内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:374

糖尿病外来患者の検査、施設でばらつき

 「全国のレセプトデータを調査し、糖尿病診療の質指標を測定した研究」について、国立国際医療研究センターと東京大学大学院医学系研究科などで構成される研究グループが、7月30日に研究結果を発表し、“Diabetes Research and Clinical Practice”1)にも掲載された(発表者:杉山 雄大氏[国立国際医療研究センター 研究所 糖尿病情報センター 医療政策研究室長])。  本研究の目的は、糖尿病診療では、血糖・血圧などのコントロールの他に、合併症を早期診断するために合併症検査を定期的に行うことが重要だとされている、しかし、これまで一部の保険者や施設の実施割合の報告はあったものの、全国における状況を調べた研究はなかったことから今回行われたものある。

精神疾患患者の不眠症に対するスボレキサント1週間投与のオープンラベル試験

 精神疾患患者の不眠症に対するスボレキサントの有効性および安全性に関する報告は、これまで行われていなかった。藤田医科大学の岸 太郎氏らは、精神疾患患者を対象に、不眠症に対するスボレキサントの1週間プロスペクティブ臨床試験を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年7月8日号の報告。  試験開始の前週に不眠症状(総睡眠時間[TST]6時間未満、入眠時間[TSO]30分以上、入眠後2回以上の中途覚醒エピソードのいずれか)を4夜以上経験した精神疾患患者57例を対象に、スボレキサント固定用量による1週間の単一群プロスペクティブ臨床試験を実施した。

認知症の有無によるせん妄の影響

 せん妄エピソード後の機能や認知機能の低下および死亡率に対し、認知症の有無が影響を及ぼすかについて、オランダ・Meander Medical CentreのSofie van Roessel氏らが、レビューを行った。Maturitas誌2019年7月号の報告。  認知症およびせん妄について、MEDLINE、EMBASEよりシステマティックに検索を行った。研究結果をスクリーニングした後、関連性および妥当性を評価し、データを抽出した。認知機能低下は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアの低下と定義した。機能低下は、バーセル尺度(BI)、手段的日常生活動作(IADL)スコアの低下または施設入所と定義した。

亜鉛不足が脱毛の原因に!50歳以上は要注意

 亜鉛は1,000の酵素反応、2万以上の転写反応に必要な必須微量元素であり、発生、分化、増殖といった幅広い生体活動に関与する。しかし、その役割の多くは明らかされていない。2019年7月13~14日、日本men’s health医学会のスポンサードシンポジウム3において、小川 陽一氏(山梨大学皮膚科学部内講師)が「亜鉛と皮膚疾患」について講演した(ノーベルファーマ株式会社共催)。  亜鉛はすべての生物に不可欠であり、継続的に欠乏すると死に至る。必須微量元素としての生体内含有量は鉄に次いで2番目に多く、体内で常時2~3gに維持されている。しかし、「亜鉛欠乏患者は発展途上国を中心に世界で13億人も存在し、全世界人口の17%に相当する」と小川氏はコメント。亜鉛が欠乏すると、味覚異常をはじめ、皮膚炎や口内炎のほか、脱毛や傷が治りにくいなどの症状が出現する。また、亜鉛濃度は日内変動と加齢変化を起こすことから、後者により50歳以上で潜在的な亜鉛欠乏に陥っている可能性が高い1)。欠乏の可能性がある場合は、亜鉛欠乏症の診断基準に該当すれば治療が必要となる。

低~中所得国の高血圧ケア、その継続性は?/Lancet

 低~中所得国(LMIC)では、高血圧ケアを継続中の患者が、どの段階でケアを受けなくなるかに関する全国調査のエビデンスが少ない。一方、この情報は、保健医療サービス介入の効果的な対象の設定や、高血圧ケアの改善の進展評価において重要だという。米国・ハーバード公衆衛生大学院のPascal Geldsetzer氏らは、LMICにおける高血圧ケアの中断の現況を調査・評価し、Lancet誌オンライン版2019年7月18日号で報告した。  研究グループは、44ヵ国のLMICにおいて、ケアの過程(ケアの必要性から治療の成功まで)の個々の段階でその消失を評価することにより、4段階の高血圧ケアカスケード(血圧測定、高血圧の診断、治療、高血圧コントロール)の達成状況を、国別および集団別に検討する目的で、横断研究を実施した(Harvard McLennan Family Fundなどの助成による)。

続・アブレーションはお嫌いですか?(解説:香坂俊氏)-1089

心房細動に対するカテーテルアブレーションが患者予後そのものを改善するか?ということについては、以前CASTLE-AF研究が発表された際にも当シリーズでコメントさせていただいた。CASTLE-AFは「重症心不全のAF患者」を対象とした無作為ランダム化試験であり、コントロール群と比較しCA群で死亡・心不全入院が約4割減少するという衝撃的なまでの予後改善効果を提示した。では、より一般的な「心不全でないAF」に対するCAの効果はどうなのか?

日本における青年期うつ病のマネジメント

 日本において、小児うつ病患者に対し承認されている抗うつ薬治療は、今のところ存在しない。北海道大学の齊藤 卓弥氏らは、日本で治療を受けている青年期うつ病の有病率を推定し、その際に使用される薬理学的治療、さらに小児うつ病治療の専門医の中で満たされていないニーズについて調査を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2019年7月3日号の報告。  本調査は、臨床診療における医師間のインターネット調査として、2014年11月に実施した。青年期うつ病患者を治療する可能性のある医師731人と、過去12ヵ月間で青年期うつ病患者に対し薬物療法を行った医師161人を対象とした。青年期うつ病患者に対し薬物療法を行った医師161人の内訳は、内科医60人、精神科医73人、日本児童青年精神医学会、日本小児心身医学会、日本小児精神神経学会のいずれかの認定専門医28人であった。対象者は、うつ病患者、薬物療法、処方薬に関するアンケートに回答した。

医師の応召義務、診療しないことが正当化されるケースとは/日医

 診療時間内か診療時間外かで、応召義務の解釈は異なるのか? 7月24日、日本医師会の定例会見で、現代における応召義務の解釈と対応の在り方について検証した厚生労働省研究班による報告書の内容を、松本 吉郎常任理事が解説した。この報告書は、2018年度の厚生労働科学研究費により実施された「医療を取り巻く状況の変化等を踏まえた医師法の応召義務の解釈についての研究(研究代表者:上智大学法学部 岩田 太氏)」の研究報告書1)として、7月18日の社会保障審議会医療部会に提出されている2)。

GLP-1受容体作動薬は注射薬から経口薬へシフトするのか?(解説:住谷哲氏)-1090

われわれが使用できるインクレチン関連薬には、DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬がある。これまでに報告された心血管アウトカム試験の結果から考えると、GLP-1受容体作動薬がDPP-4阻害薬に比べて、動脈硬化性心血管病の再発予防に関しては積極的に選択される薬剤であるのは異論がないだろう。しかし注射薬のハードルは高く、とくにわが国ではGLP-1受容体作動薬が十分に使用されていないのが現状である。経口セマグルチドは経口GLP-1受容体作動薬であり、この状況を大きく変化させる可能性がある。PIONEER programは経口セマグルチドの第III相臨床試験プログラムでありPIONEER 1から10までの10試験、組み込み総数9,543人から構成される。

1型糖尿病でのSGLT2阻害薬使用の注意

 2019年7月25日、日本糖尿病学会(理事長:門脇 孝)は、2014年に策定され、過去3度のアップデートを行っている「SGLT2阻害薬適正使用に関するRecommendation」のアップデート版を公開した。現在、同学会のホームページ上で公開され、学会員などへの周知が図られている。  SGLT2阻害薬は、現在6成分7製剤が臨床使用され、なかには1型糖尿病患者でインスリン製剤との併用療法としての適応を取得した製剤もある。しかし、ケトアシドーシスのリスクの増加が報告され、海外では、SGLT2阻害薬の成人1型糖尿病への適応が慎重にされていることもあり、1型糖尿病患者への使用に際し、十分な注意と対策が必要であるとしている。