統合失調症患者を発症前に特定できるか:国立精神・神経医療研究センター 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/12/19 統合失調症患者は発症前に、神経生理学的および精神心理学的な障害を呈する。一方で、認知機能とイベントに関連している可能性があるミスマッチ陰性電位MMNとの関連が示唆されていた。国立精神・神経医療研究センターの住吉 太幹氏らは、統合失調症患者および同疾患リスクが高い人への早期介入について、電気生理学的評価と神経心理学的評価の組み合わせが有用である知見が得られたことを報告した。結果を踏まえて著者は、「これら評価の組み合わせにより、精神疾患を呈しそうな人の早期発見と、迅速な治療が必要な人を特定することが容易になる可能性がある」とまとめている。Frontiers in Behavioral Neuroscience誌2013年10月21日号の掲載報告。 MMNと認知機能との関連についてはとくに、MMN幅(dMMN)が、統合失調症発症リスクが高まっている患者において、疾患への移行を予測することが示唆されている。研究グループは、dMMNと神経心理学的評価との組み合わせが、その予測の精度を高めるとの仮説が成り立つかを検討した。 主な知見は以下のとおり。 ・MMNと認知機能の関連については、初回エピソード統合失調症(FES)の被験者からのデータも示されている。 ・統合失調症発症リスクが高まっている被験者では、dMMNが、健常対照と比べて、発症前は有意に小さくなるというエビデンスが蓄積されている。 ・また、dMMN値は、FES発症初期と同程度であることが報告されている。 ・低解像度脳電磁気トモグラフィ(LORETA)で測定したdMMN電流源密度は、FES被験者では健常対照よりも有意に低値であった。とくに統合失調症の病態生理に関連するいくつかの内側側頭部位で認められた。 ・重要なことは、前頭葉のdMMN電流密度は、FES被験者におけるワーキングメモリに関する成績と明らかな相関が認められたことであった。 関連医療ニュース 統合失調症の発症は予測できるか、ポイントは下垂体:富山大学 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定 抗精神病薬投与前に予後予測は可能か? (ケアネット) 原著論文はこちら Sumiyoshi T et al. Front Behav Neurosci. 2013 Oct 21;7:148. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20)