腰痛の程度、配偶者のネガティブな態度で負のスパイラルに

提供元:ケアネット

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公開日:2013/12/23

 

 慢性腰痛患者の疼痛の程度は、配偶者のネガティブな態度と非常に密接に関係していることが明らかとなった。米国・ラッシュ大学のJohn W. Burns氏らが患者とその配偶者を対象とした前向き研究の結果、報告した。著者は、「慢性筋骨格系疼痛の治療効果に夫婦間の相互作用が影響を及ぼす可能性があり、これまでまったく関心がもたれなかった領域も治療の標的とするためのさらなる研究が望まれる」とまとめている。Pain誌2013年12月(オンライン版2013年8月6日号)の掲載報告。

 慢性筋骨格系疼痛は、結婚生活の重圧となる可能性があり、おそらく配偶者の非難や敵意も患者にとっては重圧となる可能性がある。そのような配偶者のネガティブな対応は、患者のウェルビーイングに有害な影響をもたらす可能性がある。

 研究グループは、断面調査にてこの考え方の裏付けをとる一方、感情表出(EE)や対人論的考察でこれらの効果を評価し、また患者と配偶者の行動を電子日記の記録により評価した。

 具体的には、慢性腰痛患者とその配偶者105組を対象に、14日間にわたり1日5回、患者の痛みと配偶者の行動を携帯情報端末(PDA)に記録してもらった。

 主な結果は以下のとおり。

・患者が認識した配偶者の非難/敵対的な態度は、患者が報告した疼痛強度と有意に相関した。
・また、配偶者が観察した患者の疼痛行動は、患者が配偶者の非難/敵対的な態度を認識したことと関連していた。
・患者が認識した配偶者の敵対的な態度は、3時間後の疼痛強度を有意に予測した。
・また、配偶者が観察した患者の疼痛行動は、3時間後に患者が配偶者の敵対的な態度を認識することを予測した。
・これらの結果は、EEおよび対人論的モデルの両者を支持するものであった。すなわち、統合モデルは、配偶者の非難/敵意は患者の痛みと負のスパイラルをもたらす相互作用があるという概念化を完全に示す方法であることが明らかになった。

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(ケアネット)