脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:106

食物繊維は健康関連アウトカムを改善、低GI食の効果は?/Lancet

 ニュージーランド・オタゴ大学のAndrew Reynolds氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、食物繊維の摂取量増加および全粒穀物摂取を推奨することは、人々の健康に有益と考えられることが示された。炭水化物の質と健康との関連性を検証したこれまでのシステマティックレビューとメタ解析では、1つのマーカーを検証したものが多く、臨床アウトカムの数は限定的であった。Lancet誌オンライン版2019年1月10日号掲載の報告。

日本人の脳卒中生涯リスク:4人に1人が脳卒中になる(解説:有馬久富氏)-1000

Global Burden of Disease(GBD)研究2016より、全世界における脳卒中の生涯リスクがNEJM誌に報告された。その結果、25歳以降に脳卒中を発症するリスクは25%であった。日本における脳卒中の生涯リスクは全世界よりも少し低い23%であり、約4人に1人が脳卒中に罹患する計算になる。また、日本では1990~2016年までの間に生涯リスクが3%減少していた。  一方、東アジアで脳卒中の生涯リスクが最も高いのは中国(39%)であり、約2.5人に1人が罹患する計算になる。さらに中国では、1990~2016年までの間に生涯リスクが9%も増加していた。中国において高血圧の未治療者や、降圧目標を達成できていない者が多いことが、高い脳卒中生涯リスクの一因かもしれない。

メマンチンと抑肝散との薬物相互作用に関する基礎研究

 アルツハイマー病の治療においては、コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチン(MEM)、または抑肝散(YKS)などの認知症患者の行動と心理症(BPSD)治療に用いられる伝統的な漢方薬が使用される。株式会社ツムラのTakashi Matsumoto氏らは、MEMとYKSとの薬物相互作用(DDI)を明らかにするための研究の一環として、いくつかの基礎的な薬物動態学的および薬理学的研究を実施した。Molecules誌2018年12月29日号の報告。

日本人認知症高齢者における抗精神病薬使用および関連因子

 抗精神病薬は、死亡率や脳血管イベントに対するリスク増加と関連が認められているが、認知症患者の行動と心理症状(BPSD)のマネジメントに用いられている。日本におけるこれまでの研究では、抗認知症薬を処方中の高齢者における抗精神病薬の使用率の推定が行われてきた。筑波大学の黒田 直明氏らは、介護保険データを用いて、認知症高齢者における抗精神病薬使用率のより正確な推定値を算出し、抗精神病薬使用に関連する因子を特定するため、検討を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2018年11月27日号の報告。

脳梗塞/TIAへのクロピドグレル併用、ベストな投与期間は/BMJ

 高リスク一過性脳虚血発作(TIA)または軽症虚血性脳卒中の発症後24時間以内のクロピドグレル+アスピリンの抗血小板薬2剤併用療法は、1,000人当たりおよそ20人の脳卒中再発を予防できることが示された。また、2剤併用投与の中断は、21日以内に行い、できれば10日以内に行うのが、最大のベネフィットを享受かつ有害性を最小とできることも示唆されたという。中国・四川大学のQiukui Hao氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果で、BMJ誌2018年12月18日号で発表された。

急性期の軽症脳梗塞と高リスクTIAに対するクロピドグレルとアスピリンの併用療法はいつまで続けるか?(解説:内山真一郎氏)-990

軽症脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)は重症脳梗塞を含む心血管イベントを続発する危険性が大きい。これらの患者では抗血小板療法の有効性が証明されているが、多くのガイドラインではアスピリンの単剤療法を推奨している。中国で行われたCHANCE試験ではクロピドグレルとアスピリンの併用療法がアスピリンの単剤療法より優れていることが示された。また、欧米で行われたPOINT試験でも、この併用療法が単剤療法より脳梗塞再発予防に優れていたが、出血も増加した。本研究では、これら2件の二重盲検比較試験とこれら以前に行われたFASTER試験で同定された1万447例のデータを対象にメタ解析を行った。

地域別の脳卒中生涯リスク、東アジアで39%/NEJM

 2016年において世界全体の25歳以降の脳卒中生涯リスクは、男女ともに約25%であり、同リスクは地理的ばらつきがみられ、東アジア、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパで高率であった。米国・ワシントン大学のGregory A. Roth氏らGBD 2016 Lifetime Risk of Stroke Collaboratorsが、1990年と2016年の脳卒中生涯リスクについて調べ明らかにした。脳卒中生涯リスクは、限られた選択的集団で算出されているが、研究グループは、主要疾患有病率の包括的な研究データを用いて、地域別、国別、および世界全体レベルでの推算を行った。NEJM誌2018年12月20日号掲載の報告。

脳梗塞後に抗うつ薬を内服しても機能向上は得られない、うつにはならない、骨折は増える(解説:岡村毅氏)-984

脳梗塞後にはうつを発症しやすく(脳梗塞ではない同等の身体機能障害と比較しても多い)、脳梗塞後うつ(post-stroke depression)と言われるが、リハビリを阻害したり、自傷・自殺の原因となることもある重大な病態である。これとは別に、脳梗塞後に抗うつ薬を内服すると、その神経保護作用から運動機能の向上がみられるという報告もある。こういった問題に対して大規模研究で果敢に挑んだのが今回のFOCUS研究である。使用された抗うつ薬はSSRIの1つfluoxetineである。勘の鋭い人はおわかりかもしれないが、fluoxetineは海外における抗うつ薬の乱用や病気喧伝(なんでも病気のせいにして薬を売ろうとすること)の文脈で批判にさらされている現代文明を象徴する薬剤の1つである。商品名はプロザックといい、『Prozac Nation』という本も有名だ。なお、わが国では販売されていない。とはいえ、多く使われるのには理由があり、はっきり言って効果も有害事象も弱いため、このような対照研究で使われるのは合理的だろう。

コリンエステラーゼ阻害薬を使用した新規認知症患者における抗コリン作用の影響

 臨床試験において、コリンエステラーゼ阻害薬開始後の抗コリン作用性負荷と治療変容との関連を評価した研究は、ほとんどない。韓国・嶺南大学校のYoung-Mi Ah氏らは、認知症治療の変容、せん妄、死亡率に対する抗コリン作用性負荷の影響を評価するため、検討を行った。Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology誌オンライン版2018年12月3日号の報告。  韓国の国民健康保険サービスの高齢者コホートデータベース(Korean National Health Insurance Service Senior Cohort Database)より、2003~11年にコリンエステラーゼ阻害薬を開始した高齢者2万5,825例をレトロスペクティブに分析した。最初の3ヵ月間のAnticholinergic Cognitive Burden(ACB)の1日平均スコアが3超を、抗コリン作用性高負荷と定義した。治療変容、せん妄、死亡に対する抗コリン作用性高負荷の影響について、傾向マッチコホート7,438例におけるACB負荷最小群(ACBスコア1以下)との比較を行った。