シスプラチンと血栓塞栓症リスク増加の関連を示唆する報告がいくつかあるが、シスプラチンベースの化学療法による静脈血栓塞栓症(VTEs)のリスクについての研究は十分ではない。米国のSonia Seng氏らは、無作為化比較試験の系統的レビューとメタアナリシスを行い、シスプラチンベースの化学療法が非シスプラチンベースの化学療法と比べて、進行固形がん患者の有意なVTEsリスクの増加に関連していることを報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2012年11月13日号に掲載。
著者らは、PubMedで1990年1月1日~2010年12月31日に公表された論文を検索し、固形がん患者に対する「シスプラチンベースのレジメン」対「非シスプラチンベースのレジメン」を評価した前向き無作為化第II相および第III相試験を解析対象として、すべてのグレードのVTEsについてデータを抽出した。研究の質はJadadスコアを、また、発生率、相対リスク(RR)、95%信頼区間(95%CI)はランダム効果モデルを用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・38の無作為化比較試験における種々の進行固形がん患者8,216例を解析した。
・VTEsの発生率は、シスプラチンベースのレジメンで治療された患者では1.92%(95%CI:1.07~2.76)、非シスプラチンベースのレジメンで治療された患者では0.79%(95%CI:0.45〜1.13)であった。
・シスプラチンベースのレジメンで治療された患者で、VTEsのリスクが有意に増加した(RR:1.67、95%CI:1.25~2.23、p=0.01)。
・サブグループ解析でRRが最も高かったのは、シスプラチンの用量が30mg/m2/週を超える患者(RR:2.71、95%CI:1.17~6.30、p=0.02)と、2000年~2010年に報告された試験(RR:1.72、95%CI:1.27~2.34、p=0.01)であった。
(ケアネット 金沢 浩子)