頚部症状とX線所見との関連についてはいまだ議論が続いているが、弘前大学整形外科の熊谷 玄太郎氏らは地域住民762例を対象とした調査において、その関連を評価した。その結果、男女とも頚椎の矢状面アライメントは頚部症状と関連していないことが示されたが、女性においては頚椎の変性変化と頚部痛強度との関連が有意であったことを報告した。Journal of Orthopaedic Science誌オンライン版2014年2月26日の掲載報告。
研究グループは、弘前市岩木地区の住民を対象とした「岩木健康増進プロジェクト」の「プロジェクト健診」の一部として調査を行った。
頚椎のX線撮影を行うとともに、頚部痛や肩こりの強度について視覚的アナログスケール(VAS)を用いて測定した。解析対象には、頚椎外傷や関節リウマチなどの既往歴を有する者は除いた。
主な結果は以下のとおり。
・解析対象は、762例であった。
・健診当日の肩こりの有病率は、男性より女性が有意に高かった。
・健診当日のVAS評価による頚部痛および肩こり、ならびに12ヵ月前の肩こりの強度は、男女間で有意差は認められなかった。
・12ヵ月前の頚部痛は、男性より女性で有意に強かった。
・男性、女性いずれにおいても頸椎(C2~C7)矢状面アライメントと頚部症状との間に関連はみられなかった。しかし、女性では、年齢補正後に、健診当日ならびに12ヵ月前の変性指数と頚部痛強度(VAS)との間に有意な関連が認められた。
・頚椎矢状面アライメントより直線型、前弯型、後弯型に分類すると、頚部痛および肩こりの有病率と強度について各グループ間で有意差はなかった。
(ケアネット)