KRAS変異型大腸がんリスクに食品中のアクリルアミドが関連 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/01/16 炭水化物を多く含む材料を加熱調理した食品に含まれるアクリルアミドは、ヒトでの発がん性があると推定されている。これまで、アクリルアミド摂取量と大腸がんリスクとの間に明確な関連性を示す疫学的研究はないが、その理由として大腸がんにおける分子生物学的不均一性が考慮されていなかった可能性がある。アクリルアミド代謝物であるグリシドアミドは、げっ歯類において特定のDNA変異を誘導することから、オランダ・マーストリヒト大学のJanneke GF Hogervorst氏らは、アクリルアミドが、大腸がんの発がんkey遺伝子であるKRASおよびAPCの変異による大腸がんリスクと関連しているかどうかを検討した。Carcinogenesis誌オンライン版2014年1月7日号に掲載。 今回の症例コホート分析は、食事とがんに関するオランダコホート研究のなかで、7.3年間のフォローアップに基づき行われた。アクリルアミド摂取量は食物摂取頻度調査票を用いて評価し、733例の腫瘍組織におけるAPCエクソン15のコドン1286~1520およびKRASエクソン1のコドン12、13の変異分析を実施した。ハザード比は、Cox比例ハザード分析を用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・男性においては、アクリルアミド摂取量は、とくにKRAS変異のある腫瘍のリスク増加と有意に関連していた[最低四分位に対する最高四分位のハザード比:2.12(95%CI:1.16~3.87)、傾向のp=0.01]。 ・女性においては、アクリルアミド摂取量は、とくにAPC変異のある腫瘍のリスク減少と有意に関連していた[最低四分位に対する最高四分位のハザード比:0.47(95%CI:0.23~0.94)、傾向のp=0.02]が、これはアクリルアミド摂取量の最高四分位においてのみ認められた。 これらの結果から、著者らは、この研究が「男女で異なる特定の遺伝子変異による大腸がんにアクリルアミドが関連する可能性を示す最初の研究」と述べ、さらに「今回の知見を裏付ける、もしくは異議を唱えるためのさらなる研究が必要」としている。 【参考】食品に含まれているアクリルアミド(→農林水産省ホームページ) (ケアネット 金沢 浩子) 原著論文はこちら Hogervorst JG, et al. Carcinogenesis. 2014 Jan 7. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] LVEF保持/軽度低下例へのβ遮断薬、死亡・MACEの複合を抑制/NEJM(2025/09/18) 前立腺がん診断、bpMRIは標準検査になりうる/JAMA(2025/09/18) タルラタマブ、サイトカイン放出症候群の警告追記/厚労省(2025/09/18) 「また、にしない。まだ、にしない。」認知症早期対応のための合言葉を発表/リリー(2025/09/18) 医療費適正効果額は1千億円以上、あらためて確認したいバイオシミラーの有効性・安全性(2025/09/18) インフルワクチンの効果、若年には有意だが80歳以上で認められず/日本臨床内科医会(2025/09/18) 抗不安薬の有効性と受容性の比較〜ネットワークメタ解析(2025/09/18) GLP-1受容体作動薬は気候変動対策にも有益(2025/09/18) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) Dr. 倉原の“おどろき”医学論文(2013/08/21) 化療スタンダードレジメン(2014/01/07) “簡単・確実”吸入指導 デバイス別ポイント(2013/12/05) Dr. 坂根のすぐ使える患者指導画集 -糖尿病編-(2013/11/13) シンポジウム「最小侵襲脊椎安定術MISt」第20回記念 日本脊椎・脊髄神経手術手技学会より(2013/10/08) さわやま流 音楽的聴診術<下巻>(2013/10/07) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 抗がん剤皮膚障害セミナー(2)マルチキナーゼ阻害薬I最新情報(2013/09/27)