デルマトーム(皮膚知覚帯)は多様で、過去の研究では著しい個人差が示されている。なかでもL5またはS1神経根圧迫を有する患者では、疼痛およびチクチクする痛みの分布がデルマトームとあまり一致していないことが明らかとなった。英国・ジェームズクック大学病院のChristopher Taylor 氏らは観察的ケースシリーズ研究の結果、患者の自己申告は痛みや知覚異常の解剖学的な発生源を特定するには信頼性が低いと報告した。Spine誌2013年5月号(オンライン版2013年1月15日号)の掲載報告。
神経根痛の分布をコンピューターで図式化してデルマトームと比較
本研究の目的は神経根痛の分布パターンを、既報のデルマトームと比較することであった。
放射線学的および外科的に証明された椎間板ヘルニアによる神経根圧迫を有する患者(L5神経根圧迫98例[L5群]、S1神経根圧迫83例[S1群])を対象に、疼痛およびチクチクする痛みの分布をコンピューターで図式化した。
神経根痛の分布パターンをデルマトームと比較した主な結果は以下のとおり。
・L5群で、疼痛の分布がL5デルマトームと少しでも一致したのは正面22例(22.4%)、背面60例(61.2%)、両方13例(13.3%)で、50%以上一致したのはわずか1例(1.0%)であった。
・同様にS1群で、疼痛の分布がS1デルマトームと少しでも一致したのは正面3例(3.6%)、背面64例(77.1%)、両方15例(18.1%)で、50%以上一致した患者はいなかった。
・L5群で、チクチクする痛みの分布がL5デルマトームと少しでも一致したのは正面27例(29.7%)、背面27例(29.7%)、両方14例(15.4%)で、19例(20.9%)は50%以上一致した。
・同様にS1群で、チクチクする痛みの分布がS1デルマトームと少しでも一致したのは正面3例(3.6%)、背面44例(53.0%)、両方18例(21.7%)で、50%以上一致した患者は12例(14.5%)であった。
(ケアネット)