内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:309

新たな認知症評価尺度ABC認知症スケールの妥当性

 認知症を評価するための新しいツールとしてABC認知症スケール(ABC-DS)が、日本において開発された。ABC-DSは、日常生活動作(ADL)に関するドメインA、認知症の周辺症状(BPSD)に関するドメインB、認知機能に関するドメインCについて同時に評価できる包括的なツールであり、簡便かつ迅速に実施することが可能であり、認知症の重症度および経時的変化を測定することができる。これまで、ABC認知症スケールは、アルツハイマー型認知症(AD)の評価に有用であることが報告されているが、その他の認知症での研究はまだ行われていなかった。長崎大学の下田 航氏らは、さまざまな認知症のサブタイプや重症度に対するABC認知症スケールの妥当性について再評価を行った。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2021年2月12日号の報告。  対象は、長崎県の病院1施設における外来患者および施設を利用している患者。ドメインAは認知症機能障害尺度(DAD)、ドメインBはNeuropsychiatric Inventory(NPI)、ドメインCはミニメンタルステート検査(MMSE)、ABC-DS合計スコアは臨床的認知症尺度(CDR)を用いた評価との相関を調査した。

「新型コロナワクチン接種に伴う重度の過敏症の管理・診断・治療」を公開/日本アレルギー学会

 新型コロナウイルスワクチンが特例承認され、2月から医療関係者を対象とした接種が始まっている。現時点でアナフィラキシー発症頻度が従来のワクチンよりも高いことが報告されているが、いずれも適切な対処により回復している。ワクチン接種に際してはその益と害のバランスを考えることが必要であり、副反応に対する過度な懸念や対応は社会に大きな損失と負担をもたらす。日本アレルギー学会では、新型コロナウイルスワクチン接種に伴う副反応のうち、とくに重度の過敏反応(アナフィラキシー等)を起こし得る危険因子、管理、診断および治療について現時点の情報を整理し、適切にワクチン接種を行うための指針として、「新型コロナウイルスワクチン接種にともなう重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療」を作成し、3月1日学会ホームページに公開した。3月12日に改訂版が公開されている。

肥満2型DMへのセマグルチド、68週後の体重減少は約10%/Lancet

 過体重/肥満の2型糖尿病成人患者において、GLP-1アナログ製剤のセマグルチド2.4mg週1回投与は臨床的に意義のある体重減少を達成し、プラセボに対する優越性が示された。英国・レスター大学のMelanie Davies氏らが、体重管理を目的としたセマグルチド2.4mg週1回皮下投与の有効性と安全性を同1.0mg(糖尿病治療として承認された投与量)およびプラセボと比較する、無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「Semaglutide Treatment Effect in People With Obesity 2:STEP 2試験」の結果を報告した。2型糖尿病患者において、セマグルチド1.0mg投与は体重減少効果があることが示されており、体重管理のための高用量2.4mg投与の有効性が検討されていた。Lancet誌オンライン版2021年3月2日号掲載の報告。

コロナ対策、二重マスクの効果は正しく着けた不織布マスク1枚と同等/理研

 新型コロナウイルス対策に加え、この時期は花粉症に悩まされる人も多い中、われわれの暮らしの必需品となったマスクの使い方には、人によってさまざまな工夫が見られる。理化学研究所などの研究チームが3月4日、マスクによる感染予防について、スーパーコンピューター「富岳」を使った行った検証結果を公表した。それによると、いわゆる「二重マスク」は、ある程度の性能向上が期待できるものの、その効果は不織布マスク1枚を正しく装着した場合と大きく変わらないことがわかった。

片頭痛予防に対するerenumabの長期有効性・安全性

 抗CGRP受容体モノクローナル抗体erenumabは、3~12ヵ月の研究において片頭痛の頻度やQOLの有意な改善が認められているが、それ以上の長期治療成績については、よくわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のMessoud Ashina氏らは、片頭痛予防に対するerenumabの長期有効性および安全性の評価を行った。European Journal of Neurology誌オンライン版2021年1月5日号の報告。  本研究は、反復性片頭痛の成人患者を対象として実施された12週間の二重盲検プラセボ対照試験終了後に行われた5年間の治療期間におけるオープンラベル試験である。オープンラベル試験開始時に、erenumab 70mgを投与した。なお、プロトコール改定後、140mgへ増量した。有効性については、毎月の片頭痛日数、毎月の急性頭痛薬の使用、健康関連QOLのベースラインからの変化を評価した。

アミロイド低減治療、認知機能改善は認められず/BMJ

 アミロイド値の低下と認知機能の変化について報告されている入手可能な試験データをプール解析した結果、薬物治療によりアミロイド値低下は、実質的に認知機能を改善しないことが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のSarah F. Ackley氏らが14の無作為化比較試験を対象としたメタ解析の結果、明らかにした。これまで行われたアルツハイマー病におけるアミロイドを標的とした薬物治療の試験の大半で、認知機能についての統計的に優位な有益性は示されていない。一方で、個々の試験では、アミロイド値低下の認知機能低下への潜在的な影響について決定的となるエビデンスも示されておらず、アミロイドを標的とした複数試験のエビデンスは体系的に評価されていなかった。BMJ誌2021年2月25日号掲載の報告。

新型コロナワクチン接種完了者の行動指針を見直し/CDC

 米国疾病対策センター(CDC)は2021年3月8日、新型コロナウイルスワクチン接種完了者を対象に行動指針を見直した。この中では接種完了者同士であれば、マスクを着用せず、小規模な集まりが可能とされている。  「接種完了」の定義としては、ファイザーもしくはモデルナ製の2回接種ワクチンは2回目の接種から、ジョンソン・エンド・ジョンソン(ヤンセン)製の単回接種ワクチンは接種から、それぞれ2週間後としている。  接種完了者に対して、変更された行動指針は以下のとおり。

新型コロナ、感染リスクが高まる行動/CDC

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック発生後、感染防止のため、医薬品以外におけるさまざまなアプローチが検討・推奨されてきた。このうち感染防止に実際に有効なアプローチを観察研究で特定した研究が米国疾病予防管理センター(CDC)サイトに掲載されている。感染リスクはケースコントロール研究で検討し、感染者と非感染者の最近の行動を比較することによって特定された。  COVID-19感染者の2割が全感染の8割を引き起こし、感染の半数は無症候性または発症前の患者からと推定されている。

筋症状によるスタチン中止、関連性を見いだせず/BMJ

 スタチン投与時の重症筋症状の既往があり投与を中止した集団に、アトルバスタチン20mgを投与しても、プラセボと比較して筋症状への影響は認められず、試験終了者の約3分の2がスタチンの再開を希望したとの調査結果が、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のEmily Herrett氏らが実施した「StatinWISE試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年2月24日号で報告された。スタチンと、まれだが重度な筋肉の有害事象との因果関係はよく知られている一方で、筋肉のこわばり、筋痛、筋力低下などの重度ではない筋症状に及ぼすスタチンの影響は不明だという。また、非盲検下の観察研究の結果が広く知られるようになったため、多くの患者が筋症状の原因はスタチンと考えて治療を中止し、結果として心血管疾患による合併症や死亡が増加しているとされる。

診療に役立つLGBTQsの基礎知識

 LGBTという言葉を聞いたことはありますか? これは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとった言葉で、セクシュアルマイノリティの総称として使われています。多様性を強調するためにQuestioningを加えて、LGBTQsと表現することもあります。  性の多様性に関する知識は診療にも必要不可欠です。当事者が声を上げ始め、各自治体による同性パートナーシップ制度の成立などの社会変化もある今、知らないでは済まされない時代になりつつあります。今回はCareNeTVで配信中の「診療に役立つLGBTQsの基礎知識」講師で、川崎協同病院総合診療科・にじいろドクターズの吉田 絵理子氏に医師が知っておくべきことを聞きました。