皮膚筋炎が、心血管および脳血管イベントリスクの増大に関連しているとの示唆が得られたことを、台湾・國泰綜合医院のY.-T. Lai氏らが住民ベースの長期追跡調査の結果、報告した。慢性炎症性自己免疫疾患が心血管リスク増大と関連していることは知られるが、脳血管リスクとの関連についてはほとんど知られていなかった。British Journal of Dermatology誌2013年5月号の掲載報告。
Lai氏らは、現住民をベースにした年齢・性別を適合させたコホートの追跡調査にて、皮膚筋炎と急性心筋梗塞(AMI)および急性脳梗塞のリスクとの関連を調べることを目的とした。
皮膚筋炎(DMS)患者907例を登録し、年齢・性別を適合させて無作為に抽出した非DMS被験者の対照群4,535例と比較した。
Kaplan-Meier法を用いて、非AMI生存および非脳梗塞生存曲線を描出し、Cox比例ハザード回帰分析にてDMSとAMIおよび脳梗塞との関連リスクを算出し評価した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間2年の間におけるAMI発生は、DMS患者群14例(1.5%)に対し、非DMS対照群では18例(0.4%)であった。
・DMS患者におけるAMI発生の非DMS対照群に対する粗ハザード比(HR)は、3.96(95%CI:1.97~7.96、p=0.0001)であった。
・人口統計学的特性および心血管共存症について補正後HRは、3.37(同:1.67~6.80、p=0.0007)であった。
・一方、同追跡期間中の脳梗塞発生は、DMS患者群46例(5.1%)に対し、非DMS対照群は133例(2.9%)であった。
・DMS患者における脳梗塞発生の非DMS対照群に対する粗ハザード比(HR)は、1.78(95%CI:1.27~2.49、p=0.0007)であり、補正後HRは、1.67(同:1.19~2.34、p=0.0028)であった。
(ケアネット)