境界性人格障害の自殺対策へ期待「DBT PEプロトコール」パイロット試験

提供元:ケアネット

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公開日:2012/06/12

 



境界性人格障害と心的外傷後ストレス症候群(PTSD)はしばしば合併し、その治療に難渋することも少なくない。Harned氏らは自殺企図や自傷行為のみられる境界性人格障害患者のPTSDを治療するために、PTSDに有効な認知行動療法の1つである持続エクスポージャー法(Prolonged Exposure:PE)と最近注目されている弁証法的行動療法(DBT)を組み合わせる治療法のプロトコール開発およびパイロット試験を実施した。Behav Res Ther誌2012年6月号(オンライン版2012年3月11日号)掲載。

境界性人格障害とPTSDを合併し重大な自傷行為を経験した女性患者13例を対象にDBT PEプロトコールを1年間実施したのち、3ヵ月間フォローアップし評価した。

主な結果は以下のとおり。

・DBT PEプロトコールによる治療はPTSDの有意な改善と相関しており、多くの患者は試験後にPTSDの診断基準から外れる水準まで改善した。(治療完遂例の71.4%、全例 の60%)。
・少数の患者(27.3%)で試験期間中に自傷行為が認められた。
・自殺企図、解離、トラウマに関連する罪の意識、恥辱感、不安、抑うつ症状、社会的適応の改善も認められた。
・1年間のDBT PEプロトコール実施は、患者およびセラピストに大いに受け入れられ、安全に実施可能であった。
・本例のような自殺企図や自傷行為のみられる高リスク患者に対しDBT PEプロトコールは有効な治療法であると考えられる。

(ケアネット 鷹野 敦夫)

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