脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:145

急性虚血性脳卒中、迅速なt-PA開始を支持する新たなエビデンス/JAMA

 急性虚血性脳卒中患者の治療では、発症から組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)による血栓溶解療法の開始が迅速であるほど、良好な転帰が達成されることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のJeffrey L Saver氏らの検討で示された。これまでに、急性虚血性脳卒中に対するt-PAの静脈内投与の効果は時間依存性であることが、無作為化臨床試験で示唆されている。一方、発症からt-PA投与開始(onset to treatment:OTT)までの時間が転帰に及ぼす影響を評価するには、いまだに症例数が十分でないため、臨床的知見の一般化可能性は確定的ではないという。JAMA誌2013年6月19日号掲載の報告。

脳卒中患者の下肢への間欠的空気圧迫法、DVTリスクを低減/Lancet

 脳卒中により自力歩行が困難な患者において、下肢への間欠的空気圧迫法(intermittent pneumatic compression:IPC)は深部静脈血栓症(DVT)のリスクを有意に抑制し、生存率を改善する可能性もあることが、英国・エジンバラ大学のMartin Dennis氏らが行ったCLOTS 3試験で示された(http://www.dcn.ed.ac.uk/clots/)。脳卒中などで入院した患者に高頻度にみられる静脈血栓塞栓症(VTE)は、回避可能な死因、併存症と考えられている。外科手術を受けた患者ではIPCにより下肢を連続的に圧迫することでDVTのリスクが低下することが知られているが、脳卒中患者に対する効果を示す信頼性の高いエビデンスはこれまでなかったという。本研究は2013年5月31日に欧州脳卒中学会(ESC、ロンドン市)で報告され、同日付けLancet誌オンライン版に掲載された。

急性脳内出血後の降圧治療、積極的降圧vs.ガイドライン推奨/NEJM

 発症6時間以内の急性脳内出血患者に対して、1時間以内の収縮期血圧目標値<140mmHgとした積極的降圧治療と、ガイドラインで推奨されている同<180mmHgの場合を比較した、オーストラリア・シドニー大学のCraig S. Anderson氏らによるINTERACT2試験の結果が報告された。死亡および重度身体障害発生の主要転帰について、積極的降圧治療の有意な低下は示されなかったが、試験課程で脳卒中試験に認められたRankinスコアの順序尺度解析(ordinal analysis)では、機能的転帰の改善が示されたという。NEJM誌オンライン版2013年5月29日号掲載の報告より。

喫煙と出血性脳卒中の死亡率との関連~香港での前向きコホート研究

 喫煙は、出血性脳卒中のサブタイプの1つであるクモ膜下出血の有意な危険因子であるが、もう1つのサブタイプである脳出血との関連性については確立されていない。香港大学のLin Xu氏らは、香港の高齢の中国人の大規模コホートで、喫煙と出血性脳卒中のサブタイプ(脳出血、クモ膜下出血)ごとの関連性を検討した。Stroke誌オンライン版2013年5月30日版に掲載。

「脳卒中再発予防のためには収縮期血圧130mmHg未満」を支持する結果(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(105)より-

 脳卒中既往歴のある症例の降圧目標値に関して、欧州のガイドラインは130/80mmHgとしている。これは、脳卒中再発予防におけるACE阻害薬ペリンドプリルの有用性を検討したPROGRESS試験の結果を参考にしている。一方、わが国のガイドライン2009年版では140/90mmHgとしているが、これに関しては反論も多い。脳卒中初発および再発の、最大のリスク因子は高血圧であることに議論の余地はなく、これまでの介入試験でも”The lower the better”を証明してきた。

ラクナ梗塞患者の二次予防目的とした血圧目標値は<130mmHgが有益:SPS3/Lancet

 ラクナ梗塞を最近(180日以内)発症した患者に対し、収縮期血圧目標値130mmHg未満とする血圧コントロールは「有益であり支持される」ことを、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のOscar R Benavente氏らがSecondary Prevention of Small Subcortical Strokes(SPS3)試験の結果、発表した。SPS3試験は米国NIH-NINDSの資金提供の下、ラクナ梗塞患者の二次予防を目的に、抗血小板療法および今回発表した血圧管理についてそれぞれ2つのアームを検討した国際共同オープンラベル無作為化試験で、抗血小板療法については先に発表されている。血圧管理は、血圧を下げることは脳卒中予防に結びつくが、脳卒中再発予防の至適目標値は不明であったことから、高値群(130~149mmHg)と低値群(<130mmHg)を設定し、再発への影響を調べたものであった。Lancet誌オンライン版2013年5月29日号掲載の報告より。

地中海食は脳卒中・認知障害・うつ病を予防できるか?

 近年、地中海食と脳卒中や認知症など脳疾患との関連を調査した研究結果がしばしば報告されている。アテネ大学(ギリシャ)のTheodora Psaltopoulou氏らは、地中海食の遵守度と、脳卒中やうつ病、認知障害、パーキンソン病の発症リスクの関連を調査したすべての研究をメタアナリシスによって定量的に評価し、Annals of Neurology誌オンライン版2013年5月30日号に報告した。

皮膚筋炎は心血管および脳血管イベントリスク増大に関連

 皮膚筋炎が、心血管および脳血管イベントリスクの増大に関連しているとの示唆が得られたことを、台湾・国泰総合医院のY.-T. Lai氏らが住民ベースの長期追跡調査の結果、報告した。慢性炎症性自己免疫疾患が心血管リスク増大と関連していることは知られるが、脳血管リスクとの関連についてはほとんど知られていなかった。British Journal of Dermatology誌2013年5月号の掲載報告。

脳卒中およびTIAのリスク評価に有効な新アルゴリズム「Q Strokeスコア」/BMJ

 英国・パーク大学のJulia Hippisley-Cox氏らは、脳卒中やTIA非既往の一般集団の同リスクを推定するための新たなアルゴリズム「Q Strokeスコア」を開発した。同スコアは、プライマリ・ケアで用いることを目的としたもので、従来のCHADS2などと比較検証した結果、より有効であることを報告した。特に抗凝固療法が必要となる可能性がある心房細動を有する患者においてリスクスコアを改善することが示された。今後は、プライマリ・ケアでの使用に値するのか費用対効果の検証が必要であるとまとめている。BMJ誌オンライン版2013年5月2日号掲載の報告より。

脳卒中既往例は、10~20年後の死亡率が非常に高い(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(96)より-

 一過性脳虚血発作(TIA)を含めた脳卒中急性期を30日以上生存しえた例の、長期予後を検討した追跡観察研究である。発症時期は18~50歳であり、高齢発症の脳卒中症例は除かれている。脳卒中の原因の中ではアテローム血栓、あるいはその疑いがもっとも多く、次いで心原性塞栓、ラクナ梗塞とつづく。リスク因子としては喫煙、高血圧が多い。