心臓MRIによるLGEはLVEFより拡張型心筋症のリスクをより良く予測する(解説:佐田政隆氏)
CLEAR!ジャーナル四天王
非虚血性の拡張型心筋症(DCM)患者は心不全や心臓突然死のリスクが高く、植込み型除細動器(ICD)の植え込みで生命予後の改善が期待される。そのため、高リスク症例を正確に同定することは非常に重要であるが、DCM患者のリスク評価は、左室駆出率(LVEF)が基準とされている。しかし、最近はLVEFが保たれた心不全(HFpEF)が増加しており、LVEFが低下した心不全(HFrEF)と同等もしくは予後が悪いという報告もあり、LVEFが本当に心筋症患者のリスク評価に適切なのか疑問視されてもいた。そこで、スイスのUniversity Hospital BaselのEichhorn先生らは、心臓MRI指標と心血管アウトカムとの関連を検討した、総計2万9,687例のDCM患者を含む103件の報告のシステマティックレビュー・メタアナリシスを実施した。遅延造影(LGE)の存在とその程度は、全死亡、心血管死、不整脈イベント、心不全イベントと関連した。一方、LVEFは全死亡、心血管死、不整脈イベントと関連しなかった。非造影T1緩和時間(native T1)の延長は、不整脈イベントや主要心血管イベントと関連したが、心筋の長軸方向の収縮機能の指標であるGLSは心不全イベント、主要心血管イベントとは関連しなかった。