食習慣と若年性認知症発症リスク~イタリアでの調査 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2021/01/15 若年性認知症のリスクは、環境要因や食生活を含むライフスタイルによって変化する可能性がある。イタリア・モデナ・レッジョ・エミリア大学のTommaso Filippini氏らは、食生活と若年性認知症リスクとの関連を調査した。Nutrients誌2020年11月29日号の報告。 イタリア北部のモデナの新規若年性認知症患者54例および対照群として介護者54人を対象とした。食事の頻度に関する質問票により食生活を調査し、食物摂取と食事パターンのアドヒアランスについて評価を行った。食事の要因とリスクとの関係をモデル化するため、制限3次スプライン回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・穀物摂取と若年性認知症は、U字型の関係を示し、350g/日超で若年性認知症リスクの増加が認められた。 ・乳製品の大量摂取(400g/日超)も、若年性認知症リスクの増加と関連が認められた。 ・全体として魚介類の摂取と若年性認知症リスクとの関連は認められなかった。保存や缶詰にされた魚類の摂取と若年性認知症リスクとの関連が認められたが、ほかの魚類では逆の関係が認められた。 ・野菜(とくに葉菜類)の摂取は、100g/日超で強い逆相関が認められた。かんきつ類やドライフルーツも同様であった。 ・全体として甘味の摂取と若年性認知症リスクとの関連は認められなかった。ドライケーキとアイスクリームでは正の相関が認められ、チョコレート製品では逆の関係が認められた。 ・飲料については、コーヒー摂取量とU字型の関係が認められた以外では、関連が認められなかった。 ・食事パターンに関しては、MINDダイエット(地中海式食事方法とDASH食を組み合わせた食事法)へのアドヒアランスが増加すると、若年性認知症リスクが直線的に減少した。 ・地中海式食事方法とDASH食での逆相関は、アドヒアランスレベルが非常に高い場合のみで認められた。 著者らは「本研究は、食事の要因と若年性認知症リスクとの関係を調査した最初の研究であり、MINDダイエットに対するアドヒアランスの増加が、リスク減少につながる可能性があることが示唆された」としている。 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Filippini T, et al. Nutrients. 2020;12:E3682. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 食事のパターンや質と認知症との関連~メタ解析 医療一般(2020/10/27) 日本食は認知症予防によい:東北大 医療一般 日本発エビデンス(2016/07/13) 日本の若年性認知症の年間発症率とそのサブタイプ 医療一般 日本発エビデンス(2020/10/23) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 内分泌療法後の転移乳がん、T-DXdがPFSを有意に改善(DESTINY-Breast06)/NEJM(2024/09/30) 新規非複雑病変へのDCB、DESに非劣性示せず/Lancet(2024/09/30) コロナワクチン接種後心筋炎とコロナ感染後心筋炎の18ヵ月後予後〜関心はさらに長期的予後に(解説:甲斐久史氏)(2024/09/30) 入院中の高齢者におけるせん妄が長期的な認知症リスクに及ぼす影響(2024/09/30) 電子処方箋発行時の電子署名、必要な準備や認証方法は?/厚労省(2024/09/30) 学校健診の留意点「検診項目追加は事前に打ち合わせを」/日医(2024/09/30) EGFR exon19挿入変異NSCLCへのEGFR-TKI、第1~3世代の効果は?/WCLC2024(2024/09/30) 国内初の造血器腫瘍遺伝子パネル検査ヘムサイトの承認取得/大塚(2024/09/30) インフルワクチンがCVD患者の予後を改善~メタ解析(2024/09/30) [ あわせて読みたい ] Dr.林の笑劇的救急問答16<上巻> 肺炎編(2021/01/10) 脳血管内治療STANDARD(2020/12/10) Dr.水谷の妊娠・授乳中の処方コンサルト(2020/10/10) 心不全特集まとめインデックス(2020/10/01) 腎性貧血特集まとめインデックス(2020/09/30) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【糖尿病・内分泌疾患編】(2020/09/10)