ネオアジュバント(術前補助化学療法)+トラスツズマブの治療を受けたHER2陽性初期乳がん患者の無病生存(DFS)、同時にDFS予測因子と病理学的反応の予測因子について調査した。対象は2001~2010年に本邦38機関での治療患者829例。京都大学医学部附属病院 乳腺外科 高田 正泰氏らによる多施設後ろ向き観察研究。Breast Cancer Research and Treatment誌2014年5月号(オンライン版2014年3月30日号)の掲載報告。
主な結果は以下のとおり。
・3年DFS率は87%(95%CI:85~90)、病理的完全奏効(pCR)率は51%であった。
・pCR率は、ER/PgR陰性患者が陽性患者に比べ高かった(64対36%、p<0.001)。
・pCR患者は非pCR患者より高いDFS率を示した(93対82%、p<0.001)。
独立したDFS不良予測因子
・リンパ節転移:cN2~3対cN0(HR 2.63、95%CI:1.36~5.21、p=0.004)。
・組織学的異型度:グレード3(HR 1.81、95%CI:1.15~2.91、p=0.011)。
・非pCR(HR 1.98、95%CI:1.22~3.24、p=0.005)。
ER/PgR陰性におけるDFS不良予測因子
・非pCR(HR 2.63、95%CI:1.43~4.90、p=0.002)。
・腫瘍進展度:cT3~4対cT1~2(HR 2.20、95%CI:1.16~4.20、p=0.017)。
ER/PgR陽性におけるDFS不良予測因子
・組織学的異型度:グレード3(HR 3.09、95%CI:1.48~6.62、p=0.003)。
・リンパ節転移:cN2~3対cN0(HR 4.26、95%CI:1.53~13.14、p=0.005)。
・年齢:40歳以下 対 40歳超(HR 2.40、95%CI:1.12~4.94、p=0.026)。
陰性・陽性双方のDFS不良予測因子
・厳格なpCR:ER/PgR陰性(HR 2.66、95%CI:1.31~5.97、p=0.006)
:ER/PgR陽性(HR 3.86、95%CI:1.13~24.21、p=0.029)
これらの結果は、HER2陽性乳がん患者の的確な予後予測と個別化治療の確立に役立つ可能性がある。
(ケアネット 細田 雅之)