ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)の除菌が頭痛、少なくとも片頭痛に苦しむ患者には効果的かもしれないことが、イタリア・モリネッテ病院のSavi Lidia氏らによって報告された。Infectious disorders drug targets誌オンライン版2013年12月1日掲載の報告。
H.pyloriが興味深いのは、いくつかの胃十二指腸病変の原因となるだけでなく、消化管外の病因に関与すると考えられている点である。本レビューは、これまでのH.pyloriと頭痛との相関関係についての仮説を示した文献をまとめたものである。
方法は、1965年から2013年の期間、英語文献として発表されたすべての研究のMEDLINE検索を行った。文献では、疫学研究、介入研究、病因研究など3つの側面から、関連性が検討されていた。
主な結果は以下のとおり:
・疫学研究では、結果が矛盾していた。
・介入研究では、6ヵ月と12ヵ月の時点で、H.pylori除菌が全症例の23%の患者の頭痛症状を消失させ、残る28%の患者の急性発作の持続時間や頻度、重症度を有意に減少させていた。
・病因研究では、たとえH.pyloriが頭痛に関与するとしても、それは酸化ストレスを介した機序ではないことが示唆された。
H.pylori除菌は少なくとも片頭痛患者のサブグループにおいて、効果的であった。Savi氏らは、ある特定の患者群に焦点を当てたさらなる研究が必要だとしたうえで、介入試験で得られたデータを裏付けるため、今後はH.pylori除菌による長期的な効果を評価すべきであると述べている。
(ケアネット 岸田有希子)