腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:16

AZ製ワクチン、毛細血管漏出症候群を副反応に追加/欧州医薬品庁

 欧州医薬品庁(EMA)の安全委員会・ファーマコビジランス・リスク評価委員会(PRAC)はアストラゼネカ製のCOVID-19ワクチン「Vaxzevria:開発名ChAdOx1 nCoV-19(AZ製ワクチン)」に関するレビューをサイト上で発表し、過去に毛細血管漏出症候群を発症した人はAZ製ワクチンを接種すべきではない、と結論付けた。  毛細血管漏出症候群(capillary leak syndrome)は、毛細血管から液体が漏出し、手足のむくみ、低血圧、アルブミン血中濃度の低下などが生じ、全身の浮腫や腎不全などの症状を引き起こす希少疾患。

厳格な降圧により心血管イベント抑制、しかし腎機能低下例は多い〜SPRINT追跡最終報告(解説:桑島巖氏)-1397

収縮期血圧120mmHg未満の厳格な降圧が140mmHg未満の緩和降圧に比べて心血管イベントを有意に抑制するという結果を示した2015年発表のSPRINT試験は、世界のガイドラインに大きな影響を与えた。本論文はランダム化解除後、約8ヵ月延長された後のイベントを解析した追跡解析である。 主要エンドポイント(心筋梗塞、脳卒中、心不全、心血管死)の発生は、厳格治療群1.77%/年対緩和治療群2.40%/年(HR:0.75)、全死亡は各々1.06%/年対1.41%/年でいずれも厳格降圧群で有意に少なく、2015年のオリジナル発表と同じ結果であった。

ziltivekimab、中等~重度CKDでhs-CRP値を抑制/Lancet

 残存炎症リスクを有する中等度~重度の慢性腎臓病(CKD)の患者において、インターロイキン(IL)-6リガンドを標的とする完全ヒト型モノクローナル抗体ziltivekimabはプラセボと比較して、炎症マーカーである高感度C反応性蛋白(hs-CRP)値を有意に抑制することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M. Ridker氏らが実施した「RESCUE試験」で示された。Lancet誌オンライン版2021年5月17日号掲載の報告。  本研究は、米国の40施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2019年6月~2020年1月の期間に患者登録が行われた(Novo Nordiskの助成による)。

バダデュスタットの透析患者での有用性はダルベポエチン アルファと同等(解説:浦信行氏)-1395

近年、腎性貧血の治療薬として低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬が使用可能となり、これまでにロキサデュスタットから本年発売のモリデュスタットまで5剤が使用可能となっている。HIF-PH阻害薬は転写因子であるHIF-αの分解を抑制して蓄積させ、HIF経路を活性化させる。その結果、生体が低酸素状態に曝露されたときに生じる赤血球造血反応と同様に、正常酸素状態でも赤血球造血が刺激され、貧血が改善する。これまでの臨床試験は5剤いずれもダルベポエチン アルファなどの赤血球造血刺激因子(ESA)を対象とした非劣性試験であり、いずれも有効性と安全性では非劣性が確認されている。その効果には5剤間で大きな違いはないようである。今回はバダデュスタットの貧血改善効果や安全性のダルベポエチン アルファに対する非劣性評価のみならず、初発の主要有害心血管イベント(MACE:全死因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合)に対する評価であり、主な副次評価項目は、初発のMACEに加えて入院(心不全あるいは血栓塞栓イベントによる)である。

亜鉛欠乏はCKD進行のリスク因子か

 亜鉛(Zn)は生体内に欠かせない必須微量元素で、血清濃度が低下することで成長や認知機能、代謝などさまざまな活動に障害をもたらす。実際、慢性腎臓病(CKD)患者では血清Zn濃度が低くなる傾向があることから、今回、川崎医科大学の徳山 敦之氏らが亜鉛欠乏症とCKD進行の関係性について調査を行った。その結果、亜鉛欠乏はCKD進行の危険因子であることが明らかになった。さらに、Zn濃度が低い患者において、観察期間中に亜鉛製剤を服用した患者のほうが主要評価項目のリスクが低かったとも結論付けた。PLoS One誌2021年5月11日号に掲載。

バダデュスタットの貧血改善効果とMACEによる心血管安全性をダルベポエチンを対照薬として非劣性試験にて評価(解説:栗山哲氏)-1394

バダデュスタット(Vadadustat:Vad)は、低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)の阻害薬であり、HIFを安定化し内因性エリスロポエチン(EPO)の産生を刺激する。これに対して、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)であるダルベポエチンα(DA)は遺伝子組み換えEPOである。1990年代初頭から使われているESAは、腎性貧血改善による輸血量減少や患者QOL改善に加え、Cardio-Renal-Anemia(CRA:心・腎・貧血)症候群の改善が示唆されている。一方、HIF-PH阻害薬のCRA症候群に与える影響は現時点では不明である。

第66回日本透析医学会学術集会・総会の開催について【ご案内】

 第66回日本透析医学会学術集会・総会が2021年6月4日~6月6日に パシフィコ横浜において開催される。今回もチーム医療、アドバンス・ケア・プランニング、共同意思決定、コミュニケーションなど多くのプログラムが用意されており、もちろん、新型コロナに関する話題も盛り込まれている。主要プログラムは、十分な感染対策を講じLIVE配信を併用するハイブリッド形式とし、来場しなくても全国どこからでも視聴できる。なお、学術集会終了後のオンデマンド配信は実施されない。

米国でダパグリフロジンがCKDの適応承認/アストラゼネカ

 SGLT2阻害薬の活躍の場が拡大している。AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ)のSGLT2阻害剤ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が、進行リスクのある成人の慢性腎臓病(CKD)における適応承認を米国で取得した。適応症は、慢性腎臓病におけるeGFRの持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、および心不全入院のリスク低減。  ダパグリフロジンは、経口で1日1回投与の、ファーストインクラスの選択的SGLT2 阻害剤であり、心臓、腎臓、膵臓における基本的な関連性の解明に伴い、心臓・腎臓に及ぼす影響から、予防、そして臓器保護へと研究は進化している。

貧血のある透析患者へのバダデュスタット、安全性・有効性は?/NEJM

 貧血を有する透析治療を受けている慢性腎臓病(CKD)患者において、経口投与の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬バダデュスタットは、ダルベポエチン アルファと比較して、心血管安全性とヘモグロビン(Hb)値の正常化および維持に関して非劣性であることが示された。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のKai-Uwe Eckardt氏らが、2件の第III相無作為化非盲検非劣性試験(被験者計3,923例)の結果を報告した。NEJM誌2021年4月29日号掲載の報告。

バダデュスタットvs.ダルベポエチン、保存期CKDのMACEへの有効性/NEJM

 保存期慢性腎臓病(NDD-CKD)患者において、バダデュスタットはダルベポエチン アルファと比較し、血液学的有効性に関しては事前に設定した非劣性マージンを満たしたが、主要安全性評価項目である主要有害心血管イベント(MACE)については非劣性マージンを満たさなかった。米国・スタンフォード大学のGlenn M. Chertow氏らが、バダデュスタットの有効性を評価した2件の第III相無作為化非盲検実薬対照非劣性試験の結果を報告した。バダデュスタットは、経口投与の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬で、HIFを安定化してエリスロポエチンおよび赤血球の産生を刺激することから、腎性貧血の治療薬として開発された。NEJM誌2021年4月29日号掲載の報告。  研究グループは、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による治療歴がなくヘモグロビン(Hb)値10g/dL未満のNDD-CKD患者、およびESA治療歴がありHb値8~11g/dL(米国)または9~12g/dL(米国以外)のNDD-CKD患者を、バダデュスタット群またはESAダルベポエチン アルファ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。