroおよびin vivoの研究において、ロスマリン酸がアミロイドβの形成やアミロイドβタンパク質のオリゴマー化や沈着を阻害できると報告されている。ロスマリン酸500mgを含有する食用ハーブであるメリッサオフィシナリス(M. officinalis)抽出成分は、健康成人や軽度のアルツハイマー型認知症患者に対し忍容性、安全性が良好であると考えられる。金沢大学の篠原 もえ子氏らは、高齢者におけるM. officinalis抽出成分の認知機能に対する影響を評価するため、ランダム化プラセボ対照二重盲検試験を実施した。その結果、M. officinalis抽出成分は、高血圧でない高齢者の認知機能低下の予防に有用である可能性が示唆された。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2022年12月7日号の報告。

静脈血栓の抗凝固療法はいつまで必要?(解説:後藤信哉氏)

以前よりだいぶ増えてきたとはいえ、日本の静脈血栓症の発症リスクは欧米ほど高くない。症状はあるけど画像診断にて末梢側に血栓を認めた症例に抗凝固薬をどのくらい使用したらよいか? 実臨床では迷うケースが多い。静脈血栓症の症候は下肢痛、浮腫なのであるが、重症度にはばらつきが大きい。神経質な症例ではわずかの浮腫も気になるし、大まかな人もいる。症状があって、静脈血栓を見つけたら抗凝固薬を始めるだろう。

アセトアミノフェン含有製剤、薬剤性過敏症症候群を重大な副作用に追加/厚労省

 アセトアミノフェン含有製剤の添付文書について、2023年1月17日、厚生労働省が改訂を指示した。改訂内容は『重大な副作用』の項への「薬剤性過敏症症候群」の追記で、薬剤性過敏症症候群の国内症例を評価したことに基づく。症例の因果関係評価および使用上の注意の改訂要否について、専門委員の意見も聴取した結果、本剤と薬剤性過敏症症候群との因果関係の否定できない国内症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断された。

脳卒中後の職場復帰状況は?/BMJ

 手厚い福利厚生と支援システムを有するデンマークでは、主に軽症の脳梗塞成人患者の約3分の2が、診断から2年後には労働市場に参加している一方で、脳出血患者は脳梗塞やくも膜下出血の患者に比べ職場復帰の確率が低いことが、デンマーク・オーフス大学病院のNils Skajaa氏らの調査で示された。職場復帰をしていない理由で最も多かったのは、病気休暇の取得と障害年金の受給であったという。研究の成果は、BMJ誌2023年1月3日号で報告された。