基底細胞がんのダーモスコピー診断では、潰瘍が頻繁に認められる。外傷の既往を伴わない潰瘍、いわゆる非外傷性潰瘍は、最も頻度の高い皮膚がんである基底細胞がんの重大徴候であるが、そのような非外傷性潰瘍と良性病変は特徴が似通っており、鑑別は難しい。そこで米国・南イリノイ大学のSerkan Kefel氏らは、潰瘍の色とテクスチャーの特色で規定した15の尺度(9つのカラー尺度と6つのテクスチャー尺度)が、両者を識別するのに有用であるか評価を行った。Skin Research and Technology誌2012年11月号の掲載報告。
潰瘍の色とテクスチャーの特色が、基底細胞がんと良性病変を鑑別可能か検討した。
生検で確認された基底細胞がんの偏光ダーモスコピー画像49例を手動で選択し、潰瘍を同定した。また同様に、良性病変で非常に近似した潰瘍の偏光ダーモスコピー画像153例を選択した。
主な結果は以下のとおり。
・潰瘍と潰瘍に近似した病変のすべての画像について、15の尺度を用いて分析した。
・15の尺度のうち6つはテクスチャー尺度[活力(energy)、分散性(variance)、なめらかさ(smoothness)、非対称性(skewness)、均一性(uniformity)、エントロピー]であった。
・9つは、カラー尺度(赤・緑・青の相対的尺度、赤・緑・青の色度、青/緑・青/赤・緑/赤の比率)であった。
・大部分の基底細胞がんと良性病変が、15の尺度を用いることで鑑別可能であった。ROC曲線下面積は92.46%であった。
・潰瘍に画像解析技術を適用させた基底細胞がんと良性病変の鑑別は可能であり、本試験で検討した15の尺度は、基底細胞がんの自動鑑別に適用できる可能性がある。
(ケアネット)