禁煙治療における薬物療法の有効性は十分立証されている。最近、再喫煙率および副作用の点から、薬物療法に代わる治療選択肢として催眠療法が注目を集めている。米マサチューセッツ総合病院のFaysal M Hasan氏らは、心臓や肺の疾患で入院した患者において、催眠療法の禁煙効果を従来のニコチン置換療法と比較する単施設無作為化試験を実施した。その結果、喫煙関連疾患による入院患者の禁煙において、催眠療法がニコチン置換療法より有効性が高いことが示唆された。Complementary therapies in medicine誌2014年2月号に掲載。
著者らは、退院後12週および26週時点における自己報告され生化学的に検証された7日間禁煙率を評価した。164例の患者を、以下のカウンセリングに基づく治療のいずれかに無作為に割り付け、介入を拒否した自己禁煙群(35例)と比較した。
1)30日間のニコチン置換療法(NRT)群:41例
2)90分の催眠療法群:39例
3)催眠療法を伴うニコチン置換療法(HNRT)群:37例
主な結果は以下のとおり。
・催眠療法群ではNRT群に比べ、退院後12週(43.9% vs 28.2%、p=0.14)および26週(36.6% vs 18.0%、p=0.06)時点での非喫煙者の割合が高かった。
・HNRT群での禁煙率は催眠療法群と同等であった。
・自己禁煙群といずれの治療群との間にも、26週時点での禁煙率における差はなかった。
・診断および人口統計学的特性を調整した多変量回帰分析では、催眠療法群およびHNRT群はNRT群に比べ、退院後26週時点での禁煙者が3倍以上多かった(それぞれ、RR:3.6、p=0.03、およびRR:3.2、p=0.04)。
(ケアネット 金沢 浩子)