内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:81

電子タバコは禁煙継続に有効?/NEJM

 標準的な禁煙カウンセリングに電子ニコチン送達システム(電子タバコ[e-cigarettes]とも呼ばれる)の無料提供を追加すると、禁煙カウンセリングのみより6ヵ月間の禁煙継続率が高まったことが、スイス・ベルン大学のReto Auer氏らが、スイス国内5施設で実施した非盲検比較試験「Efficacy, Safety and Toxicology of Electronic Nicotine Delivery Systems as an Aid for Smoking Cessation:ESTxENDS試験」の結果で示された。電子ニコチン送達システムは、禁煙を補助するため禁煙者に使用されることがあるが、このシステムの有効性と安全性に関するエビデンスが必要とされていた。NEJM誌2024年2月15日号掲載の報告。

肝がん、乳がんが多い都道府県は?「がんの県民性」を知る

 企業でのがん対策を進めることを目的に厚生労働省が行うプロジェクト「がん対策推進企業アクション」は2月14日、プレス向けセミナーを行った。プロジェクトの推進役である東京大学特任教授の中川 恵一氏が「がんの県民性」をテーマに講演を行った。 ――世界中でも、国や人種によって多いがんと少ないがんがあるが、実は日本国内でも地域ごとに発生するがんの種類にバラツキがある。この要因はさまざまなものがあり、遺伝子、人口構成、食生活などが影響している。そして、最も大きな原因と考えられるのが、ウイルスの偏在と感染だ。

卵や野菜の摂取が日本人のうつ病リスクと関連

 山形県立米沢栄養大学の北林 蒔子氏らは、日本人労働者における食品群別の摂取量とうつ病との関連を調査するため、アンケート調査を実施した。その結果、男性では卵、女性では卵と野菜(緑黄色野菜以外)の摂取がうつ病と関連している可能性が示唆された。BMC Nutrition誌2024年1月30日号の報告。  2020年、日本人労働者568人を対象にアンケート調査を実施した。回答した503人中423人を研究対象に含めた。性別、年齢、BMI、残業時間、睡眠時間、婚姻状況、職位、運動習慣、喫煙状況、うつ病の発症および、エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、アルコール、食品群別の摂取に関する情報を収集した。うつ病の有無および重症度の評価には、うつ病自己評価尺度(CES-D)を用いた。食品群別の摂取量は、残差法を用いてエネルギー摂取量を調整し、性別ごとに、低、中、高に分類した。うつ病の有無を従属変数、食品群別の摂取量を独立変数とし、ロジスティック回帰分析により性別に応じたオッズ比(OR)と傾向を分析した。

「座りっぱなし」でCVD死亡リスク34%増 

 2020年に発表された世界保健機関(WHO)ガイドラインでは、初めて「座り過ぎ」が健康を害し、心臓病、がん、2型糖尿病のリスクを高めることが明記された。長時間座ることの多い仕事は健康リスクにどのように影響し、それは身体的活動で軽減することができるのか。台湾・台北医科大学のWayne Gao氏らによる研究の結果が、JAMA Network Open誌2024年1月19日号に掲載された。  本試験は、1996~2017年の台湾の健康監視プログラムの参加者を対象とした前向きコホート研究だった。職業的座位時間、余暇時間における身体活動(LTPA)習慣、ライフスタイル、代謝パラメータに関するデータを収集した。データ解析は2020年12月に行われた。

キムチでスリムに?

 キムチは古くから韓国の食卓の定番メニューであり、近年では米国でも人気が高まってきている。そのキムチを日常的に摂取することが、体重増加の抑制につながるのではないかとする研究結果が、「BMJ Open」に1月30日掲載された。論文の上席著者である中央大学校(韓国)のSangah Shin氏によると、「男性では、1日当たり1~3人前分のキムチを摂取していることが、肥満リスクの低下と関連がある」という。ただし同氏は、「キムチには塩分が多く含まれていることに注意が必要であり、またキムチ摂取量がより多い場合には、肥満リスクが上昇する可能性も示唆された」と付け加え、「キムチを多く食べるほど良い」と単純化した解釈をしないよう注意を呼び掛けている。

生涯を通した楽器の演奏は脳の健康に有益

 楽器、特にピアノなどの鍵盤楽器を演奏することは、記憶力(作業記憶)や複雑な課題を解決する能力(実行機能)の向上につながることが、新たな研究で示唆された。英エクセター大学認知症研究教授のAnne Corbett氏らによるこの研究の詳細は、「International Journal of Geriatric Psychiatry」に1月28日掲載された。  この研究は、40歳以上を対象にした脳の老化や認知症発症に関するオンライン研究であるPROTECT研究のデータを用いて、楽器の演奏や歌を歌うことが脳の健康に与える影響を検討したもの。対象とされたのは1,570人で、このうちの89%(1,392人)に楽器演奏の経験があり、また44%(690人)は現在も演奏を続けていた。対象者の音楽の熟練度は、Edinburgh Lifetime Musical Experience Questionnaire(ELMEQ)を用いて、楽器の演奏、歌唱、読譜、音楽鑑賞の4つの観点で評価した。対象者はまた、PROTECT研究のプラットフォームに組み込まれた認知テストシステムを使用して、最大3回の認知テストを受けた。最終的に1,107人(平均年齢67.82歳)が解析対象とされた。

歯と口の健康は「オーラルフレイル」を知ることから

 食事の能力は、歯と口の機能に関連するさまざまな要因に支えられており、「オーラルフレイル」(口の機能が衰えること)が注目されてきている。今回、5,000人以上の成人を対象に行われた研究により、高リスクの人ほど、オーラルフレイルについて知らないことが明らかとなった。また、オーラルフレイルを認知していることと、性別や年齢、居住地域、生活習慣などとの関連も示された。神奈川歯科大学歯学部の入江浩一郎氏、山本龍生氏らによるこの研究結果は、「Scientific Reports」に1月3日掲載された。  歯と口の健康には予防が重要だ。これまでにも例えば、80歳になっても自分の歯を20本以上保とうという「8020運動」を認知していることは、定期的な歯科受診と有意に関連することが報告されている。しかし、オーラルフレイルの認知がどのような影響を持つかについては明らかになっていない。そこで著者らは、オーラルフレイルを認知しているかどうかが、そのリスクに及ぼす影響を検討した。

やはりワルファリンとの比較でないとDOACは対抗できない?(解説:後藤信哉氏)

心房細動の脳卒中予防には、アピキサバンなどのDOACが多く使用されている。根拠となったランダム化比較試験では、PT-INR 2~3のワルファリンが対照薬であった。ワルファリン治療は心房細動の脳卒中予防の実態的な過去の標準治療ではなかった。さらに、PT-INR 2~3を標的とするのは実態医療とも乖離していた。今回は、心房の筋肉にcardiomyopathyを認めるが、心房細動ではない症例を対象として、奇異性塞栓によるアピキサバンの脳梗塞再発予防効果をアスピリンと比較した。心房筋に障害があるので、病態は心房細動に近い。心房細動例の脳卒中再発予防であれば、過去の標準治療(PT-INR 2~3を標的としたワルファリン)にDOACは有効性で劣らず安全性に勝った。しかし、本研究対象のように心房細動ではないとアピキサバンはアスピリンと有効性・安全性に差がなかった。心房細動の有無というリズムが結果に与えた影響が大きかったのだろうか? 筆者は見かけの差異は対象の差異によると考える。

便器の蓋を閉めて水を流してもウイルス粒子の飛散量は変わらない

 便器の蓋を閉めてから水を流すと、水を流したときに発生するミストを便器内にとどめておくことができるため、細菌の拡散を防ぐことができると言われている。しかし、ウイルスの場合には、蓋を開けたまま水を流すか閉めてから流すかで、水を流している間のウイルス粒子の飛散量に変わりはないことが新たな研究で明らかにされた。米アリゾナ大学環境科学部ウイルス学分野教授のCharles Gerba氏らによるこの研究結果は、「American Journal of Infection Control」2月号に掲載された。  先行研究では、トイレの水を流すとエアロゾルが舞い上り、周囲の床や壁などのさまざまな表面に細菌をまき散らすことが明らかにされている。また、便器の蓋を閉めて水を流すことで、トイレ内での細菌の飛散量を抑制できることも示されている。しかしGerba氏らによると、同じことが細菌よりもはるかに小さいことが多いウイルスにも該当するのかどうかについては、いまだ検討されていなかったという。

低炭水化物ダイエット、肉食だと効果が続かない?

 低炭水化物ダイエットの体重に対する影響は一律ではないことが報告された。炭水化物を減らした分のエネルギーを植物性食品主体に置き換えて摂取した場合は減量効果が長期間続く一方、動物性食品に置き換えて摂取した場合は時間の経過とともに体重が増加に転じやすいという。米ハーバード大学T. H.チャン公衆衛生大学院のBinkai Liu氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に12月27日掲載された。論文の筆頭著者であるLiu氏は、「われわれの研究では、炭水化物を摂取すべきか摂取すべきでないかという単純な疑問の範囲を超え、食事の内容の違いが数週間や数カ月ではなく数年間にわたって、健康にどのような影響を与える可能性があるかを検討した」と述べている。