ハロセラピーとは、岩塩の洞穴に似せた空洞の中で、塩のエアロゾル(空気中に浮遊する微粒子)を吸入する療法である。最近、この療法がCOPDの症状を改善させる可能性があるという医療報告がある。今回、オーストラリア・ウェスタンシドニー大学のRachael Rashleigh氏らはCOPD治療におけるハロセラピーのエビデンスを評価、要約することを目的に、レビューを行った。International journal of chronic obstructive pulmonary disease誌オンライン版2014年2月21日号の掲載報告。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は慢性かつ進行性の疾患であり、現在、症状(とくに呼吸機能)の改善には吸入による薬物治療が行われている。著者らは、COPD治療におけるハロセラピーのエビデンスを評価、要約することを目的に、系統的なアプローチと叙述的総説によりレビューを行った。対象としたのは、コクラン比較臨床試験登録、PuBMed、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、Google Scholarのデータであった。2人のレビュアーが独立して、あらかじめ規定した選択基準を満たしたアブストラクトと研究のレビューを行った。
主な結果は以下のとおり。
・データベースやリファレンスから151報が選定され、1つの無作為化比較試験が組み入れ基準を満たしていた。
・公表されている研究の数が少ないため、メタアナリシス解析はできなかった。
・その後、組み入れ基準を拡大し、3つの症例対象研究が組み入れられたことにより、叙述的総説ができあがった。
・4つの研究の蓄積データから、1,041例(661例:治療介入群、380例:対照群)が研究の対象となった。
・方法論的な質の評価では、ランダム化と患者選定が問題点としてあげられた。
・叙述的総説の結果により、呼吸機能、QOL、薬剤使用の3つのテーマが同定された。
叙述的総説により明らかになった3つのテーマは、COPD患者に対する薬剤介入研究において、定常的に用いられる評価基準でもあった。著者らは「現時点では、COPD治療にハロセラピーを含めるかどうかについては判断することができない。本療法の有効性を検証するために、より質の高い研究が必要である」としている。
(ケアネット 鎌滝 真次)