脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:106

日本における抗認知症薬の処方量に関する研究

 2015年時点で、世界で認知症を有する人は4,700万人いるといわれている。認知症の有病者数は、2050年には1億3,200万人に達すると予想されており、そのうちアジア諸国が51%を占めると予想されている。日本は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最も認知症の有病率が高く、人口の2%(約500万人)が認知症に罹患している。

「パーキンソン病診療ガイドライン」7年ぶりに改訂

 2011年以来の改訂版となる「パーキンソン病診療ガイドライン 2018」が5月15日に発行された。今回のガイドライン改訂では、パーキンソン病診療における最も重要な臨床課題として「早期パーキンソン病治療」と「運動合併症治療」を設定し、GRADEシステムに基づいてエビデンスレベルと推奨レベルの2軸による治療の推奨度が示された。「Minds診療ガイドライン作成の手引き(2014年版)」に準拠して作成され、治療だけでなく診断基準や病因、画像所見などについても幅広く解説されていることから、「治療ガイドライン」から「診療ガイドライン」に名称を変更している。

脳卒中ケアユニット、所得・重症度によらず生存率を改善/Lancet

 低・中所得国では、脳卒中のエビデンスベースの治療や診断、および脳卒中ケアユニットが、一般的に活用されていないことが明らかにされた。一方で、脳卒中ケアユニットへのアクセスや抗血小板療法の適切な使用は、早期回復と関連していることも示された。英国・グラスゴー大学のPeter Langhorne氏らが、32ヵ国・約1万3,000例の脳卒中患者を対象に行った観察試験で明らかにしたもので、Lancet誌2018年5月19日号で発表した。これまで、低・中所得国では脳卒中が人々にもたらず影響にばらつきがあることが示唆されていた。高所得国では、脳卒中のケアとアウトカムは改善が報告されているが、低・中所得国の診療状況およびアウトカムは明らかになっていなかった。

これはいける!と思ったのに:ESUSの意外な失敗(解説:後藤信哉氏)-864

薬剤として経口抗Xa薬が開発された当時、標的疾患としては「脳梗塞2次予防がよい」と各社にアドバイスした。冠動脈疾患、心房細動より、脳梗塞中の再発リスクが高く、新規の抗血栓薬が必要と思ったからである。脳梗塞の病態は複雑である。微小血管病と想定されるラクナ梗塞、抗血小板薬が有効なアテローム血栓性閉塞では、抗凝固薬は役立たないのではないかとの意見もあった。心房細動の脳卒中予防試験も、予防対象は「脳卒中・全身塞栓症」で心原性塞栓ではなかった。

脂肪摂取と認知症リスクに関するメタ解析

 疫学研究によると、食事による脂肪摂取は、アルツハイマー病(AD)や認知症リスクと関連しているが、この関連性は明確になっていない。中国・浙江大学のYue Ruan氏らは、脂肪摂取とADや認知症リスクとの関連をシステマティックに調査するため、メタ解析を行った。Current Alzheimer research誌オンライン版2018年4月27日号の報告。

20歳までに多いがんは「白血病」

 2018年5月30日、国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)の「がん対策情報センター(センター長:若尾 文彦)」がん統計・総合解析研究部は、2009~11年に新たにがんと診断された小児およびAYA:Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)世代のがん罹患率を人口集団ベースで集計し、同センターのサイト内に統計解説ページを新規に開設した。  これは、厚生労働科学研究費補助金「都道府県がん登録の全国集計データと診療情報等の併用・突合によるがん統計整備及び活用促進の研究」研究班の「地域がん登録」データを活用し、今回初めて小児からAYA世代のがん罹患率を全国規模の人口集団ベースで小児がん国際分類に従い集計したもので、がん種の順位も合わせての公表となった。

軽~中等度認知症への運動介入、進行遅延効果はなし?/BMJ

 軽度~中等度認知症に対する、中~高強度の有酸素運動と筋力トレーニングのプログラムの介入には、認知障害の進行を遅らせる効果はないことが、英国・オックスフォード大学のSarah E. Lamb氏らによる無作為化試験「Dementia And Physical Activity:DAPA試験」の結果で示された。筋トレのプログラムで体力の改善は認められたが、その他の臨床的アウトカムの明らかな改善は認められなかったという。認知症者の認知低下の遅延に果たす運動の役割について、これまで臨床に反映できる十分な規模と方法論に基づく無作為化試験は行われていなかった。BMJ誌2018年5月16日号掲載の報告。

発症時間不明の脳梗塞、rt-PAで転帰改善か/NEJM

 発症時間不明の急性脳卒中患者において、脳虚血領域のMRI拡散強調画像とFLAIR画像のミスマッチを根拠に行ったアルテプラーゼ静脈内投与は、プラセボ投与と比べて、90日時点の機能的アウトカムは有意に良好であることが示された。ただし、頭蓋内出血は数的には多く認められている。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのGotz Thomalla氏らによる多施設共同無作為化二重盲険プラセボ対照試験「WAKE-UP試験」の結果で、NEJM誌オンライン版2018年5月16日号で発表された。現行ガイドラインの下では、静脈内血栓溶解療法は、発症から4.5時間未満であることが確認された急性脳卒中だけに施行されている。研究グループは、発症時間が不明だが、MRI画像の特色として発症が直近の脳梗塞と示唆された患者について、静脈血栓溶解療法はベネフィットがあるかを検討した。

認知症に対する運動介入の息の根が止められたのか?(解説:岡村毅氏)-859

非常に大規模に、そしてほかの要因が交絡しないように厳密に、運動介入が認知症の人の認知機能に及ぼす効果を調べたら、なんと効果がないどころか通常のケアに負けたという報告である。通常のケアより優位であったのは「一定時間内に歩く距離」というのも微妙だ。1年も激しく運動すれば足は鍛えられるだろう。