内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:308

COVID-19、英国変異株は死亡リスクが高い/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の英国変異株variant of concern 202012/1(VOC-202012/1)は、感染により死亡リスクが増加する可能性が高いことを、英国・エクセター大学のRobert Challen氏らがマッチングコホート研究の結果、明らかにした。VOC-202012/1は、2020年秋にイングランド南東部で初めて検出されたが、これまで流行している変異株より感染力があり、この変異株の出現は病床稼働率の上昇と死亡率の増加に関連することが知られていた。著者は、「今回の結果が他の集団に対して一般化できるなら、これまで流行している変異型と比較して、VOC-202012/1の感染は著明な死亡率増加の原因となる可能性がある」と指摘している。BMJ誌2021年3月9日号掲載の報告。

潰瘍性大腸炎、患者の90%が持つ自己抗体を発見/京大

 潰瘍性大腸炎(UC)は、その発症に免疫系の異常が関連していると考えられているが、原因はいまだ解明されておらず、国の指定難病となっている。京都大学・塩川 雅広助教らの研究グループは3月9日、潰瘍性大腸炎患者の約90%に認められる新たな自己抗体を発見したことを発表した。現在、この自己抗体を測定する検査キットを企業と共同開発中。Gastroenterology誌オンライン版2021年2月12日号に掲載。  本研究は、潰瘍性大腸炎患者112例と対照患者165例が登録された。潰瘍性大腸炎は、症状、内視鏡所見、組織学的所見、および代替診断の欠如の組み合わせによって診断。血清サンプルは、2017年7月~2019年11月までに京都大学医学部附属病院で採取され、潰瘍性大腸炎患者112例と対照患者155例が、それぞれトレーニング群と検証群に分けられた。

イベルメクチン、軽症COVID-19の改善効果見られず/JAMA

 軽症COVID-19成人患者において、経口駆虫薬イベルメクチンの投与(5日間コース)はプラセボと比較し、症状改善までの期間を有意に改善しないことが示された。コロンビア・Centro de Estudios en Infectologia PediatricaのEduardo Lopez-Medina氏らが、約400例を対象に行った試験で明らかにした。イベルメクチンは、その臨床的有益性が不確実にもかかわらず、COVID-19の潜在的な治療薬として広く処方されている。著者は、「今回の試験では、軽症COVID-19へのイベルメクチンの使用を支持する所見は認められなかった。さらなる大規模な試験を行い、イベルメクチンの他の臨床関連アウトカムの効果を明らかにする必要があるだろう」と述べている。JAMA誌オンライン版2021年3月4日号掲載の報告。

セントラルドグマが崩れたのか(解説:岡村毅氏)-1363

現代のアルツハイマー型認知症の病理のいわばセントラルドグマであるアミロイド仮説がかなり危なくなってきた。背景から説明したい。 アルツハイマー型認知症で亡くなった方の脳では、アミロイドが蓄積している。もっと詳しく書くと、後頭葉や側頭葉内側面から出現したアミロイドプラークが病気の進行とともに広がっていく(Braakらの研究)。このようにしてできたのが「アミロイド・カスケード仮説」である。この仮説は2005年から2010年にかけて行われたADNI(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)によって生きているヒトの脳でも確認された。

GSK/Vir社の新型コロナ治療薬が入院・死亡リスクを85%低減、変異株にも有効か/第III相試験中間解析

 グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下GSK)は、3月15日、Vir Biotechnology,Inc.(本社:米国、以下Vir 社)と共同開発したCOVID-19治療薬VIR-7831/GSK4182136について、第III相試験 COMET-ICE(COVID-19 Monoclonal antibody Efficacy Trial-Intent to Care Early)で、入院・死亡リスクを85%低減させたとする中間解析を発表した。両社は今後、米国における緊急使用許可申請と、他国での承認申請を進める予定だ。本結果により十分な有効性が確認されたとして、3月10日、独立データモニタリング委員会が本試験への追加の被験者組み入れを中止するよう勧告した。

ドンペリドン、胎児の奇形リスクなし/国内大規模データベース

 制吐薬ドンペリドンは動物実験で催奇形性が示されたことから、従来、妊婦禁忌とされてきた。しかし、つわりと知らずに服用し妊娠が判明した後に気付いて妊娠継続に悩む女性が少なくない。一方で、本剤は米国で発売されていないことから疫学研究も少なく、安全性の根拠に乏しい面もあった。今回、国立成育医療研究センターの「妊娠と薬情報センター」と虎の門病院は、両施設が保有する1万3,599例もの妊娠中の薬剤曝露症例のデータベースを用いて、ドンペリドンの催奇形性を解析。その結果、妊娠初期に本剤を服用した例と、リスクがないことが明らかな薬のみを服用した例では、奇形発生率に有意な差は見られなかった。The Journal of Obstetrics and Gynaecology Research誌オンライン版2021年2月25日号に掲載。

新型コロナワクチン、無症候性感染者を94%予防か/ファイザー

 米国・Pfizer社、ドイツ・BioNTech社、イスラエル保健省(MoH:Ministry of Health)は、イスラエルでの集積データから同社が製造する新型コロナウイルス感染症のmRNAワクチン(BNT162b2)の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の発症や入院、死亡を予防する効果は、症候性の場合で少なくとも97%、無症候性の場合で94%だったことを3月11日付けのプレスリリースで発表した。また、今回のデータ解析からワクチン接種を受けていない人は症候性の新型コロナを発症する可能性は44倍高く、新型コロナが原因で死亡する可能性は29倍高いことも示唆されたという。

オリンピック開催、医師の賛否や検討すべき条件は?/会員アンケート結果

 新型コロナウイルス感染症流行によって、今年7月に延期された東京オリンピック・パラリンピック。しかし、3月現在でも国内外の感染流行は収まらず、開催すべきか中止・再延期すべきか、開催するとすればどのような条件下で行うべきか、連日メディアではさまざまな案が報道されている。医療の最前線に立つ医師たちは、開催の賛否をどう考えているのか。2021年3月9、10日にインターネットで会員医師にアンケートを行い、1,020人から回答を得た。

片頭痛へのガルカネズマブ承認、既存薬との使い分けは

 「片頭痛発作の発症抑制」を効能・効果として、ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体薬ガルカネズマブ(商品名:エムガルティ)が1月22日に製造販売承認を取得した。2月25日にオンラインメディアセミナーが開催され(主催:日本イーライリリー)、平田 幸一氏(獨協医科大学 副学長)、坂井 文彦氏(埼玉精神神経センター・埼玉国際頭痛センター長)が登壇。同薬の片頭痛治療における位置づけと臨床試験結果について講演した。  現在、片頭痛の発生メカニズムとしては「三叉神経血管説」が広く受け入れられている。ストレス・ホルモン等の内因性の刺激、あるいは天候・匂いや光といった外因性の刺激を受けることによって三叉神経終末からCGRPなどの神経ペプチドが放出される。神経ペプチド放出により血管拡張、血漿タンパクの漏出、肥満細胞の脱顆粒などの神経原性炎症が発生し、疼痛シグナルが中枢へと伝達して大脳皮質で痛みとして知覚される。

新型コロナワクチン接種後の安全性情報をリアルタイム公開/三重県

 国立病院機構三重病院では、三重県予防接種センター事業の一環として、ワクチンの安全性情報をインターネット上でリアルタイム公開するシステムCOV-Safeを開発・運用している。3月15日時点で、約700人の接種7日後までのデータが順次公開されており、発熱は1%未満と稀で、接種当日と翌日に接種部位の痛みを感じる人が比較的多い傾向がみられている。  COV-Safeは、ワクチンを接種し、調査への協力が得られた人が接種後の健康状態についてアプリから入力すると、匿名化されたデータがリアルタイムに集計され、速やかに安全性情報が表示されるシステムとなっている。ホームページで公開されるのは速報版で、今後詳細な解析結果も発表される予定。なお、本調査の一部は国立研究開発法人日本医療研究開発機構 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業「ワクチンの実地使用下における基礎的・臨床的研究及びワクチンの評価・開発に資する研究」(研究代表者:菅 秀氏)で実施されている。