長期療養施設の高齢者の多くは、本当は痛みに耐えている

提供元:ケアネット

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公開日:2013/02/20

 

 The Services and Health for Elderly in Long TERm care(SHELTER)研究において、ヨーロッパの長期療養施設の入所者は国によって差はあるものの疼痛有病率が高く、大部分の入所者は疼痛が適切にコントロールされていると自己評価しているが、実際にはまだ強い痛みを有している入所者が多いことが明らかとなった。ドイツ・ウルム大学Bethesda病院のAlbert Lukas氏らによる報告で、こうした結果の背景にある理由を分析することが、疼痛管理の改善に役立つ可能性があるとまとめている。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版1月31日の掲載報告。

 今回の研究は、長期療養施設の入所者における疼痛について評価し、国家間で比較することが目的であった。

 対象はヨーロッパ7ヵ国およびイスラエルの長期療養施設の入所者計3,926人で、インターライの長期療養施設(Long Term Care Facility:LTCF)版を用い疼痛の有病率、頻度、強さなどを評価した。

 患者関連特性と不適切な疼痛管理の相関を二変量および多変量ロジスティック回帰モデルにより解析した。

 主な結果は以下のとおり。

・疼痛を有していた入所者は1,900人(48.4%)であった。
・疼痛有病率は、イスラエルの19.8%からフィンランドの73.0%まで、国によって大きく異なった。
・疼痛は、性別(女性)、骨折、転倒、褥瘡、睡眠障害、不安定な健康状態、がん、うつ病および薬剤数と正の相関があり、一方で認知症と負の相関があった。
・多変量ロジスティック回帰モデルにおいて、睡眠障害を除いたすべての因子が有意であることが示された。
・疼痛は十分コントロールされていると自己評価した入所者は88.1%に上ったが、痛みがないまたは軽度であると回答したのは56.8%にすぎなかった。

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(ケアネット)