双極Ⅰ型障害患者の症状発症に関連する“キヌレン酸” 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/10/12 双極Ⅰ型障害患者の、脳脊髄液におけるキヌレン酸と躁症状および精神病症状との関連が明らかにされた。スウェーデン・ヨーテボリ大学のOlsson SK氏らによる検討の結果。著者らは、すでに先行研究において、統合失調症と双極性障害の患者における脳内のキヌレン酸レベル上昇が報告されていることに触れたうえで、「因果関係を検証する必要はあるが、ドパミン伝播と行動に影響するキヌレン酸の働きは、躁病や精神病症状の発症における病態生理学的な役割を示している可能性がある」と報告している。Bipolar Disord誌オンライン版2012年10月3日号の掲載報告。 キヌレン酸(トリプトファンの代謝物質)は、脳内のグルタミン酸作動性またはコリン作動性レセプターと拮抗する。著者らは先行研究で、双極性障害男性患者の脳脊髄液におけるキヌレン酸(CSF KYNA)上昇が認められることを報告していた。 本検討では、双極Ⅰ型障害患者における症状と脳脊髄液KYNA値との関連を調べた。双極Ⅰ型障害と診断された胸腺を正常にもつ男性21例(平均年齢41歳、SD 14)と女性34例(同37歳、SD 14)のCSF KYNAについて、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・精神病症状の生涯発生が認められた患者(43例)のCSF KYNA値[2.0nm、平均値標準誤差(SEM):0.2]は、同症状発生履歴のない患者(12例)の同値(1.3nm、SEM:0.2)と比較して高値であった(p=0.01)。 ・年齢を共変量としたロジスティック回帰分析でも同様に、精神病症状履歴とCSF KYNA値の関連が示された[対象55例、オッズ比(OR):4.9、p=0.03]。 ・さらに、直近に躁病エピソードを有した人でも、年齢調整後のCSF KYNA値との有意な関連がみられた(34例、OR:4.4、p=0.03)。精神病症状の生涯発生歴で調整後も有意な関連を維持した(OR:4.1、p=0.05)。 関連医療ニュース ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは? ・双極性障害患者の自殺企図、テストステロンレベルと相関 ・うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける? (ケアネット) 原著論文はこちら Olsson SK et al. Bipolar Disord. 2012 Oct 3. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」 医療一般(2013/01/24) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13) [ あわせて読みたい ] クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)