内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:371

高血圧スクリーニングの脳心血管病予防効果から学ぶべきこと(解説:有馬久富氏)-1107

中国全土の高齢者を対象としたChinese Longitudinal Healthy Longevity Surveyの成績から、高血圧と診断されたことのない高齢者における血圧測定および発見された高血圧者に対する生活指導・受診勧奨が2~3年後の収縮期血圧を平均で8mmHgも低下させることが明らかとなり、BMJに報告された1)。一般住民における血圧がこれほど劇的に低下した場合、脳心血管病は20~30%減少するものと期待される2)。本研究で有効性の示された高血圧スクリーニングおよび指導は、健診が一般的に行われていない低・中所得国において、有効かつ費用対効果の高い脳心血管病予防戦略となると考えられる。

ダパグリフロジンがHFrEF患者で主要評価項目達成、同クラスで初/AstraZeneca

 AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者:パスカル・ソリオ)は2019年8月26日までに、ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の心不全に対する有効性を検討した第III相DAPA-HF試験において、主要評価項目を達成したことを発表した。2型糖尿病合併の有無を問わず、心不全患者の標準治療への追加治療として、SGLT2阻害薬の有効性および安全性が実証されたのは初となる。  第III相DAPA-HF試験は、2型糖尿病合併および非合併の成人HFrEF(左室駆出率が低下した心不全)患者を対象に、心不全の標準治療(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬[MRA]およびネプライシン阻害薬を含む薬剤)への追加療法としてのダパグリフロジンの有効性を検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験。

日本の小中学生におけるインフル予防接種の有効性

 インフルエンザワクチンの接種は、インフルエンザの発症予防や発症後の重症化の予防に一定の効果があるとされている。今回、東北大学の國吉 保孝氏らが、地域の小中学生における季節性不活化インフルエンザワクチン接種(IIV)の有効性について2シーズンで評価した結果が報告された。Human Vaccines & Immunotherapeutics誌オンライン版2019年8月19日号に掲載。  本研究は、公立小中学校の生徒における2012/13年および2014/15年シーズンのデータでの横断調査。調査地域における対象学年の全員にアンケートを配布し、得られた7,945人の回答を分析した。予防接種状況とインフルエンザ発症は、両親または保護者による自己申告式アンケートにより判断した。一般化線形混合モデルを用いて、学校および個人の共変量におけるクラスタリングを調整し、予防接種状況とインフルエンザ発症との関連についてオッズ比および95%信頼区間(CI)を計算した。

ベンゾジアゼピンや抗コリン薬の使用と認知症発症との関連

 ベンゾジアゼピンや抗コリン薬の使用と認知症リスクの関連について、オランダ・アムステルダム大学のMelanie Hafdi氏らが、プロスペクティブコホート研究を行った。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2019年7月9日号の報告。  対象は、オランダの家庭医療116施設より募集された認知症でない70~78歳の高齢者3,526人。薬剤使用に関する情報は、ベースラインおよび2年間のフォローアップ期間中に報告され、対象者の電子カルテと照合した。抗コリン薬の曝露は、抗コリン作動性認知負荷尺度(anticholinergic cognitive burden score)により定義した。対象者は、2年ごとのフォローアップ中に認知症について評価され、電子カルテや死亡記録から情報を補填した。

ビタミンD補給、がん死リスクを低下/BMJ

 成人におけるビタミンD補給は、プラセボまたは非補給と比較して、全死因死亡の低下とは関連しないが、がん死リスクを16%低下することが示された。中国・Affiliated Hospital of Chengdu UniversityのYu Zhang氏らが、無作為化試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。これまでの観察研究で、低用量のビタミンDはがんや心血管疾患といった命に関わる疾患による死亡の増大と関連することが示されていた。一方で、ビタミンD補給による死亡の減少効果に関する臨床データには一貫性がなかった。BMJ誌2019年8月12日号掲載の報告。

手術不要な心不全患者の救急搬送を減らすには?

 救急車で運ばれた心不全患者のうち、約8割の患者は手術が不要であったことが、厚生労働省作成による診断群分類毎の集計結果(2017年)から明らかになった。これはいったい何を意味しているのだろうか-。2019年8月8日に開催されたメディアセミナー『ハート・トーク2019』において、磯部 光章氏(榊原記念病院 院長/東京医科歯科大学名誉教授)が「脳卒中・循環器病対策基本法について」、代田 浩之氏(順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学)が「心臓病の二次予防と心臓リハビリテーション」について講演。トークセッションでは、俳優の渡辺 徹氏が心筋梗塞の発症当時のエピソードや再発予防策について語った(日本心臓財団、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社共催)。

中年~晩年期の高血圧症、認知症リスクが増大/JAMA

 中年期~晩年期に高血圧症の人や、中年期に高血圧症で晩年期に低血圧症の人は、中年期~晩年期に正常血圧の人に比べ、認知症を発症するリスクが約1.5~1.6倍高いことが明らかにされた。米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のKeenan A. Walker氏らが住民ベースのコホート試験で明らかにした。晩年期の血圧値と認知機能の関係は、過去の高血圧症やその慢性化によると考えられている。また、高血圧が続いた後の晩年期の血圧低下は、不良な認知機能アウトカムと関連している可能性も指摘されていた。JAMA誌2019年8月13日号掲載の報告。

日本におけるベンゾジアゼピン長期使用に関連する要因

 ベンゾジアゼピンやZ薬(BZD)の長期使用は、現在の臨床ガイドラインで推奨されていないものの、実臨床において引き続き行われている。東京医科歯科大学の高野 歩氏らは、日本における長期BZD使用率とそのリスク因子について調査を行った。BMJ Open誌2019年7月26日号掲載の報告。  本研究は、健康保険データベースを用いたレトロスペクティブコホート研究である。対象は、2012年10月1日~2015年4月1日の期間にBZD使用を開始した18~65歳の外来患者8万6,909例。そのうち、初回BZD使用日に手術を行った患者762例および8ヵ月間フォローアップを行っていない患者1万2,103例を除く7万4,044例を分析した。新規BZD使用患者の8ヵ月以上の長期使用率を調査した。患者の人口統計、診断、新規BZD使用の特徴、長期BZD使用の潜在的な予測因子について評価を行った。長期使用と潜在的な予測因子との関連を評価するため、多変量ロジスティック回帰を用いた。

夜間・24時間血圧が、死亡リスク上昇と関連/JAMA

 夜間および24時間血圧の上昇は、死亡や心血管アウトカムのリスク上昇と関連し、他の診察室ベースの血圧や自由行動下血圧で補正しても、このリスクの上昇は維持されることが、ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のWen-Yi Yang氏らの検討で明らかとなった。研究の詳細は、JAMA誌2019年8月6日号に掲載された。血圧は、全死亡および心血管特異的な致死性・非致死性のアウトカムの既知のリスク因子とされる。一方、血圧インデックス(測定法、測定時間)がこれらのアウトカムと強い関連を有するかは不明だという。

健康長寿の秘訣は「不飽和脂肪酸」―2型糖尿病患者でも明らかに(解説:小川大輔氏)-1104

多くの疫学研究により、赤身肉、ラード、バターなどに含まれる飽和脂肪酸は動脈硬化症や死亡のリスクを上昇させ、反対にオリーブ油、キャノーラ油、大豆油などの植物油や魚油に含まれる不飽和脂肪酸はこれらのリスクを低下させることが知られている。しかしこれまでの報告では一般人を対象としており、糖尿病患者を対象とした研究はなかった。今回米国の2つのコホートの解析により、2型糖尿病患者における食事中の脂肪酸と死亡率を調査した結果がBMJ誌に掲載された。2型糖尿病患者1万1,264例の解析により、多価不飽和脂肪酸の摂取は全炭水化物と比較し全死亡および心血管死のリスク低下と関連することが明らかになった。