神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:94

ICUにおけるCandida aurisの集団発生と制圧(解説:吉田敦氏)-930

英国・オックスフォード大学病院の神経ICUで、C. aurisの集団感染が発生し、アクティブサーベイランス、全ゲノム解析に基づく分子疫学、伝播要因の追究、制圧の過程が今回NEJM誌に報告された。多剤耐性を示す本菌の増加は世界中で報告されており、米国および英国は2016年6月にアラートを発したが、今回の事例はその前から始まっていたもので、最終的に皮膚体温計のリユースが最も疑われる結果となった。

潜在性甲状腺機能低下症へのホルモン療法、最新メタ解析結果/JAMA

 潜在性甲状腺機能低下症患者への甲状腺ホルモン療法の便益は不明とされる。スイス・ベルン大学病院のMartin Feller氏らは、成人患者において甲状腺ホルモン療法の有効性を検討し、一般的なQOLや甲状腺関連症状の改善効果はみられないことを示した。研究の成果は、JAMA誌2018年10月2日号に掲載された。潜在性甲状腺機能低下症は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)高値と遊離サイロキシン(FT4)正常範囲内で定義され、とくに甲状腺機能低下症に起因する可能性がある症状(疲労感、便秘、原因不明の体重増加など)を伴う場合は、甲状腺ホルモン(レボチロキシン)による治療が行われることが多い。最近、2つの大規模臨床試験の結果が報告されたことから、これらを含めたメタ解析のアップデートが求められていた。

認知症と自殺との関係

 認知症と診断された患者における自殺念慮の存在、促進因子、保護因子について、英国・プリマス大学のGary Hodge氏が、文献レビューおよびデータ統合を行った。本レビューでは、どのような因子が自殺念慮のリスク上昇に影響を及ぼすかを考慮し、認知症での死亡を議論する際、選択の道徳性と倫理性への反映を試みた。Dementia(London, England)誌オンライン版2018年9月14日号の報告。

薬剤耐性てんかん患者に対するEPA、DHAの無作為化二重盲検比較試験

 オメガ3脂肪酸(EPA、DHA)は、神経機能の維持および調整に重要な役割を果たしていると知られており、抗けいれん効果を有するとのエビデンスがある。スーダン・ハルツーム大学のFatma A. S. Ibrahim氏らは、薬物治療抵抗性てんかん患者の発作率に対するEPA、DHAの効果について検討を行った。Epilepsy & Behavior誌オンライン版2018年8月28日号の報告。

日本人高齢者のライフスタイル活動と認知症リスク

 高齢化や慢性疾患状態の増加に伴い、認知症の有病率は上昇している。国立長寿医療研究センターの島田 裕之氏らは、日本の地域在住の高齢者における、日常生活や社会的役割を含むライフスタイル活動と認知症発症との関連について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2018年8月21日号の報告。

地方病院の認知症やせん妄患者に対するボランティア介入が再入院率に及ぼす影響

 地方の急性期病院における、認知症、せん妄、せん妄リスクを有する患者に対するパーソン・センタード(person-centered)のボランティアプログラムが臨床アウトカムに及ぼす影響について、オーストラリア・Southern NSW Local Health DistrictのAnnaliese Blair氏らが検討を行った。International Psychogeriatrics誌オンライン版2018年8月13日号の報告。

“酒は百薬の長されど万病の元”という故事は飲酒の健康への利害を端的に語っており、認知症も例外にあらず!(解説:島田俊夫氏)-908

高齢者の認知症が大きな社会問題としてクローズアップされている。2018年8月1日にBMJ誌に掲載されたフランス・パリ・サクレー大学のSeverine Sabia氏らの「Whitehall IIコホート研究」の結果は、飲酒と認知症の関連を取り上げた時宜にかなう論文で興味深く、この小稿で取り上げた。これまで過度な飲酒が身体に悪影響を及ぼすことは広く周知されている。一般的に適量の飲酒は認知症に関して低リスク1)と考えられてきたが、詳細については不明な点も多い。