【新型マンモグラフィ登場】乳がんの診断精度向上に期待

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/13

 

 11月1日、GEヘルスケア・ジャパン株式会社は、新型マンモグラフィであるデジタルブレストトモシンセシス「SenoClaire」の発売にあたり、東京都中央区で記者発表会を開催した。その中で、昭和大学乳腺外科准教授の明石 定子氏が「臨床の立場からSenoClaireへの期待」をテーマに講演を行った。

 従来のマンモグラフィでは、感度に限界があり乳がんの20%が検出不可能であった。乳腺の密度が高くなるにつれ白く描出されるため、がんの検出感度は低くなる。乳腺の密度が高いことをデンスブレストというが、若年者ほどこの傾向が強く、乳がん発生リスクも高まることがわかっている。さらに、このデンスブレストは、私たち日本人を含むアジア人で多い傾向があるのもひとつの特徴である。

 SenoClaireでは、1回の撮影で検査部位に異なる角度でX線を連続パルス照射し、撮影後コンピューターによって画像を再構成することで複数の断層画像を一度に得ることが可能となった。とくに、画像再構成に逐次近似法を採用したことで、従来の画像と比べアーチファクトを除去することが可能となり、デンスブレストに対しても検出感度が高くなった。

 また、従来のマンモグラフィでは乳腺の重なりとがんの存在の見極めが困難なため、病変のない患者でも要精査となっていた現状があった。実際、検診により約10%が要精査となるが、そのうち97%が精査でがん所見が認められなかったとの報告もある。SenoClaireでは、奥行き方向のデータも収集し、薄いスライスに画像を再構成して観察することによって、これまで困難であった乳腺の重なりを解消し、より精度の高い情報を得ることが可能となった。

 SenoClaireは、従来のマンモグラフィとほぼ同等の線量で撮影可能なため、被曝のリスクが上昇することもない。デンスブレストの視認性向上、要精査率の低減を可能にすることが期待される新技術を搭載したSenoClaireの登場により、今まで以上に乳がんの早期発見・早期治療への期待が高まっている。

(ケアネット 岸田有希子)