横浜市立大学の石ヶ坪良明氏の研究グループは、ベーチェット病の疾患関連遺伝子と発症機序を発見したとして、2013年1月6日付のNature Genetics誌オンライン版に発表した。
ベーチェット病はぶどう膜炎、皮疹、口腔・陰部潰瘍など全身に発作的な炎症を繰り返す難治性疾患である。本邦における患者数は2010年3月末時点で、17,290人。発症には遺伝素因と環境因子の両方が重要と考えられており、最も強力な遺伝素因としてヒト白血球抗原HLA-B*51(HLA-Class Iの1つ)が知られているが、詳細な発症機序は不明であった。
研究グループは、米国国立衛生研究所とイスタンブール大学(トルコ)と共同で、患者2,650人を含む日本人・トルコ人約5千人のゲノムワイド関連解析を実施。その結果、CCR1、STAT4、KLRC4、ERAP1の4つの関連遺伝子を同定した。
通常は異なる染色体上に存在する遺伝子間に相関は認められないが、ERAP1とHLA-B*51両者の素因を持つと発症リスクが相乗的に上昇していた。ERAP1は小胞体に存在し、HLA-Class Iに乗せるためにペプチドを短くする働きがあることから、ペプチドのヒト白血球抗原への提示過程がベーチェット病ではきわめて重要であるとしている。
研究グループは、今回発見された遺伝子やERAP1を介したヒト白血球抗原への提示プロセスを標的とした、より副作用の少ない疾患特異的治療薬の開発につながると期待を寄せている。
(ケアネット 藤原 健次)