内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:81

糖尿病はCVDイベント発生を12年早める/JACC

 新たに診断された2型糖尿病患者における心血管疾患(CVD)の10年間のリスクを一般集団と比較した結果、2型糖尿病患者では年齢や性別にかかわらずCVDリスクが有意に高く、CVDイベントの発生が12年早まっていたことを、デンマーク・オーフス大学病院のChristine Gyldenkerne氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology誌2023年10月17日号掲載の報告。  糖尿病とCVDリスクとの関連についてはすでに豊富なエビデンスがあるが、研究グループは新たに2型糖尿病と診断された患者のCVDリスクに関する最新データは適切な予防管理に必要と考え、性別および年齢別の10年CVDリスクを一般集団と比較したコホート研究を実施した。

味覚障害に耐えられない症例に対する処方は注意せよ(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

ゲーファピキサント(商品名:リフヌア)は、選択的P2X3受容体拮抗薬である。P2X3受容体は気道に分布する迷走神経のC線維と呼ばれる求心性神経線維末端にあるATP依存性イオンチャネルである。C線維は炎症や化学物質に反応して活性化される。ATPは炎症により気道粘膜から放出され、シグナル伝達を介して咳嗽反応を惹起させる。ゲーファピキサントはP2X3受容体を介したATPシグナル伝達を遮断することにより、感覚神経の活性化や咳嗽の抑制効果が期待されている薬剤である。現在、慢性咳嗽の原因となりうる病歴・職業歴・環境要因・検査結果などを踏まえた包括的な診断に基づく十分な治療を行っても咳嗽が続く場合、いわゆる難治性の慢性咳嗽に適応となっている。実臨床下では、慢性咳嗽の症例に一般的な鎮咳薬や気管支拡張薬、吸入ステロイド薬が適切に使用されても改善が得られない場合に処方を検討する薬剤となっている。

若年性アルツハイマー病におけるアミロイドおよびタウPETの陽性率

 米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHanna Cho氏らは、若年性アルツハイマー病患者におけるベースライン時のアミロイドβ(Aβ)およびタウ蛋白のPET検査の評価を目的に、プロスペクティブ観察研究として長期若年性アルツハイマー病研究「LEADS試験」を実施した。その結果、臨床的な若年性アルツハイマー病患者の72%でアミロイドPETとタウPETの両方が陽性であり、アミロイドPETが陽性の患者では皮質領域全体での高いタウPETシグナルが認められた。Alzheimer's & Dementia誌オンライン版2023年9月10日号の報告。

革新的新薬の創出へ、アカデミア・ベンチャーと製薬企業の連携強化

 一般社団法人アカデミア発バイオ・ヘルスケアベンチャー協会が設立記念シンポジウムを10月18日に開催した。本協会は前身の大学発バイオベンチャー協会の趣旨を引継ぎ、バイオベンチャーやスタートアップの振興と産官学連携の推進を目的に今年5月22日に設立された。本協会の理事長である森下 竜一氏(大阪大学寄付講座 教授)によると、医療イノベーション推進のためには業界をワンボイスで進めて行く必要があり、そのためにさまざまな意見を取り込みながらアカデミア発のベンチャー振興の政策提言を令和6年半ばを目途に取りまとめていく予定だという。

牛乳を飲むほど骨折が増える?ヨーグルトやチーズは?

 乳製品摂取量と大腿骨近位部骨折の発生リスクとの関連を調べた用量反応メタ解析の結果、牛乳摂取量の増加は骨折リスクの増大と関連するものの、ヨーグルトとチーズは摂取量が多いほど骨折リスクが低減したことを、米国・メリーランド大学のSuruchi Mishra氏らが報告した。Journal of Nutritional Science誌2023年9月11日号の報告。  これまで、牛乳摂取は骨折の頻度を減少させ、死亡リスクも低下させるという報告がある一方で、牛乳摂取量が多い人ほど骨折率や死亡率が高いという報告もあり、一貫性はない。そこで研究グループは、乳製品の摂取と大腿骨近位部骨折の発生リスクを評価するために用量反応メタ解析を実施した。

長時間睡眠で認知障害リスク増、特定のアミノ酸不足でさらに増~日本人での研究

 睡眠時間とアミノ酸摂取量は、独立して認知機能の低下と関連している。今回、国立長寿医療研究センターの木下 かほり氏らは、60歳以上の地域住民における睡眠時間と認知障害発症の長期的な関連と食事による19種類のアミノ酸摂取量の関与を調べた。その結果、長い睡眠時間(8時間超)が認知障害発症率と有意に関連し、さらに、長時間睡眠者でシスチン、プロリン、セリンの摂取量が少ない人は認知障害を発症しやすいことがわかった。BMC Geriatrics誌2023年10月11日号に掲載。  本研究は地域ベースの縦断的研究で、ベースラインで認知障害のない60〜83歳の成人623人のデータを分析した。睡眠時間は自己申告質問票から、アミノ酸摂取量は3日間の食事記録から取得した。認知障害はMMSE(ミニメンタルステート検査)スコアが27以下と定義した。ベースラインの睡眠時間で、短時間睡眠群(6時間以下)、中程度睡眠群(7~8時間)、長時間睡眠群(8時間超)に分類し、認知障害発症率について中程度睡眠を基準とした短時間睡眠と長時間睡眠でのオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定した。また、19種類のアミノ酸の摂取量の性別層別四分位数(Q)で、Q1を低摂取量群、Q2~Q4を中~高摂取量群とし、各睡眠時間群の認知障害発生率について中~高摂取量を基準とした低摂取量でのORと95%CIを推定した。

予測能の高い認知症リスクスコアが英国で開発

 認知症発症を予測するリスクスコアが英国で新たに開発され、既存のリスクスコアより高い予測能を有することが確認された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のMelis Anaturk氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ Mental Health」に8月21日掲載された。  認知症患者数が世界的に増加し、その対策が各国の公衆衛生上の喫緊の課題となっている。認知症発症リスクを予測し予防介入を強化することが、疾病負担の抑制につながると考えられることから、種々のリスクスコアが開発されてきている。ただし、いずれも予測能の限界が存在する。これを背景としてAnaturk氏らは、英国の大規模ヘルスケア情報データベース「UKバイオバンク」のデータを用いて新たなリスクスコアを開発し、その予測能を検証した。

ベジタリアン食で、胃がん罹患リスク6割減

 食事とがん発症リスクとの関連は多数の先行研究があり、果物、野菜、全粒穀物、豆類などの植物性食品の摂取量の増加はがん罹患の予防効果と関連し、赤身肉や加工肉の多量摂取はがん罹患リスク増加と関連している、という報告がある。こうした中、菜食(ベジタリアン食)と消化器がんリスクについて調査した研究結果が発表された。中国・香港中文大学Tongtong Bai氏らによるこのシステマティックレビューは、European Journal of Gastroenterology & Hepatology誌オンライン版2023年9月18日号に掲載された。

「人生をエンジョイ」する人は認知症発症リスクが低い~JPHC研究

 人生をエンジョイすることは、自身の環境と楽しく関わる能力と関連しており、これは認知症リスクとも関連しているといわれている。順天堂大学の田島 朋知氏らは、日本の地域住民における人生のエンジョイレベルと認知症発症との関連を調査した。The Journals of Gerontology. Series B, Psychological Sciences and Social Sciences誌オンライン版2023年9月18日号の報告。  対象は、Japan Public Health Center-based(JPHC)研究に参加した5年間のフォローアップ調査時点で45~74歳の日本人3万8,660例。心理的状態およびその他の交絡因子の特定には、自己記入式アンケートを用いた。認知症発症は、2006~16年の日本の介護保険(LTCI)制度に基づき評価した。Cox比例ハザードモデルを用いた、ハザード比[HR]および95%信頼区間[CI]を算出した。

医師の英語学習、どのくらいお金と時間をかけている?/1,000人アンケート

 英語で学会発表を行ったり、外国人患者を診療したりするために、英語は医師にとって欠かせないスキルとなっている。英語を学ぶ主な目的や学習方法といった医師の英語学習状況を把握するため、会員医師1,021人を対象に『医師の英語学習に関するアンケート』を9月21日に実施した。年代別の傾向をみるため、20~60代以上の各年代を約200人ずつ調査した。その結果、英語学習に最も費用と時間をかけているのは30代であることなどが明らかとなった。海外学会への参加頻度から、おすすめの英語系YouTubeチャンネルや語学学習アプリなど、学習に役立つツールまで、英語学習に関するさまざまな意見が寄せられた。