慢性腰痛に対するオピオイドの使用が著しく増加しているが、利点とリスクは明らかになっていない。今回、2007年のコクランレビューがコロンビア・Hospital Pablo Tobon UribeのLuis Enrique Chaparro氏らによりアップデートされ、慢性腰痛の短期治療においてオピオイドはプラセボに比し疼痛をやや改善し、機能障害もわずかながら改善することが示された。著者は、「慢性腰痛に対するオピオイドの短期的な有効性のエビデンスは得られた。ただし、長期治療における有効性および安全性は不明のままである」とまとめている。Spine誌オンライン版2014年1月29日号の掲載報告。
研究グループは、成人の慢性腰痛に対するオピオイドの有効性を評価する目的でコクランレビューを最新版にアップデートした。
解析対象は、2012年10月までに発表された慢性腰痛に対するオピオイド非注射用製剤4週以上投与とプラセボまたはほかの治療(オピオイドを除く)を比較した無作為化比較試験15件(参加者合計5,540例)であった。
主な結果は以下のとおり。
・トラマドール(商品名:トラマールほか)は、プラセボと比較して疼痛改善(標準化平均差[SMD]:-0.55、95%信頼区間[CI]:-0.66~-0.44)および機能障害改善(SMD:-0.18、95%CI:-0.29~-0.07)に優れていた。
・ブプレノルフィン経皮吸収型製剤(商品名:ノルスパン)は、プラセボと比較して疼痛改善に優れていたが(SMD:-2.47、95%CI:-2.69~-2.25)、機能障害改善は認められなかった(SMD:-0.14、95%CI:-0.53~0.25)。
・強オピオイド(モルヒネ、ヒドロモルフォン、オキシコドン、オキシモルフォン、タペンタドール)は、プラセボと比較して疼痛改善(SMD:-0.43、95%CI:-0.52~-0.33)および機能障害改善(SMD:-0.26、95%CI-0.37~-0.15)に優れていた。
・1試験は、トラマドールとセレコキシブ(商品名:セレコックス)とで、疼痛改善効果はほとんど差がなかった。
・2試験(272例)は、オピオイドと抗うつ薬とで、疼痛改善効果および機能障害改善効果に差がなかった。
・解析対象となった試験の質は低~中等度で、脱落率が高く、機能障害改善に関する説明が限られていた。
・重篤な副作用、依存または過剰摂取、合併症(睡眠時無呼吸、オピオイド誘発性痛覚過敏、性腺機能低下)は報告されなかった。
(ケアネット)