脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:144

血管内治療の追加で脳梗塞の予後改善/NEJM

 急性期虚血性脳卒中の患者に対し、標準治療に加えステント型血栓回収デバイスによる迅速血管内治療を行うと、身体機能や死亡率が改善され、QOLも良好であることが、カナダ・カルガリー大学のMayank Goyal氏らが行ったESCAPE試験で示された。前方循環の動脈近位部閉塞に起因する脳卒中では、t-PA(アルテプラーゼ)治療を行っても患者の60~80%が発症後90日以内に死亡または機能的自立が回復されない。これまでの試験からは、閉塞の部位が動脈近位部であることを証明し、迅速かつ効果的な画像法で梗塞巣が大きい患者を除外し、効率のよい作業手順で迅速な再疎通と高い再灌流率を達成することが重要であり、血栓の回収には前世代よりもステント型デバイスのベネフィットが優れることが知られている。NEJM誌オンライン版2015年2月11日号掲載の報告。

超急性期脳卒中への硫酸Mgの有用性は?/NEJM

 脳卒中が疑われる患者に対し、病院到着前に神経保護療法として硫酸マグネシウムの投与を行っても、予後は改善されないことが、米国南カリフォルニア大学のJeffrey L Saver氏らが行ったFAST-MAG試験で示された。脳卒中急性期の再灌流療法の補完的治療戦略として、神経保護薬が有望視されている。硫酸マグネシウムは、脳卒中の前臨床モデルで神経保護作用が示され、ヒトでは発症早期の投与による有効性の徴候および許容可能な安全性プロファイルが確認されている。NEJM誌2015年2月5日号掲載の報告。

急性脳卒中への予防的抗菌薬は有用か/Lancet

 急性脳卒中の患者に対し、通常の脳卒中治療に加え第3世代セフトリアキソン(商品名:ロセフィンほか)の予防的投与を行っても、機能的アウトカムの改善にはつながらなかったことが報告された。オランダ・アムステルダム大学のWilleke F. Westendorp氏らが、同患者2,550例について行った多施設共同非盲検無作為化比較試験PASS(Preventive Antibiotics in Stroke Study)の結果、示された。著者は「今回の結果は、成人急性脳卒中患者に対する予防的抗菌薬投与を支持しないものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年1月19日号掲載の報告より。

肺炎入院歴は心血管疾患のリスク因子/JAMA

 肺炎による入院歴がある集団では、これがない集団に比べ心血管疾患(CVD)の発症率が、短期的および長期的にも高いことが、カナダ・オタワ大学のVicente F. Corrales-Medina氏らの検討で示された。65歳以上では、30日発症率が約4倍に達し、その後10年まで有意なリスクの増大がみられ、65歳未満でも2年目まで有意なリスク上昇が確認された。CVDの至適な予防戦略を確立するには、リスク因子の特性化が重要であり、感染症はCVDの短期的、長期的なリスク因子である可能性が指摘されている。JAMA誌2015年1月20日号掲載の報告。

脳梗塞、動脈内治療が機能的転帰に有効/NEJM

 急性虚血性脳卒中患者に対し発症後6時間以内に行う動脈内治療は、機能的アウトカムに有効かつ安全であることが、オランダ・エラスムスMC大学医療センターのO.A. Berkhemer氏らによる多施設共同無作為化試験の結果、明らかにされた。対象は前方循環の頭蓋内動脈近位部閉塞による急性虚血性脳卒中患者で、標準治療とされるrt-PA静注療法の単独群との比較で機能的アウトカムへの効果が検討された。これまでに、同患者への動脈内治療は緊急的な血行再建術に非常に効果的であることは知られていたが、機能的アウトカムへの効果は立証されていなかった。NEJM誌2015年1月1日号(オンライン版2014年12月17日号)掲載の報告より。

外傷性脳損傷後の早期プロゲステロン投与は有用か/NEJM

急性外傷性脳損傷のアウトカム改善に、プロゲステロン投与はプラセボと比較して、ベネフィットが認められないことが示された。米国・エモリー大学のDavid W. Wright氏らが、第III相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。これまでに、外傷性脳損傷へのプロゲステロン投与については、複数の実験モデル検討や2件の単施設臨床試験で、神経学的アウトカムを改善することが示されていた。本検討では、大規模な多施設での検討により、プロゲステロンの早期投与の有効性を、重度、中等度~重度、中等度の急性外傷性脳損傷について調べることが目的であった。NEJM誌オンライン版2014年12月10日号掲載の報告より。

重度外傷性脳損傷後のプロゲステロン、第III相では無効/NEJM

 重度外傷性脳損傷後のプロゲステロン投与は、アウトカム改善効果は認められないことが示された。米国・ホフストラ大学医学部のBrett E. Skolnick氏らが、約1,200例の患者について行った無作為化第III相試験の結果、報告した。これまで、外傷性脳損傷に対するプロゲステロン投与については、動物実験や2つの無作為化第II相試験で、一貫した良好な結果が得られていた。NEJM誌オンライン版2014年12月10日号掲載の報告より。

SYNAPSE試験:重症の外傷性脳損傷(TBI)に対してプロゲステロンは無効(解説:中川原 譲二 氏)-296

 プロゲステロンについては、これまでに外傷性脳損傷(Traumatic brain injury: TBI)の動物モデルにおける確かな効果と、2件の第II相無作為化比較試験(SYNAPSE TrialとPROTECT III Trial)における臨床的有効性が見いだされていた。SYNAPSE Trial の研究者たちは、大規模で前向きの第III相無作為化比較試験 を実施し、プロゲステロンの有効性と安全性を検討したが、残念ながらプロゲステロンが無効であったことをNEJM誌の12月10日号に報告した。