脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:106

急性脳梗塞の血栓除去術、発症後6~16時間でも有用/NEJM

 近位中大脳動脈または内頸動脈の閉塞を呈し、虚血は認めるが梗塞に至っていない組織領域を認める患者では、発症後6~16時間でも、標準的薬物療法単独よりも血管内治療(血栓除去術)を併施したほうが、良好な機能的アウトカムに結びつくことが示された。米国・スタンフォード大学脳卒中センターのGregory W. Albers氏らが「DEFUSE3試験」の結果を報告した。現行、血栓除去術は画像診断での適格性に基づき、発症後6時間以内の脳卒中患者への施術が推奨されている。NEJM誌オンライン版2018年1月24日号掲載の報告。

1日1本のタバコでも心血管疾患リスク増大/BMJ

 1日1本であっても、喫煙は冠動脈疾患および脳卒中の発症リスクを予想以上に増大させ、心血管疾患の発症に害のない安全な喫煙レベルは存在せず、リスク低減には減煙では不十分であることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAllan Hackshaw氏らが実施した141件のコホート試験のメタ解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年1月24日号に掲載された。喫煙者の多くはタバコの本数を減らすことで関連疾患の発症リスクを低減できると考えているが、これまでにも冠動脈疾患のリスクは軽度の喫煙(1日5本未満)でも予想以上に高いことが報告されている。

ミトコンドリアATPシンターゼと加齢や認知症との関連

 アルツハイマー病などの認知症が増加する根本的な要因は、老化である。老化を治療戦略とする考え方は新しいものではないが、老化と加齢による疾患が分子レベルで、どれほど密接に関連しているかはよくわかっていない。米国・ソーク研究所のJoshua Goldberg氏らは、アルツハイマー病の候補薬J147の分子標的を同定し、老化と認知症との新規分子リンクを発見するための検討を行った。Aging cell誌オンライン版2018年1月7日号の報告。

認知症者の自動車運転を停止するためのワークショップ

 認知症者にとって、自動車運転は大きな危険を伴う。カナダの医師は、不適切な運転手を報告する法的な責任を負っており、その決定を患者に明らかにする必要がある。医師は患者との健全な関係を維持したいと考えているものの、認知症者は洞察力が不足しており、運転免許の喪失に対して非常に強い感情を示す。これらが、正確な情報交換を妨げる可能性がある。カナダ・オタワ病院のAnna Byszewski氏らは、このような難しい通達を行う医療従事者のための戦略と支援を提供する目的で、マルチメディアモジュールの開発を試みた。Canadian geriatrics journal誌2017年12月22日号の報告。

脳梗塞急性期患者に抗血小板薬の3剤併用療法は、有効性と安全性の両面から推奨できない(解説:内山真一郎氏)-803

TARDIS試験は、発症後48時間以内の脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)において、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモールの3剤併用療法の有効性と安全性を、英国のガイドラインに基づくクロピドグレル単独療法かアスピリンとジピリダモールの2剤併用療法と比較する、国際共同研究による非盲検の無作為化比較試験であった。結果として、3剤併用療法は脳卒中やTIAの頻度や重症度を減少させず、重大な出血を増加させてしまった。

日本人のビタミンD摂取量と脳卒中死亡が逆相関

 ビタミンDの心血管の健康に及ぼす重要性に関する報告が増えている。今回、JACC研究(The Japan Collaborative Cohort Study)で日本人集団における食事でのビタミンD摂取量と脳卒中・冠動脈疾患死亡リスクの関連を調べたところ、ビタミンD摂取量が脳卒中死亡と逆相関することが示唆された。Stroke誌オンライン版2018年1月8日号に掲載。

満月の夜には死亡事故が多い(解説:折笠秀樹氏)-799

Redelmeierらは1万3,000件ものオートバイによる死亡事故について、それは満月の夜に起こりやすいかどうかを調査した。満月の夜には1晩当たり9.10件の死亡事故が観察されたが、そうでない夜には1晩当たり8.64件にすぎなかった。わずか1.05倍という危険度だが、その差は偶然とは思えない、統計学的に有意な結果であった(p=0.005)。死亡事故の原因と目されている雨天・ヘルメット着用・性別・年齢などでは、両群に違いはなかった。つまり、他の交絡因子では説明できないということだ。

抗血小板薬3剤併用、脳梗塞急性期への有効性は/Lancet

 虚血性脳卒中(脳梗塞)や一過性脳虚血発作(TIA)の急性期患者における抗血小板薬3剤併用療法は、再発とその重症度を減少させることはなく、大出血リスクは有意に増大することを、英国・ノッティンガム大学のPhilip M Bath氏らが、無作為化非盲検第III相優越性試験「TARDIS試験」の結果、報告した。これまでの検討で、脳梗塞急性期の2次予防として抗血小板薬2剤併用療法は単剤療法より優れていることが示唆されている。3剤併用療法はそれらガイドラインで推奨されている抗血小板療法より有効である可能性があったが、結果を踏まえて著者は、「抗血小板薬3剤併用療法は、日常診療で使用されるべきではない」とまとめている。Lancetオンライン版2017年12月20日号掲載の報告。