脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:103

日本人アルツハイマー病患者に対する長期ドネペジル投与の病態変化と安全性

 アルツハイマー病(AD)患者における、ドネペジル塩酸塩の長期かつ大規模な研究(J-GOLD試験)が実施された。順天堂大学の新井 平伊氏らによる本研究では、これまで2つの中間報告が行われていたが、研究結果の分析が完了し最終報告が行われた。Psychogeriatrics誌オンライン版2018年7月11日号の報告。

非常に高度なアルツハイマー病に対する抗認知症薬の有効性

 高度なアルツハイマー病(AD)において、抗認知症薬(ADD)の処方をいつまで行うべきかに関するエビデンスは、不十分である。韓国・釜山大学病院のYun Jeong Hong氏らは、ドネペジルまたはメマンチンが処方されている非常に高度なAD患者において、継続治療から得られるベネフィットについて調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2018年号の報告。

パーキンソン病の病因は腸か!?

 2018年7月24日、武田薬品工業株式会社は、都内においてパーキンソン病治療薬ラサギリン(商品名:アジレクト)の発売を期し、「~高齢化社会により患者数が増加している神経変性疾患~ パーキンソン病の病態・治療変遷」をテーマに本症に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、本症の概要、最新の研究状況、「パーキンソン病診療ガイドライン2018」の内容が紹介された。

小児期のストレスと将来の認知症発症との関連

 小児期の環境と晩年の慢性疾患との関連を分析するライフコース研究は、あまり行われていない。とくに、認知症の早期予測を可能とする研究はほとんど存在しない。東フィンランド大学のGwendolyn A. R. Donley氏らは、小児期のストレスと将来の認知症(とくにアルツハイマー病[AD])との関連について検討を行った。European Journal of Public Health誌オンライン版2018年7月17日号の報告。

軽症脳梗塞急性期の治療効果はtPAとアスピリンで差がなかった(解説:内山真一郎氏)-897

脳梗塞急性期患者の半数以上は軽症であるが、これまでに行われた血栓溶解療法の臨床試験には介助を要さない軽症例も含まれていた。PRISMS試験は、米国国立衛生研究所脳卒中尺度(NIHSS)が5点までの軽症例において、アルテプラーゼの有効性と安全性を評価する目的で行われた。PRISMSは米国の多施設共同、第III相無作為化二重盲検比較試験であり、NIHSSが0~5点で介助を要さず、発症後3時間以内の治療を開始された症例が対象となった。

アスピリンの効果、用量や体重で大きな差/Lancet

 アスピリンの血管イベントやがんの抑制効果には、用量や患者の体重によって大きな差があり、良好な効果を得るには、より個別化された治療戦略を要することが、英国・オックスフォード大学のPeter M. Rothwell氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年7月12日号に掲載された。全例に同一用量を一律に投与するone-dose-fits-allアプローチでは、アスピリンの長期的な心血管イベントの予防効果はわずかであり、標準的な用量は体が大きい患者には過少で、小さい患者には過剰であることが報告され、他のアウトカムについても同様である可能性が示唆されている。

卵円孔開存患者では周術期の脳梗塞が多かった(解説:佐田政隆氏)-895

卵円孔は、胎児期に右心房から左心房に血液が直接流れ込むための正常な構造であり、出産後肺循環が始まると閉鎖される。この閉鎖が不全である状態が卵円孔開存である。バブルテストや経食道心エコーなどの診断技術の向上によって、診断される頻度が増えており、成人で25%にPFOが認められるという報告もある。心房中隔欠損症などと異なり、PFOは血行動態に悪影響はなく、従来は放置して良いとされてきた。しかし、下肢などに血栓が生じると、PFOを通って右房から左房へ血栓が流れていって、奇異性脳塞栓症を生じさせることがまれに起こることが知られている。脳梗塞の既往がない周術期患者でPFOが本当に脳梗塞のリスクになるのかどうかは不明であった。

院外心停止へのエピネフリン、神経学的予後は改善せず?/NEJM

 成人の院外心停止患者へのエピネフリン(アドレナリン)投与は、プラセボに比し30日生存率を改善するが、重度の神経障害を有する生存例が多いため、良好な神経学的アウトカムを有する生存例の割合には差がないことが、英国・ウォーリック大学のGavin D. Perkins氏らが行った「PARAMEDIC2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年7月18日号に掲載された。エピネフリンは、α-アドレナリン受容体を介して細動脈を収縮させることで、心停止に対し有益な作用を及ぼす可能性があり、この細動脈の収縮は、心肺蘇生法(CPR)施行中の大動脈の拡張期血圧を上昇させるため、冠動脈の血流が増加し、自己心拍再開の可能性が高まるという。一方、α-アドレナリン刺激は、血小板を活性化して血栓症を促進し、大脳皮質の微小血管の血流を損ない、CPR中および自己心拍再開後の脳虚血の重症度を高めるとされる。

抗認知症薬処方前の甲状腺機能検査に関するレトロスペクティブ観察研究

 甲状腺機能低下症は、認知障害を引き起こす疾患として知られており、甲状腺ホルモンの補充により治療が可能である。そのため、日本を含め世界各国の認知症診療ガイドラインでは、認知症の診断を進めるうえで甲状腺機能検査(TFT)の実施を推奨している。しかし、これまで抗認知症薬を開始する前の認知症原因疾患の診断過程において、TFTがどの程度実施されているかについては、よくわかっていなかった。医療経済研究機構の佐方 信夫氏らは、日本における抗認知症薬処方前のTFT実施状況について調査を行った。Clinical Interventions in Aging誌2018年7月6日号の報告。

病院スタッフのEBM順守で脳卒中患者のアウトカム改善か/JAMA

 中国・Capital Medical UniversityのYilong Wang氏らは、同国40の公的病院を対象に、急性虚血性脳卒中(AIS)患者に関するエビデンスに基づく医療パフォーマンスの病院スタッフの順守について、多面的な質改善の介入で変化が認められるかを調べる多施設共同クラスター無作為化試験を行った。その結果、all-or-none評価では認められなかったが、複合指標評価でわずかだが統計的に有意な改善が認められたことを報告した。研究グループは、「今回認められた所見の一般化可能性について、さらなる研究で明らかにする必要がある」とまとめている。JAMA誌2018年7月17日号掲載の報告。