女性が乳がんと診断された場合、その後の労働時間に影響はあるのか?
また退職や労働時間短縮に関連する要因は何なのか?
スウェーデンのHøyer氏らがコホート研究の結果をJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2012年7月9日号に報告した。
本試験は、Regional Breast Cancer Quality Register of Central Swedenで登録された735例を対象としたコホート研究であり、ベースライン時(診断後平均4ヵ月)およびフォローアップ時(診断後平均16ヵ月)のアンケートを完了した女性505例(診断時63歳未満)を解析した。未婚・既婚、子供の有無、学歴など社会人口統計学的因子に関する情報はベースライン時に、また自己申告による仕事に関わる情報はフォローアップ時に収集した。
その結果、労働時間について、診断前と比較したところ、変化なしが72%、増加が2%、減少が15%、フォローアップ時には退職していた患者が 11%であった。
また、化学療法が退職や労働時間短縮の可能性を増加させる(オッズ比[OR]:2.45、95%CI:1.38~4.34)ことが示された。この結果について、化学療法を受けた患者では、診断前のフルタイムの仕事(OR:3.25、95%CI:1.51~7.01)、がんに関連した労働制限(OR:5.26、95%CI:2.30~12.03)、仕事に対する低い価値観(OR:3.69、95%CI:1.80~7.54)が関連していた。一方、化学療法を受けなかった患者では、年齢の高さ(OR:1.09、95%CI:1.02~1.17)と仕事に対する低い価値観(OR:5.00、95%CI:2.01~12.45)が関連していた。
著者らは、サポートが必要な女性を識別するには化学療法とがんに関連する労働制限が重要な因子であり、さらに労働市場に参加することについての女性自身の価値判断を考慮することが重要であると述べている。
(ケアネット 金沢 浩子)