日本BD、独自の技術で痛みを軽減するペン型インスリン注入器用注射針を開発

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/01/30

 

 2013年1月25日(金)、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社(以下、BD社)の新製品に関する記者発表会が開催された。

 まず、永寿総合病院糖尿病臨床研究センター長の渥美義仁氏より、糖尿病インスリン治療における注射針開発の課題について語られた。また、BD社ダイアベティーズケア事業部長の南湖 淳氏からは、新規のペン型注入器用注射針である「BDマイクロファインプラスTM32G×4mm」(本年1月末頃発売)の臨床上の意義について語られた。
 
 渥美氏は「注射針に求められることは、医師にとって治療上重要な有効性・安全性だけではない。痛みの軽減、注入のしやすさなど、患者目線での使いやすさも重要である」と強調した。

注射針の問題点
 インスリン注入器用注射針の問題点としては、注射時の痛み、針が細くなったことによる注入のしにくさ、折れやすさ、曲がりやすさなどが挙げられる。また、通常、インスリン製剤は針を皮膚のすぐ下の皮下組織に挿入するため、その下にある筋肉内に入らないように、軽く皮膚をつまみあげて注射する。しかし、皮膚をつまみあげられる部位は限られており、同じ部位に注射を続けると皮下組織が硬結し、薬液が血中に到達せず低血糖を起こす原因となる。

医師と患者、要望のずれ
 BD社のWEB調査によると、患者が注射針に最も期待することは、「注射の痛みが少なくなること」であり、患者にとってインスリン治療は注射の痛みに関連するイメージが強いことがうかがえる。

 しかし、医師がインスリン治療に求めることは、2011年の糖尿病治療に関するアンケート調査(BD社調べ)によると、どの治療段階においても「血糖コントロールの改善や維持」が最重要であり、患者の要望とのずれが生じている。

患者目線も含めた開発
 新製品「BDマイクロファインプラスTM32G×4mm」は、従来からの問題点、ならびに医師と患者両方の要望を取り入れて開発された。

 ストレート構造にすることで針先まで内腔が確保でき、薬液がスムーズに流れるため、注入しやすくなった。Micro-Bondingコーティング技術で穿刺・挿入が滑らかになり、先端を5面カットにすることで、従来品と比べ穿刺抵抗を23%軽減することに成功した。
 
 また、4mm針にし、皮膚をつまみあげない手技を可能にしたことで、サイトローテーション(穿刺部位の移動)の範囲が広がり、同じ部位に何度も注射をする必要がなくなった。そのため、皮膚組織の硬結を防止し、低血糖を低減することが可能となり、注射手技の指導も楽になると考えられる。

痛み、使用感の評価
 臨床研究において、注射時の痛みを市販されている製品Aと比較したところ、32G×4mm針の方が痛みが弱いと感じる人が有意に多かったという。また、使用感評価においても、32G×4mm針は、製品Aよりも有意差を持って優れていたとの結果が報告されている(Miwa T,et al.Diabetes Technology & Therapeutics.2012;14:1084-1090.)。

まとめ
 「BDマイクロファインプラスTM32G×4mm」は、従来からの問題点に加え、「痛みを軽減したい」という患者の要望も取り入れて開発された。本製品の登場により、インスリン治療がより手軽なものになり、良好な血糖コントロールの維持が可能となるのではないだろうか。

(ケアネット 武田真貴子)