「座りっぱなし」でCVD死亡リスク34%増 

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/26

 

 2020年に発表された世界保健機関(WHO)ガイドラインでは、初めて「座り過ぎ」が健康を害し、心臓病、がん、2型糖尿病のリスクを高めることが明記された。長時間座ることの多い仕事は健康リスクにどのように影響し、それは身体的活動で軽減することができるのか。台湾・台北医科大学のWayne Gao氏らによる研究の結果が、JAMA Network Open誌2024年1月19日号に掲載された。

 本試験は、1996~2017年の台湾の健康監視プログラムの参加者を対象とした前向きコホート研究だった。職業的座位時間、余暇時間における身体活動(LTPA)習慣、ライフスタイル、代謝パラメータに関するデータを収集した。データ解析は2020年12月に行われた。

 主なアウトカムは、3段階の職業的座位量(ほとんど座っている、座っている・いないを交互に繰り返す、ほとんど座っていない)に関連する、全死因死亡率および心血管疾患(CVD)死亡率だった。全参加者、および5つのLTPAレベルと個人活動知能(PAI:身体活動に対する心拍数応答に基づく新たな身体活動計量)の指標を含む、サブグループ別のハザード比(HR)を算出した。逆因果を防ぐため、追跡開始後2年以内の死亡は除外した。

 主な結果は以下のとおり。

・48万1,688例が対象となった。平均年齢は39.3歳、女性53.2%だった。平均追跡期間は12.85年、追跡期間中に2万6,257例が死亡した。
・性別、年齢、教育水準、喫煙歴、飲酒歴、肥満度の調整後も、仕事中にほとんど座っている人はほとんど座っていない人に比べ、全死因死亡率が16%高く(HR:1.16、95%信頼区間[CI]:1.11~1.20)、CVD死亡率が34%高かった(HR:1.34、95%CI:1.22~1.46)。座っている・いないを交互に繰り返す人は、ほとんど座っていない人と比べ、全死因死亡率の増加はみられなかった。
・ほとんど座っている人で、LTPAが少ない(1日15~29分)、またはまったくない(1日15分未満)人は、LTPAを各1日15分、30分増やすことで、ほとんど座っていないLTPAが少ない人と同程度まで死亡率が減少した。さらに、PAIスコアが100を超える人は、座りっぱなしと関連する死亡リスクが顕著に減少した。

 著者らは「仕事中に座っていることが多い人が死亡リスク上昇を軽減し、仕事中に座っていないことが多い人と同レベルに達するには、1日当たり15~30分の身体活動を追加する必要がある。これらの知見は、職場での長時間の座位を減らすこと、および/または1日の身体活動の量や強度を増やすことが、座りっぱなしに関連する全死亡およびCVDリスク上昇を緩和する可能性がある」としている。

(ケアネット 杉崎 真名)