腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:13

医療者の不足する地域は死亡率が高い/BMJ

 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ―「すべての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」(厚生労働省)―を2030年までに達成するには、健康を促進または改善するさまざまな職業の保健医療人材(Human Resources for Health:HRH)が重要であるが、HRHの不平等は過去30年間で世界的に減少しているものの依然として残っており、全死亡率およびほとんどの死因別死亡率は、医療従事者とくにHIV/AIDS・性感染症、母体・新生児疾患、糖尿病、腎臓病といった、優先疾患におけるいくつかの特定のHRHが限られている国・地域で相対的に高いことが、中国・北京大学のWenxin Yan氏らの調査で示された。著者は、「本結果は、2030年までにユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成するために、公平性を重視した医療人材政策の策定、医療財政の拡大、不十分なHRHに関連した死亡を減少するための標的型対策の実施に向けた政治的取り組み強化の重要性を浮き彫りにしている」とまとめている。BMJ誌2023年5月10日号掲載の報告。

経口difelikefalin、CKD患者のかゆみの軽減に有望

 そう痒症は、後期慢性腎臓病(CKD)患者において多く認められるが、中等度~重度のそう痒症を伴うCKD(ステージ3~5)患者において、経口の選択的κオピオイド受容体作動薬difelikefalin(本邦では静脈注射用製剤が申請中)が、そう痒を大幅に軽減し、その状態を維持することが示された。米国・University of Miami Miller School of MedicineのGil Yosipovitch氏らが、第II相二重盲検無作為化プラセボ対照用量設定試験の結果を報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2023年4月12日号掲載の報告。

腎臓のリスクを上げない飲酒量は?

 アルコールと疾患に関して過去のコホート研究では、アルコール摂取とタンパク尿と糸球体濾過量(GFR)低下を特徴とする慢性腎臓病との間に相反する関連性が報告されている。ただ、大量飲酒が腎臓に及ぼす影響を評価した研究は少なく、これまで一定の見解が得られていなかった。そこで山本 陵平氏(大阪大学 キャンパスライフ健康支援・相談センター)らの研究グループは、これまでに報告された疫学研究の結果を統合し、アルコール摂取量と腎臓病リスクの関係を解析した。その結果、1日60g程度(日本酒約3合)以上のアルコール摂取はタンパク尿リスクとなることを明らかにした。Nutrients誌2023年3月25日号に掲載。

IgA腎症の病態に根差した治療(解説:浦信行氏)

CLEAR!ジャーナル四天王-1535「高リスクIgA腎症に対する経口ステロイドの効果と有害事象を勘案した治療法」の稿で低用量ステロイド群の優位性を解説したが、用量の多寡にかかわらず治療終了後の追跡期間で効果が減弱することが明らかであり、より一層病態に根差した治療法の開発の必要性を述べた。このたびLancet誌に掲載された新規の非免疫抑制性単分子エンドセリン受容体・アンジオテンシンII受容体デュアル拮抗薬のsparsentanのデータは、病態に根差した有用な治療法であることを期待させるものである。

IgA腎症での尿蛋白減少、sparsentan vs.イルベサルタン/Lancet

 IgA腎症の成人患者において、新規の非免疫抑制性単分子エンドセリン受容体・アンジオテンシン受容体デュアル拮抗薬sparsentanの1日1回投与は、イルベサルタンとの比較において尿蛋白を有意に減少させ、安全性はイルベサルタンと類似していた。オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J. L. Heerspink氏らが、18ヵ国134施設で実施された無作為化二重盲検第III相試験「PROTECT試験」の、事前に規定された中間解析結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「今後、2年間の二重盲検期間完了後の解析により、今回示されたsparsentanの有益な効果が長期的な腎保護作用につながるかどうかが示されるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年4月1日号に掲載の報告。

尿酸値が上がりにくいアルコールは?~日本人8万人のデータ

 飲酒は高尿酸血症の重要なリスク因子だが、アルコール飲料の違いによる血清尿酸値への影響の詳細はわかっていない。今回、聖路加国際病院の福井 翔氏らが、日本人7万8,153人の健康診断データを用いて横断研究を実施した結果、飲酒量をエタノール含有量で統一した場合、ビールでの血清尿酸値上昇は大きく、ワインでは中程度の上昇、日本酒での上昇はわずかで有意ではなかったことが示された。JAMA Network Open誌2023年3月17日号に掲載。

妊娠高血圧腎症予防のための低用量アスピリン投与は今後妊娠28週までの投与が基本となるか(解説:前田裕斗氏)

妊娠高血圧腎症予防のため、発症ハイリスク妊婦への妊娠初期からの低用量アスピリン投与は、標準的な治療になってきている。アスピリンの妊娠高血圧腎症予防機序はまだ不明な点もあるが、抗炎症作用や酸化ストレスの軽減から胎盤形成の障害を予防する効果があるとされ、そのため胎盤形成が行われる妊娠初期からの投与が望ましいと考えられている。一方、投与終了期間については一定した報告がなく、分娩時出血が増える可能性が報告されていることから36週での投与終了としている国が多い。

推定GFR値を、より正確に知る―欧州腎機能コンソーシアムの報告―(解説:石上友章氏)

慢性腎臓病(CKD)は、21世紀になって医療化された概念である。その起源は、1996年アメリカ腎臓財団(NKF:National Kideny Foundation)による、DOQI(Dialysis Outcome Quality Initiative)の発足にまでさかのぼることができる。2003年には、ISN(International Society of Nephrology:国際腎臓学会)によりKDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcomes)が設立され、翌2004年に第1回KDIGO Consensus Conference(CKDの定義、分類、評価法)が開催され、血中クレアチニン濃度の測定を統一し、estimated GFRを診断に使用することが提唱された。その結果、現代の腎臓内科学は、Virchow以来の細胞病理・臓器病理に由来する、原因疾患や、病態生理に基づく医学的な定義に加えて、血清クレアチニン値による推定糸球体濾過量(eGFR)を診断に用いる『慢性腎臓病(CKD)』診療に、大きく姿を変えた。CKDは、心腎連関によって、致死的な心血管合併症を発症する強い危険因子になり、本邦の成人の健康寿命を著しく脅かしていることが明らかになっている。KDIGOの基本理念として、CKDは糖尿病・高血圧に匹敵する主要な心血管疾患(CVD)のリスクファクターであり、全世界的対策が必要で、誰でも(医師でなくても)理解できる用語の国際的統一を呼び掛けた。したがって、CKD対策とは腎保護と心血管保護の両立にある。腎臓を標的臓器とする糖尿病、高血圧については、特異的な治療手段があり、原疾患に対する治療を提供することで、腎障害の解消が期待される。eGFRの減少は、CKDの中核的な病態であるが、その病態を解消する確実な医学的な手段はなかった。これまで、栄養や、代謝、生活習慣の改善を促すこと以外に、特異的な薬物治療は確立されていない。しかし、近年になって、糖尿病治療薬として創薬されたSGLT2阻害薬が、血糖降下作用・尿糖排泄作用といった薬理作用を超えた臓器保護効果として、心不全ならびに、CKDに有効な薬剤として臨床応用されている。SGLT2阻害薬は、セオリーにすぎなかった心腎連関を、リアル・ワールドで証明することができた薬剤といえるのではないか。推定GFRの評価は、CKD診療の基本中の基本であり、原点にほかならない。人種、性別、年齢による推定式が用いられているが、万能にして唯一の推定式とはいえなかった。Pottel氏らの研究グループは、「調整血清クレアチニン値」に代わって、「調整シスタチンC値」に置き換えた「EKFC eGFRcys式」の性能を評価した研究を報告した(Pottel H, et al. N Engl J Med. 2023;388:333-343.)。

inaxaplin、APOL1バリアント保有患者で蛋白尿を抑制/NEJM

 アポリポ蛋白L1をコードする遺伝子(APOL1)の毒性機能獲得型バリアント(G1またはG2)を持つ人は、蛋白尿性慢性腎臓病(CKD)のリスクが高く、CKD患者はこれら2種のバリアントを持たない人に比べ末期腎臓病への進展が加速化することが知られている。米国・Vertex PharmaceuticalsのOgo Egbuna氏らは、VX19-147-101試験において、2種のAPOL1バリアントを有する巣状分節性糸球体硬化症の患者では、低分子量の経口APOL1チャネル機能阻害薬inaxaplinの投与により蛋白尿が減少することを示した。研究の成果は、NEJM誌2023年3月16日号に掲載された。

早期妊娠高血圧腎症予防のアスピリンを24~28週で中止、発生率は?/JAMA

 アスピリンは、早期妊娠高血圧腎症のリスクが高い妊婦においてその発生率を抑制するが、周産期出血のリスクを上昇させる可能性があるという。スペイン・バルセロナ自治大学のManel Mendoza氏らは、可溶性fms様チロシンキナーゼ1(sFlt-1)と胎盤増殖因子(PlGF)の比が正常な妊婦では、妊娠36週までアスピリンの投与を継続した場合と比較して、24~28週での投与中止は、早期妊娠高血圧腎症の発生に関して非劣性であり、出血性合併症は減少することを示した。研究の成果は、JAMA誌2023年2月21日号で報告された。