強直性脊椎炎に対する治療効果の評価には腰痛や疲労も重要

提供元:ケアネット

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公開日:2013/07/19

 

 強直性脊椎炎(AS)患者を対象としたエタネルセプト(商品名:エンブレル)とスルファサラジン(サラゾスルファピリジン、商品名:アザルフィジンほか)またはプラセボとを比較した臨床試験4件の解析から、夜間腰痛の軽減が疲労の改善につながることが示唆された。カタール・ハマド医療法人のMohammed Hammoudeh氏らは、治療反応性の評価にあたり、腰痛や疲労のような患者報告アウトカムを調べることなくC反応性蛋白(CRP)のみで評価することは誤解を招くおそれがある、とまとめている。Journal of International Medical Research誌オンライン版2013年6月26日の掲載報告。

 ASにおける炎症、夜間腰痛および疲労と治療(12週間)との関連を調べるため、エタネルセプト、スルファサラジンまたはプラセボのいずれかを1回以上投与され、試験開始後に1回以上評価されたAS患者のデータが含まれる4件の臨床試験データを併合解析した(解析対象計1,283例/エタネルセプト群867例、スルファサラジン群187例、プラセボ群229例)。

 炎症はCRP、夜間腰痛は視覚的アナログスケール(VAS)、疲労は強直性脊椎炎疾患活動性指標(BASDAI)にて評価し、線形回帰分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・夜間腰痛の改善は疲労の改善の有意な予測因子であり、夜間腰痛と疲労との間には有意な相関が認められた。しかし、CRPとの相関はみられなかった。
・エタネルセプトはスルファサラジンまたはプラセボと比較して、夜間腰痛および疲労を有意に改善した。
・夜間腰痛の改善あるいは疲労の改善とCRPの改善との関連は弱かった。

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(ケアネット)